[UFC]激戦区となるウェルター級の一戦
カンザスシティで行われたUFCファイトナイトのメインイベントとなったウェルター級のランカーマッチ。
この一戦は結果次第でウェルター級の勢力図が大きく変化することになる非常に重要な戦いだった。
そんな実力者同士の一戦を振り返る。
ギャリーVS.プラチスの感想

一発の威力で勝るプラチスを手数で抑えてリズムに乗らせなかったギャリーが序盤の流れを掴み、試合の勝敗を左右することになる1-3Rという重要なラウンドを制して先に主導権を掴んだ戦いだった。
ギャリーは上と下に打ち分けて対処を複雑にしつつ、プラチスが距離を潰して来たらタックルを仕掛けて流れを止めるという効果的で巧みな試合作りを見せた。
一方のプラチスは手数がかなり少なく、ギャリーの思惑にがっつりとハマってしまっていた印象。
クリーンヒットは少なく、常にプレッシャーを掛け続けてはいたが、ギャリーの術中にハマり翻弄されているのは明らかだった。
前半の大事なラウンドをギャリーに取られたプラチスは後半失速して行くだけに思えたが、意外にも勢いは落ちず、むしろ手数を出しタックルを仕掛け続けたギャリーの方がスタミナ切れを起こしてしまい、最終ラウンドではあわやTKOというところまで追い込まれてしまった。
それもこれもダメージを十分に稼ぐことが出来ず、余力を残すことを許してしまった所為なのかもしれない。
今回ギャリーは巧みな戦い方で逃げ切ることが出来たが、スタミナ管理とダメージ計算という課題も見えてくるような一戦になっていたのではないかと思う。
[感想と考察] ギャリーのプラスとマイナス

プラスポイント
プラチスが攻勢に出ようとした場面でも引かずに前に出て流れを渡さなかったところに強さを感じた。
一呼吸おいて落ち着きたくなってしまうような場面でも前に出て、プラチスにターンを回さない動きを取り続けており、強力なストライカーを相手にあの状態をキープし続けるという難しい作業をこなして見せた。
そこから「上手さと気持ちの強さ」を併せ持つというギャリーの強みを改めて感じ取ることが出来た。
この要素は上位のファイターを攻略する上で大いに役立つことになるのではないかと思う。
マイナスポイント
タックルとトップキープがもっと上手く行っていれば、スタミナの消耗を抑えつつダメージを稼ぎ、安定したペースで試合を進めていくことが出来たのではないかと思う。
また、スタミナが消耗してしまった場面でもグラップリング面での精度が高ければ、窮地を凌ぐ手札としてもっと有効に機能させていくことが出来たはず。
打撃に優れるギャリーではあるが、グラップリングの仕掛けに無駄打ちが多くなってしまったことで、スタミナの消耗を早めてしまっていた感があったので、タックルやトップキープの精度に更なる磨きが掛かることになれば、さらなる進化が促されるようになるのではないかと思った。
[感想と考察] プラチスのプラスとマイナス

プラスポイント
ストライカーにとって生命線となるテイクダウンディフェンスが非常に良く機能していたこと、そして5Rマッチという長いラウンドの試合でも最後まで動き、威力を残していたところ。
距離を掴まれ手数に差を付けられながらも致命的な状態には陥らないようにケアしつつ、最後まで力を残すことが出来ていたプラチスは、今後の成長で間違いなく厚みを増していくことになるだろう。
マイナスポイント
強力な武器を持っているが故に攻撃展開にバリエーションが無かったことが、ギャリーにペースを握らせ続けてしまった一つの原因だったのではないかと思う。
ムエタイベースの攻撃は確かに強力で、これまでも多くの対戦相手を沈めて来た。
しかし、ボクシングの展開で崩してみたり、ギャリーのようにグラップリングの展開を作って揺さぶりを掛けるなど、良くない流れを変えるための工夫が必要だったのではないかと思う。
威力のある攻撃に引き出しの多さが合わさることになれば、ランキング上位のファイターでも止めることが難しいファイターへと成長を遂げていく可能性がある。
「激戦区」ウェルター級の競争

現在のランクをプラチスから守ることに成功したギャリーは再び王座へと向かうことになる。
しかし、ベラル・ムハマッドが持つウェルター級のタイトルには、まずジャック・デラ・マダレナが挑み、その後ろにランキング1位のショーン・ブレイディや元々挑戦予定だったシャフカト・ラフモノフが控えている状態となっており、順番待ちが続いている。
このように王座戦線が非常に混み合っているウェルター級では、王座挑戦の切符を掴むことが非常に難しくなって来ていると感じる。
また、激戦区のウェルター級は上にも下にも強力なファイターが控えているため、王座挑戦のチャンスを掴むまでの間、そのランクを守っていくことも困難な状態となっているので、尚更王座戦まで漕ぎ着けることが難しい。
カマル・ウスマンやホアキン・バックリーにマイケル・モラレスなどの様々な強豪が王座を目指していることを考えると、その競争率の高さが窺える。
なので、今回王座へ一歩前進したギャリーではあるが、ここから王座までの道のりはかなり厳しいものになる可能性が高く、場合によっては初黒星を喫したラフモノフと再び対戦することにもなるだろう。
そういったことを踏まえて考えると王座はまだ少し遠いところにあると言えるのかもしれない。
ここからランキングにどんな変動が生まれていくのか、そこに注目が向けられる。
まずは5月に行われるウェルター級タイトルマッチで王座に変動が生まれるのかどうか。
その結果次第でウェルター級は更に混沌とした競争状態を築いていくことになるだろう。
