【企画SS#太宰になろう系企画】ラストキス
書いた!!
いやなんだこれ🤣🤣🤣って感じですが、なみさん、よろしくお願いいたします!
※※※注記※※※
本編で言及している太宰治作品は正確な引用ではありません。
うろ覚えの人間ふたりが雰囲気で会話しているという状況ですので、諸々思い違いがございます。
予めご容赦いただけますようお願いいたします。
(字下げ含み約1,200字)
「ラストキスなら、必要なのは色気じゃない?」
「そうか? ラストなのに無理だろ、ガン泣きでぐちゃぐちゃじゃね?」
「どんなラスト想像してんの?」
真咲はぷっと吹き出して、企画ペーパーを手に取る。「お題、ラストキス」と、笑いが滲む声で読む。
「ジャンル不問。ルールは30分以内の執筆。別名、太宰になろう系企画⋯⋯へぇ、太宰って口述筆記で有名なんだ?」
「らしいな。『駈込み訴え』とかそうらしい」
「へー、俺あれ好き」
「そうなの? なんで?」
「どエロいじゃん。拗らせててさ」
「ええ⋯⋯」
ドン引く俺に、なんでだよ、と真咲は笑う。
「可愛くない? 息切らして駆け込んできて、切々と訴えることをよくよく聞いたら、言ってることは結局『愛してるのに愛してくれない』ってだけ」
「可愛いかそれ」
「可愛いだろ。泣きながら、愛してる。いや愛してない。ちっとも愛してなんかない。あいつはひどい。殺してくれ。拗らせすぎかつ可愛すぎ」
「いや可愛いか!?」
こいつのツボがまったくわからん。ペンギンだのハリネズミだのマイクロブタだのを可愛い可愛いとやたら騒ぐのはまだわかるとして、今のは殺すために相手を売ってる男だぞ。
「想像してみ? なんだっけ役職わかんないけど、訴えかけられた役人的なあれだとして」
含み笑いで真咲は続ける。無駄に声をひそめて、顔を近づけて。耳にあたたかい息がかかる。
「バン、ってドアが開いて、息を切らした男が駆け込んでくる。申し上げます、申し上げます。汗が滴って床を濡らす。その床に跪いて、あいつはひどい。殺してくださいーー」
バン、とドアが開く音が響く。
荒い息遣い。
呼吸を整えることもせず、必死に訴える青ざめた男。
申し上げます。
申し上げますーー
「あいつはひどい」
あいつはひどい。
「俺はあいつを、愛してなんか」
愛してなんかいない。
ちっとも愛してなんかいない。
そうだ、愛してなんかない。
殺してくれ。
あいつを。
あいつを。
泣きながら叫んで、我に返って、男は笑う。
青ざめた顔で。震えながら。
愛していないと呟きながら。
「失礼しました。私の名前は」
私の名前は、
「私の、名前は」
私の、名前は。
青ざめた顔。
唇に張り付いた笑い。
叫んでいたのは結局ただ、
愛して欲しかったということだけ。
殺してくれと叫んだのは、誰のことだったのか。
彼の、名前は、⋯⋯
「想像した?」
パッと笑顔を弾けさせて、真咲が言う。
さっきまでの無駄に妖艶な声はどこに行ったのか、今はただただ、楽しそうに弾むだけだ。思わず顔を押しのけた俺に、「なんだよ」と不満そうに言う。
いや、なんだよはこっちのセリフだが。
「何想像させてんだこら」
「いやユダだけど。いすかりおて?」
「いや知らんけど!?」
少なくとも俺が想像したのは絶対にそいつじゃない。
私の、名前は、ーー
そんなラストはごめんだと吐き捨てて、俺はお題の再検討に⋯⋯
いや、あともう10分もないのだが?
