故郷だった街の空は…

駅に降りて、ふと思いつく。
ことばたち。

やばい!消えちゃう! 

焦った私は、街角で立ったまま
夢中でことばを追いかけた。

ことばたちが消える前に
抱きしめること、できたみたい。

良かった。

………………………………………………………)
私には故郷は、ない

悲しい思い出たけの、故郷

自分で切り捨てた、故郷

記憶の奥底に沈めた、故郷

リズミカルに響く、ホーム音
電車から吐き出される人、人、人

女子高生たちの楽しげな笑い声
スマホで仕事先と話す、スーツ男性
ベビーカーの中で泣く、赤子

そんな音たちが、自分を取り囲む。
音の洪水の中で溺れそうな、自分

そんな混乱を鎮めるように
響く、駅員の一声

その穏やかな声は
音に溺れる私への救命具になった。

その声にホッとする、私


彼は駅名を告げ
乗り換えの案内を始めた。

その駅名は……
確かに聞き覚えが、ある。

ふふっ
我知らず、笑いが漏れた。

今、この場を流れる空気感

私が知らないはず、なんてないのだ

ただ、知らないフリ
気が付かないフリ

そうしたかっただけ。
自分のことなのに、おかしかった

おかしくて、たまらななった。

なんの因果なのか?

またこの街に踏みしめている、私

なぜ?いる?
ここはどこだ?

故郷だったはずの、街
別人の顔をしている、街
知る人など誰もいない、街

どこも、小ぎれいだ

私、上品でしょ?
……そんな自慢げな声が聞こえてくる

その店は、サンダル履きで
威勢のいいオッチャンがいたけどな

こだわっていたのは……

私だけ……だったらしい。

故郷だったはずの、街 

私は、空を見上げる

夕焼けに赤く染まる空
空もよそよそしかった

私は歩き始めた。

音の洪水に向かって。

この街が、どこだろうと
私は、私の、歩幅で進む。

夕焼けの柔らかな光が
私の前に影ををつくった。

まるで、進むべき道を示すように。


#詩的ポエム
#ふと思いついた言葉たち
#心の閉じた箱を開ける
#それでも前に進む

久しぶりの投稿です。
少しでも読み手の方が何が感じてくださると
うれしいです。(市之助)

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