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『ウマフリ』執筆裏話 ーウインカーネリアン編


はじめに

 今回は『ウマフリ』に寄稿した「輝ける場所。スクリーンヒーロー・ウインカーネリアンと鹿戸雄一調教師の物語」の執筆裏話をお届けします。

1.執筆まで

 今回のコラムは、ある「心残り」が執筆の動機になっています。2025年12月13日に『ウマフリ』に掲載された「二階級制覇の名馬、モーリス〜グラスワンダー、スクリーンヒーローから受け継ぐ、その血の運命〜」は、グラスワンダーからモーリスまで繋がる血の物語を芥川龍之介の「侏儒の言葉」に登場する「実相」という言葉をキーワードに読み解いていったコラムです。

 このコラムではモーリスの父であるスクリーンヒーローについても取り上げたのですが、紹介したのはスクリーンヒーローが長期休養するまで管理していた矢野進先生とのエピソードのみでした。構成の都合上、復帰したスクリーンヒーローをGⅠ勝利に導いた鹿戸雄一先生にはほぼ触れられなかったのです。

 しかし、スクリーンヒーローが種牡馬入りできたのは鹿戸先生の尽力もあってこそ。そういう意味でいつか「鹿戸先生とスクリーンヒーロー」についても書きたい、という「心残り」があったのです。そうした中、『ウマフリ』編集部から「7月25日に掲載する名馬コラム」の執筆オファーをいただきました。

 ちょっとした打ち明け話をすると今夏から寄稿のプロセスが変わりまして、今までのようにレースを指定されるのではなく、掲載日のみ指定されてレースはこちらで選べる形になりました。基本的にGⅠ開催週はGⅠ優先にはなりますが、それ以外に関しては私の希望を容れてもらっています。

 ということで7月26日開催の重賞である関屋記念と東海ステークス、どちらで書いても良いことになったのですが、関屋記念と言えばスクリーンヒーローの代表産駒の一頭ウインカーネリアンが重賞初制覇を飾った舞台。しかもウインカーネリアンは鹿戸厩舎所属でもあります。そこで、「鹿戸先生とスクリーンヒーロー」から範囲を広げて、「鹿戸先生とスクリーンヒーロー・ウインカーネリアン父子」でコラムを執筆してみようと考えたのです。

2.プロット作成

 今回、プロット作成にあたっては、「中」だけは先に確定していました。スクリーンヒーローのジャパンカップ制覇とウインカーネリアンの関屋記念制覇が中心に、そこに至るプロセスを鹿戸先生のコメントを引用しながら振り返る構成はすんなり決定。

 迷ったのは「始め」と「終わり」です。執筆の動機は個人的な「心残り」ですが、それを「始め」にしても仕方がありません。色々と考えたのですが、モーリスのコラムとの関係性を重視してグラスワンダーから説き起こすことにしました。「98世代」の父系が現役のGⅠ馬まで繋がっていることを最初に打ち出すことでウインカーネリアンの「生命力」への前置きにしようとしたのです。そして「終わり」については『ウマフリ』の緒方きしん代表ともご相談して、関屋記念〜スプリンターズSはダイジェストで行くことにしました。コラム本文でも書いたようにウインカーネリアンの競走生活はここからが「本番」なのですが、どう考えても文量が多くなりすぎると考えました。実際に決定したプロットに沿って執筆したら7000字を超えたので、ここで判断できていて良かったです(笑)。

 もう一つ扱いを考えたのは三浦皇成騎手について。ウインカーネリアンを語る上では欠かせないジョッキーですが、今回は鹿戸先生とウインカーネリアンを「相棒」として描くコラムなので、三浦騎手も取り上げるとテーマがぼやけてしまうと考えました。そのためあくまでも「鹿戸先生の弟子」という言及に留めたのですが、三浦騎手のファンの皆様には申し訳なく思います。

3.コラム執筆

 プロット段階から大きな変更はほぼ無かったコラムでした。一方で「記述の厚さ」については二箇所でやや迷いが出ました。一つは矢野進先生に関する記述、もう一つは「無観客ダービー」に関する記述です。

 矢野先生についてはモーリスのコラムの方でも取り上げたのでどこまで書くかな、と思ったのですが、内容重複を承知で比較的しっかり目に紹介することにしました。「スクリーンヒーローを引き継ぐ」ことの重さを感じていただくためには矢野先生の紹介は不可欠だろうと考えたのです。

 一方で「無観客ダービー」については久保田金造先生とカイソウについてのお話をなるべく最低限にしました。鹿戸先生にとって久保田先生との関係性は非常に大きなものがあることは分かっているのですが、今回はあくまでも関屋記念の名馬コラムなので、あまりダービーに字数を割きすぎるのも良くないな、という判断です。カイソウも色々エピソードがある馬なので、またどこかで取り上げる機会があれば、とは思っています。

 入稿後はほぼ修正の要望なく掲載となりました。いつも頭を悩ませるタイトルも今回はスッと決まりました。一点だけ、三浦皇成騎手とウインカーネリアンの「相棒」感が溢れる写真が挿入されていたのですが、前述の経緯がありますので差し替えをこちらからお願いしました。編集部にはお手数をおかけしましたが、こういう細かいところも聞き入れてくださるのが有り難いですね。

おわりに

 どうしてもGⅠの名馬コラムに比べると夏競馬のコラムは数字が伸びづらいのですが、その中でも投稿時点で20リポストと40「いいね」をいただいています。スクリーンヒーロー・ウインカーネリアンファンの方の熱量を感じますし、「ウイン」の会員の方にも拡散いただいているようで有り難い限りです。

 次回は8月下旬に新作コラムが掲載予定です。今回に引き続き、「父子」がテーマのお話になっています。またお付き合いいただけますと幸いです。

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