転換期を迎えた英国競馬はどうなるのか

8月3日、英ジョッキークラブは今年の年末をもって英国競馬場協会(RCA)から脱退すると発表した
今回はジョッキークラブ脱退の経緯と今後の英国競馬について私の考え書いていく


脱退の経緯

まず、なぜジョッキークラブは脱退したのかだが、結論から言うと「今後の改革に邪魔だから」だろう
これについて理解するためには英国競馬の抱える問題を知る必要がある

英国競馬の問題

1.競馬場に足を運ぶ人が少なくなり2015年以降、平地競馬の観客数は100万人近く減少した
2.賭け事の売り上げはわずか2年で17%も減少した
3.英国内の生産頭数が減少しすぎている

以上3つについて見て

観客数の減少

2015年の観客数は387万人いたが2024年は295万人でしかなかった
たしかに、ロイヤルアスコットやチャンピオンズデーなどは多くの観客を集めいています。しかし、それだけです。毎週末あれだけの観客を集められているわけではありません
理由は放映権にあります。競馬を見る方法は大きく2つあります。競馬場に行くか、Racing TVかSky sports Racingを契約して見る方法です。そして多くの競馬ファンはライト層であり、これらのメディアと契約しています。そして多くの人はレースを見るのにライブ配信ではなくリプレイで済ませてしまうのです
そして問題なのが競馬場はレースを開催しその映像をブックメーカーに売ることで収入を得ていたために、出走馬がいなくてもレース数を増やしてしまいました。結果として少頭数でレベルの低いレースが増えてしまい競馬の魅力が損なわれてしまいました
そのため下級レースやG2、G3レースを見るためにわざわざ競馬場に足を運びませんし、ビッグレースであってもリプレイで済ませてしまう人も出てきてしまいます
結果として競馬への関心が薄れ、競馬離れが起きてしまうのです

売り上げ減少

そもそもだが、競馬に限らず英国のギャンブル売り上げは全体的に減少している
理由は賭け金制限とアフォーダビリティチェック、そしてそれらを嫌った人々が違法なブックメーカーに賭けているからである
競馬にもアフォーダビリティチェックが導入されること決定したためさらに売り上げが減少することが予想される

生産頭数の減少

2025年の英国におけるサラブレッド誕生数は4015頭で過去20年で最低の値です
理由はコストの上昇と確実性を求め質を重視したためです
調教費用、獣医費用、輸送費、登録料、保険料など競走馬の維持費用だけで年間数百万円かかってしまいます。ブラックタイプ競走を勝てるような馬ならまだしも下級競走を走る馬では到底この費用を賄えません。そのため、いい血統のある程度以上の活躍が見込める馬を生産する傾向が強くなりました。しかし、売却額の中央値から考えると売れたほとんどの馬は生産者に損害を与えています。最も大きな要因は高額な種付け料でしょう。小規模の生産者は安い種牡馬ではそもそも購入してもらえず、高い種牡馬でもほとんどの場合損失を被るという苦しい状況にあります

まとめ

この3つの問題に帰結するのはレースレベルの低下です
レベルが下がれば観客は減り、売り上げも減ります。すなわち競馬への関心が薄れていきます。競馬への関心が薄れると市場も少しずつ小さくなっていきます。市場が小さくなればレースレベルはさらに下がっていくという最悪の循環が生まれつつあるのです

なぜ対立していたのか

まず、RCAという組織について軽く説明すると「英国の競馬場を代表して競馬場の運営をサポートする組織」です
今回重要なのは、この組織は開催日程や放映権料と賞金分配を取り決められるという点です
RCAの意思決定には、過半数の賛成ですむものもあれば3/4以上の賛成が必要なものもある。意思決定は1競馬場(会員)1票の原則があるのだが、RCAに所属していた58団体のうち16団体を所有しているアリーナレーシング社(ARC)は事実上の拒否権を持っています
このARC社は放映権料によう莫大な利益を保持したいため改革にはあまり積極的ではなく、改革を進めたい競馬場にとって邪魔な存在だったのです
過去ジョッキークラブやアスコット競馬場はBHAの独立した理事会の設置や開催日程の大幅な変更を求めてきたが全て拒否されてきたため不満が募っていました

脱退までの流れ

2026年3月英国競馬統括機構(BHA)のアレン卿の会長辞任をきっかけにジョッキークラブとアスコット、ニューベリー、ヨークの競馬場は業界の改革支援のための統治体制見直しを求める書簡を送ったことが始まりだ
各競馬場はBHAの独立した理事会の設立を求めていたが、結局それはかなわず、その責任はRCAにあるとしたのだ
そして5月、ついにアスコット競馬場はRCAからの脱退を表明した。それと同時にジョッキークラブも年末までに提案される改革内容に満足できなければ脱退すると警告した
そしてアスコット競馬場が脱退した後、RCAは次のような提案を出しました
1会員1票から4つのグループ(ARC社、ジョッキークラブ、大手独立競馬場、小規模な独立競馬場)にそれぞれ25%の議決権を割り当てる体制への移行を表明しました
しかし、ジョッキークラブ側はRCAが業界に必要な変革を阻害し続ける可能性があるとして脱退に踏み切った

今後の英国競馬はどうなるのか

まず最初に断っておくと私は競馬場の運営やルールについては全くの素人であり、これから書くことは制度上不可能なものかもしれません

RCAを脱退したアスコット競馬場とジョッキークラブ傘下の競馬場(エプソム競馬場やニューマーケット競馬場)は新たな競馬組織を作り、団結していく流れになりそうです
そして来年からすぐにというわけではないでしょうが大幅な日程変更を行う可能性があります
レース数の削減、賞金の大幅増額にも取り掛かるでしょう

これらの改革が失敗した場合、他競馬場がどう動くかまたは無関心でいるのかはわかりませんが、改革が成功し観客数が増え、売り上げが上昇すれば対立はより一層深まるでしょう。もしかしたらいくつかの競馬場はRCAから脱退するかもしれません
最も今後の活動に重要なイベントは2027年のロイヤルアスコットでしょう
オーストラリアのシーザアリバイやオータムグロウ、テンプテッドや今年も出走していたジョリースターなどのスターホース招集に向けて動いてます。可能性は0に近そうですが歴代最強クラスのスプリンターであるカーインライジングの招集にも力を入れているようです。今後、ロイヤルアスコットは春のブリーダーズカップのような役割を果たすかもしれません
三冠の形態変更や新たなシリーズレース創設も考えられます
高いレベルのレースを多く開催し、今までできなかった方法で競馬を盛り上げることに期待しましょう

最後に

今、英国競馬は変わろうとしています
いい方向かはわかりませんが何もせず衰退していくよりはいい選択だと思います

本記事の内容は間違いが含まれている可能性が非常に高いです
この記事を読んでこのことについてもっと詳しく知りたいと思って頂けたら幸いです

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