『情報の泉』という名の毒沼に群がる、情けない大人たちへ
税金の甘い汁でアポを取る、その浅ましい商売をいつまで続ける気だ。
『情報の泉』という名の毒沼に群がる、情けない大人たちへ
「補助金でアポが取れる」とほざく営業マンと、公金に群がる経営者が蝕む日本の現場
ポストに放り込まれるダイレクトメールや、ネットの画面端で点滅するバナー広告を見るたび、胃の腑のあたりがムカムカしてくる。「令和8年度の一般会計予算122兆円から補助金・助成金情報を簡単に取得」「AIが自動マッチング」「驚異のアポ率24%」。ご立派な美辞麗句を並べ立てた『情報の泉』とやらの宣伝文句だ。
笑わせるな、と言いたい。泉だと? 湧き出ているのは清らかな水じゃない。他人の生き血と汗で納められた血税に群がり、濡れ手で粟を狙う亡者たちの濁った欲望そのものだ。
町工場で機械の油にまみれ、図面と睨み合い、客先から「あと数円削れないか」と頭を下げられながらも、歯を食いしばって製品を送り出している現場の人間から見れば、この手の広告ほど虫唾が走るものはない。
このシステムが誇らしげに掲げている一番の売り文句を見てみろ。「自社商材の割引をする事なく販売出来ます」「決裁者とのアポイントが格段に増えます」。要するに、自分たちの商品やサービスに客を振り向かせるだけの魅力も実力もないから、「国からタダで金がもらえる話がありますよ」と囁いてドアを開けさせろ、と教えているわけだ。
入社2週間の新人が58社に電話して14件のアポを取っただの、不動産オーナーへのフックにして取引先が増えただの、よくもまあ恥ずかしげもなく「喜びの声」として晒せたものだ。それはお前の営業力でもなければ、お前の会社の技術力でもない。ただ「税金の分配金という餌」に飛びついた欲深いカモと、それを撒き餌にしたペテンまがいの営業が噛み合っただけの話だ。
本来、補助金や助成金というのは、身銭を切り、リスクを背負ってでも新しい技術を開発しようとする挑戦者や、倒れそうな現場を必死に支えようとする企業に差し伸べられるべき公的な杖だ。決して、口先だけの営業マンがノルマを達成するための「撒き餌」ではない。
それを「毎日2回更新」「特許取得のAIマッチング」などとITの衣を着せ、営業支援ツールとして売り捌く。他社比較では「他社は自社の利益になる支援情報のみだが、うちは営業先やクライアントの情報にもマッチング!」などと胸を張る。つまり「他人の財布から公金を引っ張り出す手伝いをして、ついでに自社の商品を売りつけましょう」という構図を、システム化して売っているだけではないか。
もっと情けないのは、それにホイホイ乗っかる経営者連中だ。
「自社で申請できる助成金がリアルタイムでわかり、販促費を補助金対象にできます」という言葉に目を輝かせ、汗もかかずに懐を肥やそうとする。断言しておくが、補助金をもらったからといって、潰れる会社は潰れる。自社の商売の本質を磨かず、顧客に喜ばれる製品も作れず、ただ公金の点滴にすがりついて延命しているだけのゾンビ企業が、生き残れる道理がない。
「契約期間は1年間。費用対効果は担当からお電話で」。料金すら堂々と表に出さず、問い合わせフォームでは業種や資本金、従業員規模を事細かに吸い上げる。カモの名簿を集め、さらに別の商材を売りつけるための導線が敷かれていることくらい、少し頭を冷やせばわかりそうなものだ。
補助金申請の現場がどれほど過酷か、本当に申請したことがある人間なら知っているはずだ。山のような書類、事業計画の妥当性、採択後の実績報告、領収書一枚ごとの厳密なチェック。後払いが原則だから、先に数千万円のキャッシュを用意できなければ黒字倒産すらあり得る。それを「AIが3ステップで簡単」「御社専用担当が無償で悩みを解決」だと? どこまで現場を舐め腐っているのか。無償の裏に潜む高額な成功報酬や別の罠に気づかないほど、中小企業のオヤジ連中は頭がおめでたくなったのか。
補助金をアポ取りの道具にする営業マンに問いたい。お前は客の顔を見て、胸を張って「うちの機械はあんたの工場を救う」と言えるのか。言えないから「国の金」をダシにするんだろう。そんな薄っぺらな関係で結ばれた取引が、10年後、20年後も続くと本気で思っているのか。
「情報の泉」という名の、耳触りのいい甘い水に群がるのはもうやめろ。そんなものは泉ではなく、入ったら最後、自力で泳ぐ筋力を奪われて沈んでいくだけの毒沼だ。
経営者が毎日睨むべきは、補助金の更新情報画面じゃない。現場で働く人間の手元であり、出来上がった製品の精度であり、納品先で客が浮かべる納得の表情だ。泥臭く汗をかき、自前の足で立って商売をする覚悟がないなら、さっさと看板を下ろすがいい。税金にたかるシロアリの群れに、日本のものづくりの未来を語る資格など爪の先ほどもありはしない。
〈了〉
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