”Morning Shot” 泡風呂で六法をめくった女――元吉原ソープ嬢「まなちゃま」が嗤う、士業の偽善と男たちの業
聖人君子の説教を泡で洗い流す、泥水から咲いた極彩色の毒花
泡風呂で六法をめくった女――元吉原ソープ嬢「まなちゃま」が嗤う、士業の偽善と男たちの業
親のネグレクト、慶應合格、縛った客の横で資格勉強。倫理を焼き尽くして這い上がった怪物の生存戦略
品行方正を絵に描いたような士業の世界に、土足どころかピンヒールで乗り込んできて、灰皿をひっくり返すような女がいる。
「行政書士会には“まだ”怒られてないです!」
そうケラケラと笑う保利澄香、27歳。Xでは「元吉原嬢 行政書士のまなちゃま」を名乗り、吉原の泡風呂で6年間、男たちの欲望を洗い流してきた過去を一切隠そうともしない。それどころか、10人以上のスタッフを従え、農地転用や再エネといった数百万単位のゴツい案件を涼しい顔でさばきつつ、夜職の女たちの告訴状代行やDV相談を請け負っているという。
世間の良識派や、古臭い看板にあぐらをかいたオッサン士業連中が眉をひそめ、胃を痛めている姿が目に浮かぶようだ。だが、この女の履歴書を前にして「不道徳だ」「資格の品位が」などと説教を垂れる奴がいたら、そいつは世の中の泥水を一滴もすすったことがない温室育ちの腑抜けか、ただの偽善者である。
秋田の開業医の家に生まれながら、家庭内はヒステリーと罵倒が飛び交う機能不全の地獄。太っていると嘲笑され、色つきリップを買えば色気づいたとなじられる。そんな息の詰まる檻から脱走し、19歳で「ソープで働く」と親に告げたときの両親の反応が凄まじい。「それしか稼げねえのか」「勝手にすれば」。勘当すらされない、完全なる育児放棄の冷え切った突き放し。親の愛という幻想を早々にドブへ捨てた彼女が、自力で生き延びるために選んだのが、夜の街だった。
川崎の格安店に足を踏み入れれば、階段を上がってくる客は歯がないのが当たり前、ウイスキーの瓶をラッパ飲みしながら現れる魑魅魍魎のパレードだ。普通ならトラウマを抱えて逃げ出すところを、彼女は川崎の軍隊じみた高級店へ移籍し、稼いだ金で慶應義塾大学法学部に一般入試であっさり合格してみせる。高校中退の身から、大検を経て、親の金を一円も頼らずに手に入れた慶應の学歴。この時点で、親の脛をかじってキャンパスライフを謳歌していた連中など足元にも及ばない猛者である。
さらに圧巻なのは、吉原に移籍してからの立ち回りだ。コロナ禍のリモート講義をソープの待機部屋で受け、店の写メ日記にエロ写真ではなく「今日学んだ法律の論点」を書き殴る。するとどうだ。大企業の法務部員や現役弁護士といったハイエンドなスケベどもが吸い寄せられ、ベッドの上で120分枠を取り、生講義を開いてレポートの添削まで買って出る。果ては「勉強しろ」と客が12時間枠を買い取り、本人は出勤もせずに100万円以上を売り上げる。男の性欲と知識欲と庇護欲を同時に毟り取り、自分の血肉に変えていくその姿は、寄生どころか猛獣の狩りそのものだ。
極めつけは、行政書士試験の勉強風景である。客に頼まれて目隠しをし、両手を縛り上げて放置プレイを食らわせている間に、自分はベッドの脇で六法のテキストを黙々とめくっていたという。性癖を満たされて悶える縛られた男と、その横で国家資格の勉強に励む女。これほどグロテスクで、これほど痛快なシュールレアリスムの絵画が、かつて日本のどこにあっただろうか。
男関係の無軌道さも、もはや清々しいまでの暴走列車だ。20歳で外資コンサルの男を泥酔させて婚姻届を叩きつけ、ソープ勤務を5年間隠し通して離婚。次はパパ活アプリで知り合った男に「さて、結婚のお時間です」と迫って3カ月でスピード離婚。現在は医師の夫と結婚2週間で別居して離婚調停中、家賃は夫に払わせながら、自宅には30歳の法曹関係者の「ヒモ」を住まわせているという。倫理観のメーターはとっくにぶっ壊れている。だが、男の金とステータスにすがりつく寄生虫たちと決定的に違うのは、彼女自身が誰よりも稼ぎ、誰よりも冷徹に現実を見据えている点だ。
「運がよかった」「一歩間違えたら自分だった」
そう語る彼女の事務所には、スタッフの9割に元ソープや元クラブホステスといった夜職の女性たちが集まり、泥沼のトラブルを法的に解決する防波堤となっている。大学の法学部を出て、きれいなオフィスで権利擁護を叫ぶだけの高尚な学者やフェミニストたちが束になっても救えない生々しい地獄を、彼女は現場の匂いと法律の切れ味で救い上げているのだ。
清廉潔白ぶった顔で他人の人生を裁きたがる世間は、彼女のような存在を「悪目立ち」「異端」と呼びたがるだろう。だが、誰にも頼れず、泥水に顔を突っ込み、男の欲望を足場にして這い上がってきたこの女の生命力は、綺麗事で塗り固められたどんな正論よりも圧倒的に正しい。
ベッドの上で男を縛り上げながら手に入れたその資格と覚悟は、机上の空論しか吐けないエリートたちの薄っぺらなプライドを、これからも容赦なく踏みにじり続けるはずだ。
〈了〉
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