多様性
隣卓の皆が同じ定食を頼む中、その流れを断ち切って後輩と思われる若者が鍋焼きうどんを注文する。感じ取れる人だけが察知できる、微かな空気の揺れ。
一人だけ出て来る間が違い、その上で煮えたぎるうどんを周りと歩調を合わせるように気忙しく食べる羽目になる。
自分の人生、自分の選択こそ充実させるべきだ、そう思う。けれど最も大切な自分が大切にされない未来が予測される選択の場合、その選択を避けるのが自分を大切にすることなのか、ひたすら絶対的に自分を優先するのが自分を大切にすることなのか。
その若者の顛末が一つの答えを与えてくれそうだったものの、食堂の混雑ぶりはそれを見届けるのを許してくれそうもなく、先に食べ終えて店を後にする。
