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MUSIC inn Fujieda 通信 Vol.11

 9月末予定の竣工に向けて、土蔵の工事が進んでいます。現在は欠損している土壁を同程度の強度で修復したり、梁の補強工事が行われています。地味な作業ですけれども、僅かな割れ目や裂け目があると、そこから音が漏れてしまいます。そうなると、せっかく行った上げ床も台無しということで、慎重に行われています。

土蔵本体の天井の補強。スタジオの天井裏になります。右側の壁はいつかの火事で欠損している部分があるので、そちらも補強されています。真ん中には新しい梁が見えます。太いというか厚い。
梁がこれだけ太い、というか厚いと安心です。スタジオの天井や壁の裏に、大工や職人の仕事が隠れていると思うと、また建築物の見方が変わりますね。
スタジオ建築の専門家の指示によって、壁もこのように補強されています。工事のチェックを一度見学しましたけれど、本当に妥協なく「そこがダメです。そこから音が漏れます。」と厳しい指摘がありました。それに全部応えて方法を見つける大工の仕事もまた厳しいというか、素晴らしいです。

 明治時代に建てられた土蔵ということもあって、傷みだけでなく、構造自体の傾きなどもあるという報告を受けています。図面上はきっちりとした四角形でも、微妙に傾いたり、曲がったりしているところがあります。「建てたほうが安い」というのはもっともで、こうした誤差や図面とのズレも考慮しながら、工事や計画の見直しが行われています。本当に大変な仕事だと改めて思います。

 スタジオ内部の音響も、専門家に相談して見直しました。

 スタジオは並行面があると、音が何度も行ったり来たりしてしまって、録音に良くない反響が発生します。それを抑えるための壁の角度を調整しました。スタジオの面積を最大化させるために壁をノコギリ形にする予定です。こうした設計の変更も随時行われています。

この少しの傾きがスタジオにとってはとても大事。そういえば、大きな商用スタジオは形容し難い複雑なかたちをしていることが多いんですね。並行に向かい合った壁がなるべくないように設計されています。ドア1枚でも並行に向き合っているとエコーが起きるので、角度や材の凹凸などで工夫します。左奥のグレーの部分は仮に当て込んだアップライトピアノです。

 まだスタジオの内部の工事は始まっていませんが、このように着々と土蔵の補強工事が進んでいます。こうやって検討段階の図面を見るだけで、スタジオの形が想像できて、胸が踊ります。

 僕のスタジオから大きなコンソールや録音機材を移設する計画も立てはじめました。なかなか高額な見積もりに目が飛び出る感じですけれど、様々な分野の有志による協力、何よりもクラウドファンディングによる多大な支援のおかげで、絶望することなく割と朗らかに、スタジオ計画は進んでいます。改めて、ご支援ありがとうございます。

 活動やスタジオ運営を持続可能なものにするために、AVMSでは一緒に支援してくれる仲間=サポーターを募集することになりました。詳細については、計画が決まり次第告知させてください。参加してくださると嬉しいです。

 工事の進捗についても、また報告しますね。

後藤正文


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