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漫画家アシスタント物語 もう終わりで章 〈3〉 想定外のプレゼント‥‥!

 
《 写真上:大学を辞める時、最後の登校日に贈られた教務課からのプレゼント。GODIVAのチ ョコレート‥‥たぶん5000円位するんじゃないかと思います。何故、GODIVAなのかは分かりませんが、私にとって思い当たる点がひとつだけあります‥‥‥‥それは、近いうちに本編にて。2016年3月 》
        < この『もう終わりで章〈3〉』は、文庫本約8ページ分 >

 
 
「もう終わりで章」は、独立した「章」ですので、「古い話で章」の続きではありません。 無料で、各話、お楽しみいただけます!
 
ただし‥‥ 各話が連続していますので、
「もう終わりで章〈1〉」からお読みいただく方が、よろしいかと思います。
 
はじめての方は、
「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!

 
 

               その5

    《 漫画家アシスタントが・・・満開の桜の下で・・・ 》
 

桜が曇り空の中で満開です。

重い曇り空で薄汚い印象もありますが‥‥ 大きな桜の大木がギッシリと花を咲かせている姿はやはり見事です。

きっと誰でも、自分の人生が満開の桜のように華やかであれば‥‥ そんな夢にひたるのでしょう。

でも、私は桜を見るたびに思い出す事があります‥‥‥‥

以前、豊島区千早町に住んでいた頃にお世話になったクリーニング店の老婆の言葉です。

「 満開の桜の樹の下で死にたいわぁ 」

桜の咲く頃になると、そう言っていた言葉を私は思い出すのです。

あれから30年経っていますので、もうこのクリーニング店はありませんし、きっと老婆も鬼籍に入っていることでしょう‥‥ 彼女が、桜の木の下で死ねたかどうか‥‥‥‥

私は、いつも満開の桜を見るたびにこの言葉を想うのです。

さて‥‥

桜の頃といえば、学校の新学期がそろそろ始まります。

私が勤めた新宿のT大学も今月初めから授業が始まるはずです。

そもそも、私が大学で教えるようになったのは、このブログが書籍化されたりラジオに出演した事が契機になっています。

このブログがなければ、大学で教える事など一生なかったと思います。

夢中で勤めた( 約7年間 )非常勤講師ですが、過ぎ去ってみればあっという間の出来事でした。

大学の講師をやると決まった時に、私にアドバイスしてくれた都留文科大学の文学教授T先生( ※参照 )は、こんな事をキッパリとした口調で語ってくれました。

「 大学講師なんて誰だってできるんだよ! 」

大学の講師って仕事を重く考えていた私にとっては、意外な言葉でしたが‥‥‥‥

この言葉で、登校前に深刻だった気分が軽くなったのは事実です。

「 授業なんてハッタリだよ! 」

そうアドバイスしてくれたのが、昔、劇画のアシスタントをしていた頃の先輩Nさん( ※参照 )でした。

Nさんは、神戸の専門学校で漫画を教えていたので、私にその体験から貴重なアドバイスをくれたわけです。( 朝シャンや遅刻厳禁等々 )

この言葉で、知識や経験よりも度胸の方が重要なんだと知りました。

私は大学を辞めるにあたって、後任の先生を学校へ推薦したのですが‥‥

その人物は、このブログの読者でよくコメントをくれた人物です‥‥ アシスタントの経験、背景画力、人物、個性など‥‥ 総合的に判断して、後任の講師に推薦させてもらいました。

その彼に、今では私が‥‥

「 講師なんて誰でも出来るし、授業なんてハッタリだよ! 」

‥‥と、アドバイスしているわけです。
 
 
ちなみに、後数年もすると‥‥ 私は‥‥‥‥

「 満開の桜の樹の下で死にたい 」

なんて言い出すかも知れません‥‥‥‥
 
 
でも‥‥

タイへ移住するつもりなんですから‥‥‥‥

桜は‥‥‥‥

無理だなぁ‥‥

( 落胆 )
 
 
 
 
 


私が勤めていた大学を最後の授業を終えてから撮影したものです。 新宿西口、ガードの目と鼻の先、商業ビル街にある大学です。 裏には墓地があって、授業前、まだ学生がいない教室で私はその墓地を眺めていました。 新宿のド真ん中の墓地、ちょっと別世界なんですこれが! 2016年3月


                その6

  《 漫画家アシスタントが・・・チョコレートを配る・・・! 》

通っていた低京大学を半年で除籍になった私( 当時17歳 )が、漫画家でもない私( 自慢にもならないアシスタント生活40年 )が、大学で漫画を教えるのですから不思議な時代です。

まったく信じられないような、奇妙な気分( 筒井康隆か星新一の世界にいるような気分 )を7年間味わっていたわけです。

2008年、新宿にある美術系大学7階‥‥

大学からの要請で非常勤講師になる時、最初の面談には理事さんやら教務課長さんやら、背広をビシッと決めた方々から審査されるわけです。( 私はノーネクタイでGパンとジャケット )

その時に私が最初に言ったのは‥‥

「 ハッキリ言って、私は漫画の背景の事しか知らないし、技術的な話や経験談以外、何も出来ません 」

アシスタントの仕事しか知らない私にとって、大学での講義が出来るのかどうか‥‥‥‥ まったく自信がなかったわけです。

ところが、私のこの言葉に、面接した学校側の方々は、皆嬉しそうに‥‥

「 そういう人を探していたんです! 」

‥‥‥‥そう言われても、まだピンと来ない( ただのアシスタントなんですが? )‥‥‥‥

『 ホントに大丈夫なのかしら? 』

『 ホントのホントに? 』
 
「 先生 」と呼ばれる事に慣れたり、教師としての「 少しの自信 」が持てるようになるのは、この最初の授業から2,3年経ってからでした。

漫画背景を教える授業で、1年生には初歩的な段階の背景を教えるわけですが‥‥

その授業で「 透視図法 」というやっかいな技法を教えるのに、小道具として私はチョコレートを利用しました。

簡単な課題を4つ出し、それを授業の間に全て完成させたらご褒美ほうびとしてチョコレートをあげるよ‥‥ という授業です。

ただ、グリコや森永のチョコではインパクトが薄いので、「 GODIVA 」を選び、早く完成させた学生から順番に一粒づつ配ったのです。

決して高くはない授業料から、チョコレート代2000円は痛かったのですが‥‥

結構、学生たちからのウケも良く、授業にメリハリが付いたのではないかと思います。

その事が私の知らぬ間に学校で話題になっていた様子で‥‥‥‥

前回の拙ブログの写真‥‥ チョコレート「 GODIVA 」の箱‥‥‥‥

大学を退職する私に贈られた教務課からの贈り物‥‥‥‥ 

‥‥というわけです。

漫画背景を描く事しか能のない私に‥‥ 随分と気を使ってくれたものです‥‥‥‥ こちらから「 GODIVA 」を贈りたい位の心境です。

ちなみに、大学で非常勤講師をしている事をジョージ先生には話していません。

つまり、この7年間、ジョージ先生は私が副業で漫画を教えていた事を知らなかったはずです。( 後に噂で知ったみたいですが )
 
 

大学へ通うのと同じ頃の事です‥‥

神奈川県厚木にあるT大学芸術学部マンガ学科で拙作「 漫画家アシスタント物語 」を2回(各90分)に分けて講演してほしいとの要請を受けた翌日‥‥

私は、その話をジョージ先生にした時の事ですが‥‥‥‥

「 先生、T大学の漫画学科から講演の依頼がきて‥‥ 」

「 俺ぃは忙しいからよ~、ちょっと(予定が)わからにぃ~んだよな 」

‥‥‥‥先生は、自分が依頼を受けたのだと誤解しているわけです。

まさか自分のバカ弟子が大学から講演を依頼されるなんて‥‥ 先生の常識という辞書には、絶対に存在しないのだと思います!

「 先生、そうじゃなくて、私が講演に行くんですが‥‥ 」

「 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 」

他人のオナラでも‥‥ かがされたような先生の顔‥‥‥‥
 

    
  
 
  
    「 漫画家アシスタント物語 もう終わりで章〈4〉」へつづく・・・・
                「もう終わりで章〈2〉」へもどる‥‥
                         「もくじ」 へ‥‥
 
 
 
 
 
~~~ 参照  もう終わりで章〈2〉~~~

【その5】
・T先生 :
 私の高校時代の国語の先生。 最近まで都留文科大学で現代文学の教授をされていました。ちなみに、私の文庫本「劇画蟹工船」の解説文を書いて下さったのがこのT先生です。( 現在は同大学の名誉教授 )
・先輩Nさん : 私がかわぐちかいじ先生の所でアシスタントをしていた頃の先輩。現在(2015年)は神戸で専門学校の先生をしながらデザイン会社を経営されています。2025年1月note開始。現在はグラフィックデザイナー

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