ケアマネでも親の介護はつらい⑤ 厳しかった母
介護はつらいシリーズが、いつのまにかオハナさんの面白エピソードになっています。
でも、オハナさんは、もともとそんな人ではありませんでした。
門限には厳しい。
挨拶や礼儀にはもっと厳しい。
「女の子なんだから、ちゃんとしなさい」
何度聞いたかわかりません。
宿題を忘れれば叱られるし、
テストの点が悪ければ反省会。
「教育ママ」だったと思います。
正直、当時の私は
「なんでうちだけこんなに厳しいの?」と思っていました。
そんなオハナさんが認知症になり、
なんだか丸くなったなぁ、と感じることがあります。
怒らなくなったし、
細かいことも言わなくなった。
以前なら絶対に許さなかったようなことも、
今はただ笑っている。
「年をとると、人って優しくなるのかな」
そんなふうに思っていました。
でも、ある日ふと思いました。
優しくなったんじゃなくて、
覚えていられなくなっただけなのかもしれない。
ある日、こんなことを聞いてみました。
「昔さぁ、門限が厳しくて
お友達とうまく付き合えなかったこともあったんだよ」
するとオハナさんは言いました。
「え~?そうだった?」
そして少し笑って、
「よく覚えてない」
そう言いました。
あんなに厳しかった母の記憶は、
もう母の中には残っていないのかもしれません。
でも私は、ちゃんと覚えています。
門限に間に合わなくて怒られた夜も。
礼儀のことで口げんかになった日も。
あの頃は、
「なんでこんなに厳しいの」と思っていました。
でも今思うと、あれは
私をちゃんと育てようとしてくれていた
オハナさんなりの時間だったんだと思います。
