見出し画像

羽のない天使 epi-29

〜虹の魔法神〜

――そして翌朝。

「みんな!おはよー!ははは!」
やけにテンション高めの隼人に、全員が「?」という顔。

莉子はというと‥ちらっと隼人を見ただけで赤面してしまい、慌てて目をそらす。

カレンがすかさずにやり。
「莉子、昨日なにかあったな〜?」

「ち、ちがうからっ💦」
慌てる莉子の頬は、ますます赤くなる。

初めて隼人を“男の子”として意識してしまった自分に、莉子は戸惑いながらも――
その朝は、なんだかとても眩しく感じられた。


谷を越え、岩肌をよじ登るように進んだ先――
突如として、鬱蒼とした森が切れ、灰白色の石柱が姿を現した。

風化して崩れ落ちた円柱が大地に横たわり、かつての威容を想わせる。

苔と蔦に覆われ、ひび割れた石の間からは小さな花々が咲いていた。

中心には、
丸く削られた祭壇が残されていた。
黒曜石のような光沢を帯びた石でできており、太陽の光を浴びると淡く輝きを放つ。

人の気配は一切なく、鳥や虫の声すら遠ざかり――そこだけが“時間から切り離された空間”のようだった。

ソフィアが大地に手をあてる。
「ここだわ。大地の記憶が眠る場所。神々に隠され、忘れ去られた祭壇」

カレンが囁くように続ける。
「この祭壇なら、魔法神を降ろせる」


〜儀式〜 

古代神殿の奥深く。
崩れかけた石柱の間に、6人と莉子は円を描くように立っていた。天井の裂け目から月光が差し込み、そこにただならぬ気配が満ちていく。

カレンが一歩前に出て、低く囁いた。
「ここが、
   魔法神を降ろすために封じられた“門”よ」

ソフィアは両手を大地に置き、震える声で祈る。
「眠れる大地よ、どうか目覚めを許して‥」
足元の石床に亀裂が走り、淡い光がじわりとにじむ。

アレハンドロは炎を掌に宿し、掲げた。
「炎は命。命を燃やして、ここに誓う!」
炎の赤が円陣の一角を照らし出す。

ミアが水の器を取り出し、静かに注ぐ。
「水よ、すべてを繋ぎ、癒すために‥‥」
その滴が床に落ちた瞬間、青白い光が広がった。

トゥルガンが風を呼び、髪と衣をはためかせる。
「風は魂。行くべき道を導け!」
神殿にざわめきが走り、風が円を形作る。

カレンが目を閉じ、時間の糸を指先に纏う。
「時よ、今だけ立ち止まり、永遠の瞬間を与えなさい」
光の糸が空間を結び、揺るぎない静寂が訪れた。

隼人が剣を掲げ、深く息を吐いた。
「陰と陽‥‥天地の理よ。ここに均衡を!」
剣に黒と白の光が重なり、鋭い輝きが放たれる。

そして、莉子が中心に立った。
胸の奥に響く声――リリアの気配を感じる。
「魔女の神よ。どうか私たちに、光を‥‥」

その瞬間、円陣の中央から、幾何学模様の巨大な魔法陣が浮かび上がった。



淡い金と銀の光が交錯し、天井まで届く柱となって立ち昇る。
仲間たちの力がひとつに繋がり、やがて形を持ち始める――

まるで太古の神が、光の中から姿を現そうとしているかのように。
















#創作大賞2026
#ファンタジー小説部門

いいなと思ったら応援しよう!

Rio よろしければ応援をお願いいたします。いただいたチップは、これからの創作や活動の大切な支えにさせていただきます