👦🏻小1男子、世界を救う計画中👦🏻
「ママ、ぼく、世界を救うからランドセルいらない」
「は?」
その日、小学1年の長男・悠翔が突如として“学校システム”に背を向けた。
「え、なに? 不登校の新手? 新型地球防衛論?」
「違うよ、ママ。“学校”より“地球”が大事な時ってあるの」
「出たな、急にスケールでかくなる系男子……!」
詳しく話を聞くと、こうだった。
昨晩、テレビで「温暖化が進むとペンギンが困る」と見た
ペンギンが困る=大変
ぼくが何とかする=ヒーロー
「……この時代に珍しい、“素で世界を背負う系小学生”来たわ……」
「今日から毎日、ぼくの任務は“エコ”!」
「エコってランドセル拒否と関係ある!?」
翌朝、悠翔は牛乳パックを頭にかぶって登校しようとした。
「帽子、これにした。リサイクルで強い子になる」
「わかった。いったん止まろう。ママが教育委員会に怒られる前に止まろう」
彼の作戦はどんどん展開される。
・給食の残飯を持ち帰ろうとする(⇒禁止)
・水道の蛇口に「3秒で止めて」と張り紙を貼る(⇒先生が困惑)
・校庭の隅に“太陽エネルギー回収基地”と書いた段ボール設置(⇒風で飛んで撤去)
「発想は尊いけど、現実が追いついてないのよ!」
そんなある日、担任の山本先生が家庭訪問に来た。
「お母さん、悠翔くんですね、彼……すごく熱心です。ちょっと“物理的に浮いてる”だけで」
「それ、褒めてる!? デリケートな言い回しだけど褒めてる!?」
「今日も“校庭のすべての石に名前をつける”活動をしてました」
「それエコか!? ただの愛着形成では!?」
だが、ある日ちょっとした出来事が。
校内放送で「エアコンをつけたままの教室があった」と聞いた悠翔が、昼休みに校舎中のスイッチを確認しに行き──
「……全部、切ってきた!」
翌週の“エコ委員”に任命された。
「え、エコ委員とかあるの!?」
「やっぱね、地球を救うには地道な委員会活動も大事なの!」
「急に大人みたいなこと言い出した!?」
その後、悠翔の“ちょっと変だけど熱い行動”は学校全体に少しずつ波及する。
・教室の電気をつけっぱなしにしなくなった
・“紙を大事に使う週間”ができた
・給食の残りを「生き物の気持ちを考えよう」と話し合う会ができた
全員が本気ではない。
でも、何人かは本気になってきた。
そして学期末、学級新聞の“特集ページ”にこんなタイトルが載った。
「1年2組、ちいさなエコ戦士ができること」
主役はもちろん悠翔。
彼の口ぐせはこうだった。
「むずかしいことは、あとでやって。かんたんなことは、いま、やって」
母である私は、ある夜こっそり彼に聞いた。
「ねえ、なんでそんなに地球を守りたいの?」
悠翔はまっすぐ答えた。
「だって、ぼくが大人になるころに、“住めなくなるかも”って言われたらさ。
先に“住めるように”しといたほうがいいでしょ」
「……あんた、ほんとに小1……?」
「ママはママで“家計エコ”がんばってね」
「やめて! それ急所つくやつ!!」
最近では、悠翔は「環境大臣(仮)」と自ら名乗り、
夏の自由研究は「ペンギンを守る方法と、水筒の関係」だった。
今日も元気に登校する。
ランドセルを背負い、帽子に牛乳パックはついていない。
でも、ポケットには“再利用したプリントの裏”に書かれたエコ行動リストが入っている。
たぶん、彼は世界を救うかどうか以前に、
周りの“気持ち”を変えてる。
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