【中南米スタートアップ、お金は14%増えたのに「もらえた会社」は過去最少】——これは回復か、それとも"選別"か#スタートアップ。なぜ豊作の裏に時限爆弾が埋まるのか。 #ベンチャー投資 #中南米 #フィンテック #海外経済 #投資 #VC #ブラジル #メキシコ #経済ニュース
こんにちは、ポス鳥です。
ある国の果樹園で、今年の収穫量が前の年より14%増えました。
ところが、よく畑を見回ってみると、 新しく植えられた苗木の数は、過去8年でいちばん少ない 。実を結んでいるのは、すでに大きく育った一部の木ばかり。
これは「豊作」と喜んでいい話なのでしょうか。それとも、数年後にゾッとする「種切れ」の前触れなのでしょうか。
これが、いま中南米(ラテンアメリカ)のスタートアップ投資で起きていることです。
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📰 今日のニュース1分まとめ
2026年春前、中南米のスタートアップ業界を専門に調査している会社、クアンティコ・ブイピー(Cuántico VP)が、ある年次レポートの速報値を発表しました。
正式名称は、 「ラテンアメリカ・ベンチャーキャピタル・レポート2026」
長くて固い名前なので、これを少し噛み砕いて説明します。
🔍 これは、何を調べたレポートか
簡単に言うと、 「中南米の若い会社に、去年1年間でどれだけのお金が投資されたか」を国別・分野別に集計した成績表 のようなものです。
ここで一つ、言葉の整理をしておきます。
スタートアップとは、新しい技術やアイデアで急成長を狙う、生まれたばかりの会社のこと。
そして、そういう若い会社にお金を出して育てる投資のことを、 ベンチャーキャピタル(略してVC、新興企業に出資する投資会社・投資ファンドのこと) と呼びます。
例えば、こんな場面を想像してください。
・スマホ1つで銀行口座が作れるアプリを作った創業者が、事業を広げるためのお金を集める
・そのアプリの将来性を信じた投資ファンドが、数億円を出資する
・その代わりに、投資ファンドは会社の株式を一部受け取る
・数年後、その会社が大きく育てば、投資ファンドは何倍ものお金を回収できる
こうした「お金を出す側」と「お金をもらう側」のやり取りを、地域全体で1年分集計したのが、このレポートです。
例えるなら、 果樹園全体で「今年は何本の苗木に水と肥料が与えられ、どの木が大きく実をつけたか」を一覧にした記録ノート 、と考えると分かりやすいかもしれません。
⚡ そして、今回のレポートが示した「異常な食い違い」
このレポートの中身もインパクトが大きいのですが、 「お金の総額」と「お金をもらえた会社の数」が、正反対の方向に動いた ことが、業界に衝撃を与えています。
具体的な数字はこうです。
2025年、中南米のスタートアップに投資されたお金の総額は、 41億2,600万ドル(約6,400億円) 。前の年より13.8%も増えました。
ところが、その一方で——。
お金をもらえた会社(正確には「資金調達の件数」)は、 681件 にまで減りました。これは 2017年以来、過去8年でいちばん少ない数字 です。
つまり、 「お金は増えたのに、お金をもらえた会社は減った」 。
この食い違いこそが、今日の記事の主役です。
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🌸 6月の、梅雨の合間に
私がこのレポートを読んだのは、6月半ばの蒸し暑い昼下がりでした。
窓の外では、紫陽花(あじさい)が雨に濡れて重たそうに頭を垂れています。
ベランダのプランターでは、春に蒔いたバジルの種が、ようやく小さな双葉を出したところ。
種まきというのは、地味で目立たない作業です。
水をやっても、すぐには芽が出ない。芽が出ても、収穫できるのはずっと先。
でも、この「最初の小さな双葉」がなければ、夏のパスタに添える大きなバジルの葉は、絶対に手に入りません。
中南米のスタートアップのニュースを読みながら、私はなぜか、この双葉のことを考えていました。
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📨 一般的なイメージへの疑問
「投資額が14%増えた」と聞くと、多くの人はこう思うはずです。
「景気が良くなってきたんだな」「中南米のスタートアップ、復活したんだ」と。
ニュースの見出しだけを見れば、たしかにそう読めます。
でも、ここで自然な疑問が湧いてきます。
お金が増えたのに、なぜお金をもらえた会社は減ったのでしょうか。
増えたお金は、いったいどこに集まったのでしょうか。
そして——種まき(生まれたばかりの会社への投資)が過去最少だとしたら、数年後の収穫は、どうなってしまうのでしょうか。
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💼 筆者コメント
私は普段、貿易の仕事を通じて、世界中のお金とモノの流れを眺めています。
その視点から見ると、今回の中南米のニュースは、 「回復」という言葉で片付けてはいけない 、もっと根の深い話だと感じました。
なぜなら、これは中南米だけの話ではないからです。
「お金が一部の勝ち組に集中し、生まれたばかりの挑戦者にはお金が回らない」——この構造は、いま世界中で同時に起きている現象だからです。
日本のスタートアップにも、そして巡り巡って、私たちの暮らしにも関係してくる話です。
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📑 本文予告
この記事では、以下の流れで読み解いていきます。
第1章では、「お金は増えたのに会社は減った」という食い違いの正体を、数字で解き明かします。
第2章では、増えたお金がどこに集まったのか——ブラジルとメキシコ、そしてフィンテックという「勝ち組」の正体を見ます。
第3章では、いちばん怖い話——「種まき」が枯れ始めている、という時限爆弾について。
第4章では、それでも投資家たちが中南米に強気な理由を探ります。
第5章では、この話が日本に住む私たちに、どう関係してくるのかを考えます。
それでは、始めましょう。
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