オープンキャンパスでの有意義な質問の仕方(複数の大学・学部に合格した後でどちらに進学するか悩むのは後の祭り)

 総合型選抜の時期や、一般入試の時期が終わると、Yahoo!知恵袋で大学受験生たちから以下のような相談が相次ぎます。

「A大学のX学部とB大学のX学部に合格しました。私はどちらに進学するべきでしょうか?」
「A大学のX学部とY学部、B大学のZ学部に合格しました。私はどこに進学したらよいでしょうか?」

 どこの誰かもわからない人の、真偽不明な根拠に基づく意見に自分の将来を委ねて本当に大丈夫なのでしょうか。

 いざ入学金を振り込まなければならないという土壇場になって、こうしたことを質問していることそのものが、大学の受験準備に失敗している証拠なのです。賢明な受験生は、こうならないようにしなければなりません。

 どこの誰かもわからない、しかも十中八九、その大学の内部事情に疎いであろう人物に質問するのは悪手であるというのは、誰しも納得できるでしょう。では、一体誰に質問すればよいのでしょうか。

 各大学の強み・弱み(例えば、就職支援の状況や、ゼミ活動の中身、特色あるカリキュラム、学生のサークル活動の実態)などは、その大学の教職員が情報源として最も信頼できます。教職員は当然ながら内情を最も熟知していますし、職業倫理上、虚偽説明はできませんので。
※現役学生が次に有益ですが、学生は自分の身の回りのことしか知らず、学部全体や大学全体のことはよくわかっていない上に、他大学と比べて自分の大学が良いのか悪いのかの判断もできないので、勝手な思い込みで話をすることが多いです。過度な信頼は禁物です。

 受験後に大学の内部者に質問する機会はほぼありませんから、受験校を選定する段階でこうした情報をきちんと収集することが非常に重要です。ここを怠るから、冒頭で紹介したような、何の指針もない、行き当たりばったりな受験生に成り下がってしまうのです。進学先を考える上で重要となる情報は、オープンキャンパスや大学説明会の際に、教職員や現役学生に直接尋ねてみることを強くお勧めします。

 とはいっても、各大学の教職員は、なるべく自分の大学の悪い所は誤魔化して、良い所ばかりを伝えようとするものです。また、各大学が同じような宣伝文句を言って、違いが分からないということもよくあります。でも、質問のやり方次第では、有益な情報をポロっと漏らしてくれるものです。例えば、以下のような訊き方はいかがでしょう。

  • 「自分は公務員を目指していますが、この大学のX学部もY学部も公務員の勉強に向いているといいます。公務員を目指す上で2つに何か違いがありますか? 両者のメリット・デメリットはありますか?」

  • 「この大学とB大学では、就職支援の面で何か違いがありますか?」

  • 「X学部で教職課程を受講している学生は何%くらいですか? 教員採用試験の合格率はどのくらいですか?(公務員や国家資格などについてもこのように合格率を質問可。具体的な数値データを聞き出すとよい)」

  • この大学のX学部とB大学のX学部では、カリキュラムや教育活動にどのような違いがありますか? 学べることや教員の強みの違いがよくわからないのですが(B大学のパンフレットを見せながら)」

  • 「この大学のX学部のゼミの選択肢はいくつあるのですか(ゼミを担当する教員は何人ですか)?」

  • 「私は▲▲を深く研究してみたいと考えているのですが、この学部のゼミではそうしたことをやっているところはありますか? 具体的にどのようなことをやっているゼミですか?(どのような活動実績がありますか?)」

  • 「この学部の中退率や留年率はどのくらいですか? この大学の他学部と比べて高いですか低いですか?」

  • 「授業中にスマホを見てばかりだったり私語がうるさかったりする大学生も少なくないとネットで見ました。この大学のX学部の普段の授業での学生の様子はどのようなものですか?」(こうした質問こそ現役学生にするとよいでしょう)

  • 「自分はX学部とY学部で迷っています。どういう人がどちらに向いている、といった傾向はありますか? また、入学した後で自分の強みである〇〇を伸ばせたり、好きな△△をより学べたりするのはどちらですか?」

  • 「自分がこの学部に適性があるのかわかりません。できればこの学部の先生にアドバイスや参考図書を教わりたいのですが」

  • 「私は〇〇の学習が苦手です。この大学のX学部では、〇〇の知識が必要になるようですが、苦手でも授業についていけるでしょうか? 苦手な人でも単位が取れる科目はどれくらいありますか?(苦手なままでも卒業できますか?)」

  • 「もしこの学部に進学するとしたら、入学前に準備として学習しておくべきことはありますか?」

  • 「X学部に所属したまま、Y学部の講義やゼミを履修することはできますか?」

  • 「私は将来、大学院に進学したいのですが、この学部の大学院進学率はどれくらいですか? 他大学の大学院に進学する人はどれくらいいますか? 進学希望者へのサポートは何かしていただけるのですか?」

  • 「私は〇〇学を大学院で専攻したいのですが、この大学の大学院の修士課程で〇〇学を専攻している大学院生は何人くらいいますか?」

  • 「入学後にサークル活動はもちろん、アルバイトの時間を確保したいと考えています。教職課程を受講するとこうしたことは難しくなりますか?」

  • 「実家が遠くて通学にとても時間を取られます。この大学のX学部の時間割では、普通の学生は何時から何時まで授業が入っているのでしょうか? 必修科目や選択必修科目が開講されている時間帯も教えてください。また週に何日か大学に通わなくてもよい日は作れますか?」

  • 「この大学ではマイカー通学が可能という話を聞きましたが、構内駐車は学生であれば誰でもできるのでしょうか? また、利用料金はありますか?」

 このように、パンフレットや説明会では開示されない情報を根掘り葉掘りどんどん尋ねるということ、場合によっては他大学と比較させることによって違いを教職員自身に説明させること、というのがポイントです。2つの大学の違いが分からず悩んでいるのであれば、両方の大学で相手の大学と比較した答えをもらうと、双方の言い分が得られて良いでしょう。
 ただし、有意義な質問をするためには、事前にきちんと「自分が進路を決める上で判断材料にしたい情報は何か」を考えておく必要があります。そのためには、自分が大学でどのような生活を送りたいのか、どのようなモチベーションで学びたいのか、ということをイメージすることが重要です。「自分が大学生活に求めるもの」をある程度はっきりさせた上で、訊きたいことをリストアップしてみましょう。事前に質問リストを作成して持参すれば、当日になって大事な質問をし忘れるということを避けられます。

 これからオープンキャンパスや大学説明会の時期を迎える進学希望者の皆さんは、是非上記のことを実践して、後悔のない大学・学部の選択をしてください。

 私たちは、100万円未満の安物の新車を購入する時ですら、複数のディーラーをはしごしてあれこれ試乗したり、営業担当者に厳しい質問をしたりして、どの車にするか吟味するものです。大学の学費や4年間の生活費は、それよりもずっと多額の出費なのですから、大学の教職員にあれこれ質問するのは自然なことです。遠慮することなく質問してみてください。