1日1,600kcal。いまの20代女性は、70年前より食べていないかも
こんにちは、パーソナルトレーナーのリクです。
「追い込む」のではなく「一緒に整える」を大切に、運動が苦手な方の体づくりに寄り添っています。
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食事の記録を見せていただく仕事を続けていて、いちばん多く見つかるもの。
それは「食べすぎ」ではありません。「食べていない」です。
朝は抜くか、コーヒーだけ。お昼はサラダとおにぎり半分。夜は炭水化物を抜いて、お肉と野菜。
本人はきちんと気をつけているつもりで、実際とてもがんばっていらっしゃる。それなのに体は重いし、痩せないし、生理は乱れるし、なんだかいつも疲れている。
そういう方が、本当に多いんです。
今日はその背景にある「カロリー不足」の話を、少しだけ数字を交えながらさせてください。
70年分のグラフが、静かに教えてくれること
厚生労働省が毎年おこなっている「国民健康・栄養調査」に、20歳代の女性が1日にどれくらい食べているかを追いかけた記録があります。1950年から2020年まで、70年分です。
そのグラフを並べてみると、こうなります。
1950年ごろ … およそ 2,100kcal
1970年ごろ … およそ 2,280kcal(いちばん多かった時期)
2000年ごろ … およそ 1,760kcal
2020年 … およそ 1,600kcal

いま20代の女性に必要と考えられている量(推定エネルギー必要量)は、活動量がふつうの方でおよそ 1,950kcal。
つまり今は、必要とされる量より 300〜350kcalほど少ない ところで毎日を過ごしている計算になります。おにぎりにすると1個半くらい。しかもこの「足りない状態」は、2000年ごろからもう20年以上続いています。
そして何より驚くのは、食べものが十分になかった1950年ごろよりも、今のほうが少ないということです。
わたしはこのグラフを初めて見たとき、しばらく言葉が出ませんでした。
「食べすぎている人が増えている」と言われがちな時代に、実際に起きているのはその逆だったからです。
(これは20歳代の数字ですが、30代・40代の方の食事内容をうかがっていても、同じくらいの量にとどまっている方が本当に多いです)
体は「足りない」と感じたとき、まず何をするか
ここでひとつ、知っておいていただきたいことがあります。
体は、入ってくるエネルギーが減ると、使う量のほうを減らします。
エネルギーの使いみちを決めているのは、のどのあたりにある甲状腺という小さな臓器から出るホルモンです。食べる量が減ると、このホルモンの働きが弱まることが報告されています。体が「入ってくる分が少ないから、燃やす量も控えよう」と判断するわけですね。
車でいえば、ガソリンが減ってきたときに自動で省エネ運転に切り替わるようなものです。とても賢い、体を守るための反応です。
ただ、この省エネモードの中でさらに食べる量を減らすと、どうなるでしょうか。
体はもっと燃やす量を減らします。減らしているのに減らない、あの状態です。
「わたしの意志が弱いから」ではありません。
むしろ体が、あなたを守ろうとして必死にブレーキをかけている状態なんです。
体が、いちばん最初に後回しにするもの
エネルギーが足りないとき、体は使いみちに優先順位をつけます。
優先されるのは、脳・心臓・筋肉・内臓。 止まったら生きていけない場所です。
では、いちばん後回しにされるのはどこか。
生殖機能です。
長い距離を走る競技の選手に生理が止まりやすい方が多いのは、この仕組みが関係していると考えられています。エネルギーが足りない時期に新しい命を迎えるのは体にとって危険なので、その働きをいったん休ませる。これも、体を守るための反応です。
だからカロリーが足りない状態が続くと、こんなところに先にサインが出ます。
生理の周期が乱れる、量が減る、止まってしまう
肌が荒れる、髪が抜ける、爪が割れやすい
手足が冷える、朝からだるい
気分が落ち込みやすい、イライラする
どれも「疲れているだけ」で流されやすいものばかりですが、体としてはちゃんと「足りていません」と伝えてくれているんですね。
※生理が3か月以上止まっている場合や、量の変化が急な場合は、食事を見直す前にまず婦人科でみてもらってください。食事だけの問題ではないことがあります。
足りていないのは、カロリーだけではありません
食べる量が減れば、当然その中身も減ります。
同じ調査で見ると、20〜30代の女性の平均は、こんな状態です。
平均の摂取量目安とされる量鉄約6.3mg10〜11mg程度カルシウム約400mg600mg程度マグネシウム約200mg300〜400mg程度葉酸約230μg300〜400μg程度
どれも半分から6割くらい。しかも女性は毎月の生理で鉄を失うので、足りない状態がさらに続きやすくなります。
こういう話をすると「じゃあサプリを飲めばいいですか」と聞かれることがあります。必要な場面はもちろんありますが、その前に見てほしいのは食事の量そのものです。土台が小さいままだと、上に何を足しても安定しにくいからです。
心当たり、ありませんか
もし気になったら、そっと数えてみてください。
糖質を控えている、または夜は炭水化物を抜いている
1日の食事が1,500kcalを下回っている気がする
朝ごはんを食べない日が多い
1日3食そろわない日のほうが多い
ファスティング(断食)をときどきしている
サプリメントやプロテインで補っている部分が大きい
「太りそうで、ごはんが怖い」と感じることがある
ひとつでも当てはまったら悪い、という話ではまったくありません。
どれも「体にいいこと」として広まっているものばかりですし、当てはまる方のほうが多いくらいです。
ただ、3つ以上ついた方は、体がもう省エネモードに入っているかもしれない、というくらいの目安にしてみてください。
100kcalずつ、ゆっくり足していく
「じゃあ明日から2,000kcal食べればいいんですね」
……これは、おすすめしません。
長いあいだ少ない量に慣れた体に急にたくさん入れると、胃が張ったり、食後に強い眠気が出たりして、たいてい続かなくなります。
わたしがご一緒するときは、こんなふうに進めます。

1. まずは100〜200kcalだけ足す
いきなり増やさず、1日あたり100〜200kcalぶんだけ。これくらいなら、体が驚きません。
おにぎり1個 … 約215kcal
食パン6枚切り1枚 … 約158kcal
バナナ1本 … 約77kcal
さつまいも1本(200g) … 約264kcal
2. 1週間ほど様子をみる
お腹の張り、下痢や便秘、食後2時間くらいの眠気。このあたりが出ていなければ、体は受け止められています。
3. 問題がなければ、また100〜200kcal
このくらいのペースだと、無理なく戻していけます。
4. 増やすのは、まず主食から
意外に思われるかもしれませんが、油を足すよりごはんやパンを足すほうが、体はエネルギーとして使いやすい形になります。逆に脂質は、気づかないうちに多くなっている方が多い部分です。豚バラを豚ロースに変える、ドレッシングをノンオイルにする。それだけで、ごはんを足すぶんの余地が生まれます。
ここでいちばん大事な話
カロリーを増やすと、体重は2〜5kgほど増えることがあります。
正直にお伝えしておきますね。ここでほとんどの方が怖くなって、元の食事に戻してしまうからです。
ですが、この増え方の多くは脂肪ではありません。体が糖質をエネルギーのもと(グリコーゲン)としてため直すときに、水分を一緒に抱えこむために起きるものです。しばらくして代謝が戻ってくると、落ち着いていきます。
ここで戻してしまうと、体はまた「やっぱり少ないんだな」と省エネモードに入ります。そうして、また同じ場所に立つことになります。
目先の数字ではなく、半年先の体で考えてみてほしいんです。
1日1,000kcalで不調が続く体と、1日2,000kcal食べても崩れない体。どちらで毎日を過ごしたいでしょうか。
食べても、しんどくなる方がいます
ここまで読んで「増やしたいけれど、食べるとお腹が張ってしまう」と感じた方もいらっしゃると思います。
実は、胃腸に慢性的な不調をかかえている方は、人口の20%ほどいると報告されています。5人に1人ですね。食べる量を増やす以前に、消化して吸収する力のほうが落ちている状態です。
こういうときは、量を追いかける前にこちらを整えるほうが近道になります。
消化しやすい形にする(よく煮る、やわらかくする、よく噛む)
一度の量を減らして、回数を増やす
冷たい飲みものを続けて摂らない
増やすペースをもっとゆっくりにする(2週間に1回など)
体は、食べる・消化する・エネルギーに変える、この3つの流れが全部つながって動いています。どこか1か所だけを見ても、うまくいかないことが多いんです。
最後に
「食べていないのに痩せない」
「がんばっているのに、体調が整わない」
その理由が、食べなさすぎにあることは、思っている以上に多いです。
減らすことは、勇気がなくてもできます。
けれど増やすことには、けっこうな勇気がいります。体重計の数字が一度上を向くのを、じっと待たなければいけないからです。
だからこそ、ひとりでやらなくていいと思っています。
おにぎりを半分足すところからで、じゅうぶんです。無理なく、ご自身のペースで。一緒に整えていきましょう。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
今日お話しした「カロリー不足」も、じつは人によって出方がちがいます。
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