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ウィリアム・バード William Byrd 命日(1623年7月4日)

7月4日はウィリアム・バード William Byrd の命日(1543年ごろ〜1623年7月4日)です。

後世に描かれたバードの肖像画


リンカーン大聖堂聖歌隊を経て王室礼拝堂のジェントルマンとして活躍し女王エリザベス1世の寵愛を受けました。
しかしカトリックの信仰を貫いたバードは当局による迫害が厳しく、晩年は地方に隠遁し同じくカトリックの貴族に庇護を受けその館で行われる秘密ミサのための音楽を作曲し「家人の聖歌隊」の一人として歌ってミサの音楽を支えていました。バードの3声、4声、5声の三つのミサ曲もそんな秘密ミサで歌われたのだと考えられています。

バードが晩年に出版した「グラドゥアリア集」はカトリックの年間の主要な祝日のためのミサ固有唱の曲集です。

数日前、6月29日は「聖ペトロ聖パウロ使徒の祭日」でした。
バードを匿っていた貴族ピーター(=ペトロ)卿の名前にちなんで作曲され献呈されました。

ペトロというのはイエス・キリストの一番弟子で
十二使徒の頭でした。イエスの死と復活、昇天後
残された弟子たちをまとめたいわば初代教皇でした。
6月29日はこのペトロと、イエスには会ったことがなかったけどイエス・キリストの教えを広く宣教して世界宗教にしたパウロの二人の祝日です。

英国国教会はローマ教皇の権威を否定して英国王が教会の首長であるとしているため、この聖ペトロ聖パウロの祝日のための音楽およびミサは「私たちはカトリックだ!」という信仰の表れといえるでしょう。
ザ・シックスティーンによる録音があります。
4声のミサ曲との組み合わせでアルバムになっています。

ザ・シックスティーン
バード 4声のミサ曲
聖ペトロ聖パウロの祝日の固有唱
冒頭にはフランドルの音楽家フィリップ・デ・モンテがバードに送った「バビロンの川のほとりで」と
それに対するバードの返歌「どうして歌うことができよう」が収められています。

拝領唱として最後に収められた「あなたはペトロである」Tu es Petrus はイエスのペトロが使徒の頭であると定めた言葉に作曲され、ローマ教皇の首位権を象徴する聖歌とされます。

パレストリーナの曲がローマでは歌われますが、バードも作曲しているということです。

バードの作品として比較的よく知られている「アヴェ・ヴェルム・コルプス」Ave verum corpus (めでたし、まことのお体よ)はイギリス・ルネサンス音楽やルネサンス合唱を愛好している人々によってバードの代表作として愛聴・愛唱されていますが、聖トマス・アクィナス作のラテン語の詩に作曲され、グラドゥアリア集の中の「キリストの聖体の祝日の固有唱」として収められています。

英国国教会とカトリックの教義のもっとも大きな違いのひとつは、国教会は「キリストの実体変化」を認めていないという点です。
カトリックは聖体拝領はただの最後の晩餐の記念ではなく、ご聖体の中にほんとうにイエス・キリストが宿っていると信じています。
バードのアヴェ・ヴェルム・コルプスはこの点を強調した聖歌であるといえると思います。

3年前、バード没後400年の2023年にウェストミンスター寺院で国王チャールズ3世の戴冠式が行われ、その礼拝の中で王室礼拝堂聖歌隊によりバードの4声のミサ曲よりグローリアが歌われました。

400年前に隠れカトリック信徒として秘かに亡くなり葬られたバードのカトリックの秘密ミサのためのミサ曲が現代に国王の戴冠式で歌われるとは!とその事実に感嘆しました。

バードは1623年7月4日、隠遁先のストンドン・マッシ Stondon Massey という田舎で亡くなり、聖ペトロ聖パウロ教会の墓地に葬られましたが、どれがバードのお墓がわかっていません。

ストンドン・マッシの聖ペトロ聖パウロ教会
聖ペトロ聖パウロ教会の墓地
ウィリアム・バードの記念板

今日はそんなバードの命日です。
今日はバードの音楽を聴きたいと思います。

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