#毎週ショートショートnote 踏切オーディション
「納得できません」
「ど、どうした沼袋君、突然上司の部屋に乗り込んできて」
「このオーディション結果です」
「おう、これか。お客さんの人気投票で最推しの5人メンバーを決めるやつ」
「なんで…俺が最下位なんですか」
「沼袋君…」
「俺の稼働時間見ましたか?ぶっちりぎりでナンバーワンですよ」
「…そうだな、昼夜問わず働いてもらっている」
「故障もなし、ミスもなし。警報音聞かせましょか?誰よりも大きい声で鳴けてますよ、俺」
「う、うん。仰る通りだ‥」
「そんな俺が何で最下位なんですか!納得できません!」
「……君が"開かずの踏切"だからだよ」
「え?」
「なかなか開かない踏切は、それだけで人気がない‥いやむしろ嫌われてしまうんだ」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!俺が勝手にやってる訳じゃないでしょ!電車が来るから閉めてるんですよ!むしろ開いたらまずいでしょ!」
「それはそうなんだが…」
「じゃあ、なんですか?俺は仕事をすればするだけ嫌われるって事ですか!?」
「………」
「そんなのおかしいじゃないですか!大して仕事もしない、"設置された場所が良かっただけ”の奴が人気になるって事ですか!?評価されるのは環境だけで、踏切自体は見てもらえないって事ですか?」
「…そんな事はない…よ。」
「はっ、嘘言いやがって」
「この一位の鎌倉君は、そこそこの稼働率だが、ちゃんと人気も取れている」
「まあ、確かに。仕事をしてるのに、ちゃんと人気ですね…。こいつはどんな踏切特性が優れているんですか?」
「……」
「いいから言ってください」
「……人気漫画に登場する踏切なんだ」
「やっぱり環境じゃねーかぁぁ!!」
【了】

こちらは田原にかさんの企画に参加させていただいています!
