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「私、センスないんで…」って言う前に、ちょっと待ってほしい話

はじめに|「センスがない」は、本当にそうなのか

職業訓練で10年以上、延べ800人以上にデザインを教えてきました。

その中で、本当によく聞くセリフがあります。

「私、センスないんで…」

これ、本当に多いんです。

教室で何回聞いたか分かりません。独学でつまずいた人、未経験からWeb業界を目指す人。みんな最初にこう言います。

でも、正直に言います。

センスの問題じゃないことがほとんどです。


センスの前に「理論」がある

デザインには理論があります。

文字の大きさをどうするか。余白をどこに取るか。色をどう使い分けるか。情報をどう並べるか。

これ、全部「考え方」があるんです。

センスって、その考え方を知った上で、自分なりに使いこなせるようになった状態のことだと僕は思っています。

つまり、理論を知らないまま「センスがない」と決めつけるのは早すぎるんです。

料理で例えると分かりやすいかもしれません。

レシピも知らない、火加減も分からない、調味料の役割も知らない。その状態で「私、料理のセンスないんで…」って言っても、それはセンスの問題じゃないですよね。

まず基本を知る。それからです。


もう一つ大事なこと|目を肥やしてほしい

理論を学ぶのと同じくらい大事なことがあります。

たくさんの作品を見ること。

これも強く言いたい。

良いデザインをたくさん見ないと、「良い」の基準が自分の中にできません。

基準がないと、自分の作品が良いのか微妙なのか、判断できません。だから直し方も分からない。作品が止まる。

逆に、たくさん見ている人は違います。

「このバナー、なんか見やすいな」「このサイト、情報が整理されてるな」という感覚が育っています。だから自分の作品を見たときも「ここ、なんか違うな」と気づける。

見る量が、作る力に直結します。


「見る」だけだと、スクショが増えるだけで終わる

ただ、ここで注意があります。

「たくさん見ればいいんだ」と思って、良さそうなデザインをスクショしまくる人がいます。

気持ちは分かります。僕も昔やりました。

でも、スクショだけ増えても、自分の作品は良くなりません。

なぜか。

見る順番が決まっていないからです。

順番がないと、こうなります。

  • どこから見ればいいか分からない

  • 細かい装飾ばかり気になる

  • スクショは増える

  • でも自分の作品に戻ると、どこを直せばいいか分からない


見る順番を決めると、変わる

逆に、見る順番が決まると変わります。

  • 良い理由を短く言えるようになる

  • 真似したい部分を切り出せる

  • 自分の作品も直しやすくなる

  • 面接で作品を説明するとき、話す材料が残る

だから今日は、日常でできる観察の進め方を、できるだけ具体的に書きます。

特別なことはしません。日常で目に入るものを「ちゃんと見る」だけです。


診断|今どこで止まっているか(3分チェック)

当てはまる数を数えてみてください。

  • 参考デザインを見ても、良い理由が言えない

  • 配色や文字を真似したいのに、どこが良いか切り出せない

  • 自分の作品を直すとき、毎回どこから触るか迷う

  • 画面を開くと細かい所ばかり見て、全体が分からなくなる

  • スクショは増えるのに、作品に反映できない

0〜1個:少し整えるだけで伸びやすいです
2〜3個:見る順番を固定すると早いです
4〜5個:観察メモを今日から始めるのが近道です


手順|見る順番を固定する

1|毎回この順で見る(最初は4点で十分)

  1. 主役:いちばん目立っているのは何か

  2. 2番手:次に見せたいのは何か

  3. まとまり:同じ種類の情報が近くに集まっているか

  4. 読めるか:文字の大きさ、余白、色で読めるか

まずはこれだけでOKです。

毎回同じ順に見るだけで、言葉にしやすくなります。


2|最初の10秒は細部ではなく主役だけ見る

デザインを開いた直後に、装飾やフォントの好みから入ると迷いやすいです。

最初の10秒は主役だけ見ます。

例:駅のポスター

  • いちばん大きい文字は何か

  • 写真が主役か、文字が主役か

  • 次に見せたい情報はどれか(日付、場所、料金など)

例:飲食店のチラシ

  • 主役は何か(期間限定、割引、新メニューなど)

  • 値段は目に入る位置にあるか

  • 必要な情報が近くにまとまっているか


3|日常で拾える観察素材(まずはこの5つ)

特別な場所に行かなくて大丈夫です。日常で十分です。

  • コンビニの新商品ポスター

  • スーパーの特売チラシ

  • YouTubeのサムネ

  • アプリのトップ画面(天気、地図、通販など)

  • 電車内広告

見るときは、「作る側がどこから見てほしいか」が分かるかだけを見ます。


4|観察は3行メモで続く

観察ノートは、こだわると止まりやすいです。

1枚につき、メモは3行だけにします。

【観察メモ(コピペ用)】
・主役:いちばん目立つのは何?
・理由:なぜ目立つ?(大きい/太い/色が強い/余白がある など)
・自分の作品なら:どこで使う?(見出し/ボタン/価格/日付 など)

例:カフェのメニュー表

  • 主役:季節限定ドリンクの写真

  • 理由:写真が大きい+周りに余白がある

  • 自分の作品なら:ポートフォリオの最初の作品サムネを大きくする

例:学習アプリのトップ画面

  • 主役:今日やることボタン

  • 理由:強い色が1つだけ+画面の真ん中

  • 自分の作品なら:お問い合わせボタンだけ色を強くする

この3行を、まず10枚。

すると主役の作り方が、だんだん分かってきます。


5|見る目が伸びる人がよく見ている5点

観察のチェック項目をもう少し増やすなら、この5点です。

1)文字の大きさに差があるか
見出しが本文と同じ大きさだと、何が大事か分かりにくい

2)余白があるか
詰め込みすぎると読みづらい。余白があると情報が分かれて見える

3)そろっているか
カードの左端がそろうだけで、きれいに見えやすい

4)色の使い分けができているか
強い色は押してほしい所だけ。全部が強い色だと目が迷う

5)同じものが同じ見た目か
ボタンが毎回ちがう形だと、押していいのか不安になりやすい

好きか嫌いかではなく、こういう言葉で言えると、直す場所が決まりやすくなります。


6|集めたデザインは使い道を決めると活きる

スクショを集めるだけだと、増えていくだけで使えません。

使う場面を先に決めます。

  • 配色に迷ったら:色が好きフォルダから3枚選んで、近い色に寄せる

  • レイアウトに迷ったら:同じジャンルを3枚見て、見出しの位置だけ寄せる

  • ボタンに迷ったら:押したくなるボタンだけ集めて、形と余白だけ寄せる

ここで大事なのは、丸ごとコピーはしないことです。

参考にするのは、配置の考え方、情報の順番、余白の取り方。中身は自分の内容に置き換えます。


7|授業でおすすめしている練習

練習:本物の並びに置いて違和感チェック

  1. 参考にしたいサイトやバナーを3つ選ぶ(同じ業界、同じ目的)

  2. 自分の作品サムネを同じサイズで並べる

  3. 次の4点だけ見る

    • 文字が小さすぎないか

    • 余白が少なくて詰まって見えないか

    • 色が強すぎて浮かないか/弱すぎて埋もれないか

    • 主役が一発で分かるか

これをやると、自分の癖が見えます。直す場所が決まります。


8|今日からできる3分トレーニング(7日分)

1日3分でOKです。

  • 1日目:駅ポスターを1枚見て主役を当てる

  • 2日目:チラシを1枚見て2番手を当てる

  • 3日目:アプリ画面を見て押してほしい場所を当てる

  • 4日目:YouTubeサムネを見て文字の大きさの差を見る

  • 5日目:好きなサイトを見て余白の使い方だけ見る

  • 6日目:自分の作品を縮小して主役が分かるか見る

  • 7日目:気に入った1枚を選び、観察メモを3行書く


テンプレ|コピペで使える

観察メモ(コピペ用)

主役:
理由:(大きい/太い/色が強い/余白がある など)
自分の作品なら:(見出し/ボタン/価格/日付 などに使う)

直しメモ(コピペ用:自分の作品に使う)

今の主役:
本当は主役にしたい:
直すなら1つだけ:(文字を大きく/余白を増やす/色を1つだけ強く など)

具体例|観察メモの書き方

例:セール告知バナー(スーパー/EC)

  • 主役:半額の数字

  • 理由:数字が大きい+色が強い+周りに余白がある

  • 自分の作品なら:値引きや締切など数字だけ大きくして、周りに余白を足す

例:求人バナー(未経験歓迎)

  • 主役:未経験歓迎の言葉

  • 理由:文字が太い+背景との色の差が大きい

  • 自分の作品なら:いちばん言いたい言葉を短くして太くする(他の文は小さくする)

例:飲食店の新メニュー告知

  • 主役:料理の写真

  • 理由:写真が大きい+文字は控えめ+余白がある

  • 自分の作品なら:メイン画像を先に大きく置き、説明は短くして下に回す

例:LPの最初(美容室/整体など)

  • 主役:悩みを一言で言っている見出し

  • 理由:見出しが大きい+次の一言が近くにある(セットで読める)

  • 自分の作品なら:見出しと補足を近くに置く。長文は下に回す

例:作品一覧(ポートフォリオのサムネが並ぶ所)

  • 主役:いちばん見てほしい作品のサムネ

  • 理由:他より目立つ+余白がある+タイトルが短い

  • 自分の作品なら:看板にしたい1つだけ少し大きくする。タイトルを短くする


具体例|直しメモの書き方

例:バナーで何を言いたいか分からない

  • 今の主役:情報が同じ強さで並んでいる(割引、日付、店名、説明が全部同じ)

  • 本当は主役にしたい:割引の数字

  • 直すなら1つだけ:割引の数字だけ大きくする(他は触らない)

例:LPの最初が読みにくい(情報が散っている)

  • 今の主役:どれが大事か分からず、目が迷う

  • 本当は主役にしたい:悩み→解決の一言

  • 直すなら1つだけ:見出しと補足を近くにまとめる(同じ種類の情報を集める)

例:作品ページの冒頭が長い

  • 今の主役:説明文の長さ

  • 本当は主役にしたい:何を作ったかが一発で分かるタイトル

  • 直すなら1つだけ:冒頭の説明を1行にする(残りは下に送る)

例:押してほしいボタンが目立たない

  • 今の主役:写真や装飾が強くて、ボタンが埋もれている

  • 本当は主役にしたい:押してほしいボタン(問い合わせ、予約、購入など)

  • 直すなら1つだけ:ボタンだけ色を強くする(他の色は触らない)

例:カード一覧がごちゃつく

  • 今の主役:文字と要素が詰まっている

  • 本当は主役にしたい:タイトルと価格がすぐ読めること

  • 直すなら1つだけ:カード内の上下の余白を増やす


おわりに|センスの前にやることがある

もう一度言います。

「センスがない」は、ほとんどの場合、センスの問題じゃありません。

理論を知らないだけ。
見る量が足りないだけ。
見る順番が決まっていないだけ。

だから、まずは理論を押さえてください。
そして、たくさんの作品を見て、目を肥やしてください。

1日1枚、3分だけ見て、3行メモを残す。

これを続けると、直す場所が見えるようになります。

見えるようになると、次が進みます。

  • 作品を直せる

  • 作品を短く説明できる

  • 面接で話せる材料が残る

この3つがそろうと、就職のスタート地点に立ちやすくなります。

センスは、あとからついてきます。


まとめ

  • 「センスがない」は早すぎる。まず理論を知る

  • たくさんの作品を見て、目を肥やす

  • 見る順番を4点に固定する

  • 1枚3行メモを残す

  • スクショは使い道を先に決める

  • 丸ごとコピーはしない。考え方だけ借りて置き換える

  • 直すのは1回に1つだけ


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