えき
左腕が かゆい
また虫かとおもい 切開した
虫ではなく 神経だった
神経をピンセットで 一本一本
つまみ 俎板の上においた
十四本だった
肉をホチキスでとめた
のたくっている神経を
やっぱり 虫じゃないのか とおもった
やっぱり 虫だよね これ
妻にきくと 俎板の事ばかり
心配している
青い空
寒さの中の
ありがたい陽射し
何のへんてつもない昼に
過去を みつめる
じき背中が割れるでしょう
成虫が羽を乾かすでしょう
一時間もすれば
十四匹が 飛び立ってゆくの
だから窓はあけておきましょう
やっぱり虫だったと
安心して 首筋を かいている
身体中 神経は張り巡らされていますから
どこだって かゆくなるものよ
やっぱり 首筋をガリガリとかきながら
縦横無尽の地下鉄の地図を
想い出す
想像してみてよ
きみ・・・
きみは どこの駅で
おりる
