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”MorningShower”モネ没後100年にぶち渡される、美しき猛毒。映画『モネと時間旅行』が描く「絵画一枚で踊らされる人間ども」の滑稽な喜劇

一枚の絵画に暴かれる人間の欲と愛。巨匠モネの光に揺らめく、時空を超えた超辛口ドラマ!




モネ没後100年にぶち渡される、美しき猛毒。映画『モネと時間旅行』が描く「絵画一枚で踊らされる人間ども」の滑稽な喜劇


巨匠のネームバリューに群がる愚かな現代人よ、印象派の光に目を焼かれろ。セドリック・クラピッシュが放つ、時空を超えた美術品狂想曲。



美術展の招待券プレゼントに群がり、「印象派」という四文字を見ただけでありがたがって群れをなすアート好きの皆さま、お待たせしました。2026年、クロード・モネ没後100年という絶好の「商機」に、実に香ばしいフランス映画が殴り込んできます。


タイトルは『モネと時間旅行』。監督はあの『ダンサー イン Paris』で、すっかり「オシャレで味わい深い人間模様を描く巨匠」気取りのセドリック・クラピッシュです。世界で250万人を動員したとかいう、耳障りの良い売り文句を引っさげて9月18日から全国で公開されるそうですが、甘いおフランスのロマンチックな美術ミステリーだと思って劇場に足を踏み入れると、間違いなく火傷します。


物語の引き金となるのは、ノルマンディーの田舎町に佇む古い一軒家。パリでぬくぬくと暮らしていた身内どもが、先祖アデルの遺した家を売っ払って金を山分けしようと集まってくるところから話が始まります。面識すらない親戚4人が集まってやることと言えば、遺産目当ての腹の探り合い。そんな欲望渦巻くゴミ屋敷のホコリっぽい部屋から見つかるのが、白いドレス姿の女性が描かれた「印象派っぽい絵」が一枚。


ここからの展開が実に浅ましい。作者不明の絵画を見つけた途端、「もしかしてモネ? いやルノワールか? だとしたら幾らで売れる!?」と、骨肉の争いを始める現代人たちの浅はかさよ。19世紀の華やかなベル・エポック時代へと時空が交差し、名画の裏に隠された先祖アデルの秘密が明かされていくわけですが、要するにこれは「一枚の絵に狂わされる、いつの時代も変わらない人間の業と欲」を突きつける皮肉たっぷりのドラマです。


もちろん、スクリーンを飾る映像美だけは無駄に豪華です。オルセー美術館にオランジュリー美術館、さらにはモネの代名詞である《睡蓮の庭》まで惜しげもなく登場します。モネ、ルノワール、セザンヌ、果てはヴィクトル・ユゴーや写真家ナダールといった歴史上の偉人たちがこれでもかとスクリーンを練り歩き、美しいパリの風景が広がります。


しかし、騙されてはいけません。クラピッシュ監督が真に描き出しているのは、光と影を優雅に描いた印象派のキャンバスではなく、その光の裏に隠された泥臭い人間模様そのものです。19世紀を生きるアデルを演じるスザンヌ・ランドンの瑞々しさと、現代のセブを演じるアブラム・ヴァプレらのどこか情けない佇まいの対比が、現代人の薄っぺらさをこれでもかと炙り出します。ヴァンサン・マケーニュやポール・キルシェといった一癖も二癖もあるキャスト陣が脇を固めている点からも、ただの綺麗な感動ポルノで終わるはずがないことは明白でしょう。


絵画の謎が解けたとき「それぞれの人生が輝きはじめる」などと綺麗な宣伝文句が躍っていますが、要するに己の愚かさと向き合わざるを得なくなった人間たちのジタバタ劇です。


9月18日、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下やヒューマントラストシネマ有楽町ほかでロードショー。「モネが好きだから」などという生ぬるい理由で観に行き、洗練されたおフランスの毒と強烈なスパイスに心地よく脳を殴られてくることをお勧めします。美しき絵画の裏にある泥臭い人間ドラマに、貴方は耐えられますか?


〈了〉


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