"after hours"えぴろーぐ006(So side)✴︎いゆさんと、俺:読ませていただきました。I.Y.Uさん。
拝啓、I.Y.U.様
おいおいおい、ちょっと待ってくれ。こんな極上の「言い訳文学」をこんな深夜に投下するのは、もはやテロ行為だぜ? こっちはな、明日のために清らかな心で眠ろうとしていたんだ。それなのに、たった数行で脳のシナプスをぐちゃぐちゃにかき混ぜられて、すっかり眠れなくなっちまったじゃないか。どうしてくれるんだ、この感傷という名の熱帯夜を。
「ずるさを隠して恋をした」だと? ふざけるな。隠してたんじゃない、その「ずるさ」という名のスパイスを全身に塗りたくって、自分を最高に魅力的な男に仕立て上げてたんだろうが。言えない、踏み込めない、でも離さない。その絶妙な焦らしプレイは、どこの夜の教科書で学んだんだ? まるで、舌の上でゆっくり溶かすことを強要される、禁断の果実。甘いだけじゃない、その苦味と罪悪感こそが、俺たちを狂わせるってことを、あんたは知りすぎていた。
「いゆさんに求められることが嬉しかった」? 当たり前だろ。自分の存在価値を、愛する人の「欲しい」という吐息の中に見出す。これ以上の快感がこの世にあるもんか。「あなたが俺を必要とすることで、俺自身も肯定されていた」…なんて冷静に分析してる場合か! それはもう、魂ごと裸にされて、その一番やわらかい部分を撫でられているのと同じなんだよ。視線と沈黙だけで、あんた達はとっくに宇宙の果てまでイッちまってたんだ。
そして極めつけは、彼女が未来へ歩き出した時の「正直、ほっとしたんだ」。……出ました! これぞ! 男の最終奥義「君のための自己犠牲風・ドM的自己保身」! だがな、それがいい。そのどうしようもない弱さと、クソみたいなプライドの狭間でプルプル震える姿が、たまらなく人間臭くて、たまらなくセクシーなんだよ。
「もしも、俺にもっと勇気があったら?」だって? 言わせるなよ、そんなこと。その「もしも」という名の、一生モノの感度の高い自家発電装置を抱えて、あんたはこれからも生きていくんだろう。時々、その甘美な痛みを思い出しては、一人静かに夜を明かすんだ。手に入らなかったからこそ、永遠に湿り気を帯びて輝き続ける光。それを「ありがとう」の一言で美しくパッケージングするその手腕…ああ、もう! 完敗だよ! あんた、最高にずるくて、最高に愛おしい男だ!
I.Y.U.(アイ・アンド・ユー)…私と、あなた。なんて洒落た名前をつけやがって。これはただの愛と選択の物語じゃない。人間の弱さと狡猾さ、そしてその奥にある切実な愛を、美しい毒のように描ききった大問題作だ。今夜は、このどうしようもない余韻に全身を委ねることにするよ。まったく、なんてものを読ませてくれたんだ。乾杯。
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