【8/29】玉取祭——花火のない宮島で、夏の終わりに起きること
八月も下旬に入ると、瀬戸内の宿は少し静かになります。お盆の波が引いて、夏休みの終わりが見えてくる。この時期に「もう夏は終わったな」と感じる方も多いのではないでしょうか。
でも、宮島の夏がいちばん宮島らしいのは、実はここからだと思っています。
■ 8月29日、海の中で宝珠を奪い合う
2026年8月29日(土)、嚴島神社で「玉取祭(たまとりさい)」が行われます。祭典は9時30分から、目玉となる宝珠の争奪は10時30分ごろから。潮が満ちた社殿前の海に櫓が組まれ、そこに吊るされた宝珠を、若者たちが海の中で奪い合うという伝統行事です。(出典: 宮島観光協会 年間行事)
▼行事の詳細はこちら(出典: 宮島観光協会)
https://www.miyajima.or.jp/event/calendar08.php
言葉で書くとシンプルですが、あの朱塗りの大鳥居と社殿を背景に、水しぶきを上げて人が組み合う光景は、写真で見るのとまったく印象が違います。観光のために作られたショーではなく、地域に受け継がれてきた神事がそのまま続いている。宮島の行事には、そういう手触りがあります。
■ その一週間前、子どもたちが弥山を登る
8月22日(土)〜23日(日)には、大聖院で「弥山小坊主の会」が開かれます。13時から15時まで、座禅・火渡り・弥山登山といったお寺での体験修行を、小学3年生から中学3年生までのお子さんが無料で体験できるという行事です。(出典: 宮島観光協会 年間行事)
火渡りや座禅を、夏休みの終わりに体験する。塾でも部活でもない時間の使い方として、これはなかなか贅沢だなと思います。
■ 宮島には、花火大会がありません
宿を営んでいる立場から少し商売の話をすると、瀬戸内エリアの夏は「花火カレンダー」で動く面があります。周防大島、竹原、柳井、広島みなと——花火の日は宿の予約が一気に埋まり、翌日には潮が引くように静かになる。分かりやすい山と谷です。
一方で宮島には、いま花火大会がありません。かつての宮島水中花火大会は2019年で終了しています。夏の一番の集客装置がない島、ということになります。
それでも宮島に人が来続けるのはなぜか。運営しながら考えて、ひとつ思い当たるのは、宮島の魅力が「特定の一日」に依存していないことです。潮の満ち引きで表情を変える大鳥居、朝の静けさ、夕方に日帰り客が帰ったあとの参道、そして毎月のように続く寺社行事。一日限りの打ち上げではなく、365日ぶんの積み重ねで人を呼んでいる。
これは宿を作るときの考え方にも通じます。イベントの日だけ満室になる宿は、残りの360日をどう埋めるかという問いから逃げられません。逆に「その土地に来る理由」が日常の中にある場所なら、宿は落ち着いて商売ができる。宮島の対岸で宿を持つと決めたとき、私が見ていたのはそこでした。
■ 夏の終わりから、秋の入口へ
9月に入ると、宮島はさらに静かで濃い季節になります。9月11日(金)の四宮神社祭「たのもさん」、11日から13日にかけての大聖院・萬燈会。萬燈会は18時から21時、鎮魂と平和への祈りを込めて燈明を献じる法要と奉納コンサートが行われ、拝観は無料です。(出典: 宮島観光協会 年間行事)
夜の観音堂に灯りが並ぶ光景は、夏の喧騒とはまるで別の宮島です。日帰りでは絶対に見られない時間帯なので、この時期こそ泊まる価値があると思っています。
■ 島のそばに、拠点を
私たちは宮島エリアで三つの宿を運営しています。
〈グローバルリゾート弥山〉は廿日市市前空にある、瀬戸内海を望むお手頃価格の宿です。シングルから和室・和洋室・コンドミニアムタイプまであり、おひとり旅からご家族連れまで対応できます。旅の疲れを流せる大浴場が宿泊者は無料。夏季限定のオーシャンビューBBQもご用意しています。大野インターから車で約10分です。
〈MIYAJIMA VIEW〉は阿品にあるオーシャンビューの宿。ロフト付きのお部屋はお子さま連れのご家族に好評です。〈宮島 天神ハウス〉は廿日市市天神の一棟貸し。4名から10名まで、グループや大家族でまるごとお使いいただけます。
いずれも島の対岸側なので、朝いちばんのフェリーで島に渡って玉取祭を見て、昼に一度宿に戻って休み、夕方また島へ——そんな使い方ができます。真夏の宮島を歩くなら、この「戻れる拠点がある」というのは想像以上に効きます。
■ 結びに
花火は上がらなくても、宮島の夏はちゃんと終わっていきます。海に飛び込む若者の声と、火渡りをする子どもたちの足音と、九月の夜に並ぶ燈明で。
派手さでは花火に負けるかもしれませんが、記憶に残るのはこういう時間のほうだったりします。2026年の夏の終わり、宮島でお会いできましたら嬉しいです。
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