新NISAとiDeCo、公式サイトの数字だけで答えられる5つの疑問
【2026年9月16日 訂正】Q5の加入できる年齢(誤:60歳未満)と受給を開始できる時期(誤:60〜69歳)の記述が現行制度と異なっていたため、iDeCo公式サイトの記載にもとづき訂正しました。
新NISAとiDeCoの比較記事は無数にありますが、読むほど分からなくなることがあります。「どちらが得か」という問いの立て方が、そもそも答えの出ない形をしているからです。
そこで逆から行きます。金融庁とiDeCo公式サイトに書いてある数字と文言だけで、はっきり答えが出る疑問を5つ選びました。出典と確認日を全部付けます。ここで答えが出ない部分は「答えが出ない」と書きます。
Q1. 新NISAの1,800万円は、売ったら戻ってくるのか
**戻ります。ただし翌年以降で、戻る額は買ったときの値段の分です。**
金融庁の説明はこうです。「売却した場合、翌年以降売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能」(金融庁「新しいNISA」2026年9月12日確認)。
ここで効くのは簿価という言葉です。100万円で買ったものが150万円になって売れた場合、戻るのは100万円分。値上がり分の50万円は枠として戻りません。逆に80万円に下がって売った場合も、戻るのは100万円分です。
そして「翌年以降」なので、同じ年のうちに売った分の枠を復活させて買い直す、という使い方はできません。
Q2. つみたて投資枠と成長投資枠は、同じ年に両方使えるのか
**使えます。年間で合計360万円です。**
金融庁の公表値は、つみたて投資枠が「年間120万円」、成長投資枠が「年間240万円」(同上)。合計で年360万円になります。
ただし総枠には別の上限があります。非課税保有限度額は「1,800万円が上限」で、「成長投資枠はそのうち1,200万円が上限」(同上)。つまり成長投資枠だけで1,800万円を埋めることはできません。最低600万円分はつみたて投資枠で埋める必要がある、という構造です。
Q3. iDeCoは、いくらから始められるのか
**月5,000円からです。**
iDeCo公式サイトの記載は「月々5,000円以上1,000円単位で、ご自身の加入資格に沿った上限額の範囲内で設定できます」(iDeCo公式サイト、2026年9月12日確認)。
上限額は加入資格によって変わるので、ここは自分の資格を確認する作業になります。下限は職業に関係なく月5,000円です。
Q4. iDeCoの「掛金が全額所得控除」は、誰にでも効くのか
**効かない人がいます。ここが比較記事でいちばん省略される点です。**
iDeCo公式サイトは、税制優遇の説明のなかで明確にこう書いています。「課税所得がない方は、掛金の所得控除は受けられません」(同上)。
所得控除は「課税される所得を減らす」仕組みなので、減らす対象がない人には効きません。iDeCoの3つの税制優遇のうち、最も分かりやすい1つ目が丸ごと消えるということです。この場合、残るのは運用益と受け取り時の優遇だけになります。
「iDeCoは節税になる」という説明を自分に当てはめる前に、自分に課税所得があるかを先に確認する。順番としてはそうなります。
Q5. iDeCoのお金は、いつから受け取れるのか
**原則60歳まで受け取れません。ここが新NISAとの最大の違いです。**
iDeCo公式サイトの記載は「原則として60歳になるまでは受給できません」、そして「通算加入者等期間に応じて受給できる年齢が決まります」(同上)。加入は「基本的に20歳以上65歳未満の公的年金の被保険者の方(※)が加入でき」(※一定の条件があります)、受給を開始する時期は「75歳になるまでの間で選ぶことができます」(iDeCo公式サイト、2026年9月16日確認)。
つまり加入した期間の長さによって、受け取り開始できる年齢が変わる仕組みです。50代で始めた場合、60歳ちょうどで受け取れるとは限りません。自分の場合が何歳になるかは、通算加入者等期間の計算になります。
一方、新NISAの非課税保有期間は「無期限」、口座開設期間は「恒久化」(金融庁、同上)で、売却のタイミングに制度側の制約はありません。
ここまでで答えが出ないこと
正直に書きます。以下は公式サイトの数字だけでは答えが出ません。
どちらを優先すべきか。 制度の違いは数字で分かりますが、優先順位は本人の年齢・課税所得の有無・いつ使う予定のお金かで変わります。制度側に答えはありません。
いくら積むべきか。 下限(月5,000円)と上限(年360万円/加入資格別の上限)は公表されていますが、その間のどこかは公式情報の外です。
どの商品を選ぶべきか。 本記事では扱いません。
この3つを「公式サイトにこう書いてある」の形で断言している記事があれば、それは制度の説明ではなく、書き手の判断です。
まとめ:違いは「得か損か」ではなく「いつ使えるか」
新NISAの枠は、売れば翌年以降に簿価分だけ戻る。iDeCoは原則60歳まで引き出せない。
新NISAは年360万円まで(総枠1,800万円・うち成長投資枠1,200万円まで)。
iDeCoは月5,000円から。ただし課税所得がない人に所得控除は効かない。
iDeCoの受給開始年齢は、通算加入者等期間で変わる。
比較の軸は「どちらが得か」ではなく、そのお金をいつ使うつもりかに置くと、制度の違いがそのまま判断材料になります。
**出典**
- 金融庁「新しいNISA」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html (2026年9月12日確認)
iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会) https://www.ideco-koushiki.jp/guide/ 、 https://www.ideco-koushiki.jp/start/ (いずれも2026年9月12日確認)
本記事は制度の公表内容を確認・整理したもので、特定の金融商品や投資行動を勧めるものではありません。制度は改正される場合があるため、実際の手続き前に最新の公式情報をご確認ください。筆者は金融の専門資格を持つ立場ではありません。
新NISAとiDeCoの制度比較をもう少し詳しく見るなら、こちらでも扱っています。
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