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『術式第6話:沈黙の対価』

 「本当にやるのか?」 

 絵に描いたような本部ビル。暗く凍りつく公式会見ホールの角で、芦名吉信は手に持った表記議謀書を見つめていた。

 生まぬる手の紛るさがは少しも満たされることなく、緊張の総面が上潤の窓が溶く音を吹き込む。夜の部屋には静かな無影燈が微かな音を続けながら明淡に光を落としていた。

 これは、血にまみれる手術の記録でもなく、医療過路の直接な証明でもなかった。

 だが、確かにそこには「教育」の名のもとに救われなかった味方達の魂が残っていた。

 この情報を公表する、それは、病院そのものを振り返す行為だ。

 まもなくして、法務部の結城佳乃の本室のドアが開いた。小さな柱時計がチチッと音を立てる。

「それは、非公式です。病院としては、内部での話し合いの結果、公表を控えることで一致しました。」

 それはまるで、既に「黙っていること」を持ち込まされたような発言だった。

 結城の手は振るえられたパンフレットを持つ。 その表紙には「性感」「社会的影響」「関係権」の文字。

 芦名は、それを気だることなく、静かに輪形の椅子に座る。 そして言う。

「病院が死んでも、味方が生きれば。他の手をたたける」

 ところが、次の日。 病院側の首脇発表は、全てを否定してきた。

「その文書は、とある個人の想定にすぎませんか?」

 麻醉分量、入陰時間、手術並行性。それらを合理化した「教育」は、公式には認められないと言い切った。

 だが、芦名は「最後の一手」を持っていた。 それは、術式教育セミナーで摂影されたバックアップ動画。

 そこに映っていた香川は、切り出したように気会も無く、たんたんと「教育ノ書ver.0.9」と書かれた資料を採用していた。

 「これを読み、『その味方』を送る。」

 それは、上野なしの命令書だった。

 教われたとおりにやっただけの、千葉、入身のすっかりやつれた眼を想い出して、芦名は下を向く。

 「それで、いのちは救われるのか?」

 直合の漏れたむきだしゅつは、再び、わずかに喧げられる気配を気づき始めていた。

 芦名は、停職処分を受けて、病院を離れることになる。

 しかし、「我々は変わらなければ」と言う声が、新たな医師達の間に生まれていた。

 最後に、術室のガラス越しに、静かな光が背中を照らす。

「次は、教える側を選ぶ。」

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