[UFC]対応力の光る多彩なファイター
先週末のUFCファイトナイトでデイブソン・フィゲイレードをTKOで下したコーリー・サンドヘイゲンが、復帰戦でその対応力と多彩さを改めて披露した。
フィゲイレードはフライ級時代に王者として活躍し、バンタム級に上げてからもヤンに破れるまでは3連勝を記録しており、対戦時はバンタム級のランキングでも5位に位置していた猛者である。
フライ級時代はパワーのある打撃と柔術スキルが武器となっていたが、バンタム級ではファイトIQとグラップリングを駆使した安定感の出るクレバーな戦い方が目立っていた。
そんなフィゲイレードもピョートル・ヤンというチャンピオンクラスとぶつかると、その厚みのある対応力の前に屈する形となり、上手さで翻弄していく戦法も機能させることが出来なかった。
そんなバンタム級の壁に跳ね返されたフィゲイレードが復帰戦でぶつかることになったのが、バンタム級4位のコーリー・サンドヘイゲンである。
サンドヘイゲンもヤンに敗れていることからこのカードは、どちらが次に強いのかということも含めて、お互いが持っている今のランクに説得力を持たせるための戦いにもなっていたと思われる。
そこで改めて強さを見せたのがサンドヘイゲンだった。
バンタム級タイトル戦線の門番

ストライキングでもグラップリングでも勝負することが出来るサンドヘイゲンは、フィゲイレードが何を仕掛けて来ても対応することが出来た上に、サイズやリーチの違いから、距離の取り合いでも優位を築くことが可能な状態にあった。
フィゲイレードが優っている項目があるとすれば、一発のパワーになるのかなと感じていたが、サンドヘイゲンの前手や関節蹴りなどによって間合いへの侵入を防がれていた為、フィゲイレードはここでもテイクダウンによるコントロールというバンタム式の戦法で試合を作っていくことになった。
しかし、ウマル・ヌルマゴメドフとの対戦からも分かるようにサンドヘイゲンはグラップリング面での対応能力にも非常に優れている。
その為、フィゲイレードはテイクダウンを奪うことは出来ても、そこからコントロールへと繋げていくことが出来ず、むしろサンドヘイゲンの対応によってポジションを奪われパウンドをもらう羽目になってしまった。
この時点でサンドヘイゲンはテイクダウンからの復帰と足関の対処を済ませ、有利なポジションからパウンドを打ち込むという、フィゲイレードの勝ち筋に対するお手本のような攻略を見せていた。
そういった戦い振りからも、これまでフィゲイレード対戦して来たのランカーとは異なる「対応力の厚み」が感じられた。
この試合では下になったフィゲイレードがほとんど一方的に攻められるという珍しい展開が見られたが、その展開自体がサンドヘイゲンの能力の高さを物語ることになっていたのではないかと思う。
また、勝負を決めた2R目ではカーフやインローという相手の前足を削る攻撃で前進を止め、自分の距離を作った上でジャブを突いていくという組み立ての上手さをスタンド面でも見せ、スタミナを消耗したフィゲイレードからあっさりとテイクダウンを奪うと、足関の取り合いから膝を破壊し、大ダメージを負ったフィゲイレードに軽くパウンドをまとめてレフェリーストップを呼び込んだ。
フライからバンタムへと上げて、上位ランカーを食う動きを見せようとしていたフィゲイレードを完封したサンドヘイゲンは、ここからはレベルが違うと言わんばかりの圧勝を見せた。
ストライキングによるタフな戦いも出来て、一発の威力を補う変則的な攻撃でフィニッシュすることも可能な上に、グラップリングでの攻防も高いレベルで対応することが出来るサンドヘイゲンは、激しい競争を見せるバンタム級の中でも非常に高いクオリティを持ったMMAファイターになっていると言える。
実力にグラデーションを見せるランキングの中でもトップ集団の境界に立っているのがこのThe Sandmanであり、ある意味トップファイターに相応しいだけの実力を持っているか判断する門番的な存在になっているのではないかと思う。
TOP3という王座までの壁

あとはサンドヘイゲン自身が自分より上のランカーに勝利することが出来るかどうかというところになる。
高い実力を持ちながらも、チャンピオンクラスの相手には勝利することが出来ないというもどかしさを抱えているサンドヘイゲンは、ベルト獲得まであと一歩届かない状況が続いていると感じる。
しかし、今回の勝利や過去の敗戦内容を見ても、実力が落ちていると感じるところはなく、むしろ少しずつ上がっているようにさえ感じるので、キャリア晩年で大成するパターンになる可能性も考えられる。
ショーン・オマリーやピョートル・ヤン、そしてウマル・ヌルマゴメドフと、バンタム級ランキングのTOP3にはチャンピオンクラスしかおらず、その先に無尽蔵のスタミナと爆発力を持つ王者メラブ・ドバリシビリ待っているといった、中々に過酷な道ではあるが、跳ね返され続けたサンドヘイゲンがその壁を克服することを期待したい。
これまでの内容を鑑みると、色々と本当に惜しいところまで行っている印象なので、彼自身の進化と時の流れが上手く噛み合えば、悲願を達成することが出来る可能性も十分にあるのではないかと思っている。
