CNAプロジェクト - season 2 - Episode 51
【沖縄、上陸?】
※沖縄編は挿絵が多くなっています。
一緒に旅行した気分で読んでください。
午前六時過ぎ。
新千歳空港の出発ロビーには、大きなキャリーケースを持った四人が集まっていた。

アンナ
「眠い……」
ユイ
「四時起きだもんね」
アンナ
「半分寝てる。でも、飛行機の中で寝られるから」
カナ
「沖縄に着いたら起こすから大丈夫」
ユイ
「カナ、荷物多くない?」
カナ
「そうかな? 必要なものしか持ってきてないんだけど……」
橘
「カナは移住するつもりだろ」
四人は笑ったが、すぐに神妙な顔つきになった。
アンナ
「台風は大丈夫?」
橘
「千歳から羽田は予定どおり。羽田から那覇も、今のところ変更なしだ」
橘
「ただし、条件付き運航になってる」
ユイ
「条件付き?」
橘
「台風の進路によっては、欠航か羽田へ引き返す可能性がある」
カナ
「羽田まで行ってから決まるの? 賭けだね」
橘
「どうにもならん。乗るしかない」
四人を乗せた飛行機は、予定どおり新千歳空港を飛び立った。
羽田空港に着くと、出発案内には遅延の表示が増え始めていた。
ユイ
「まだ決まらない?」
橘
「ああ。けっこう微妙かもしれない」
搭乗口で待っている間にも、後続便の時刻が次々と変更されていく。
やがて、那覇行きの搭乗案内が始まった。
カナ
「よし! 行ける!」
橘
「着くまではわからん。天候次第では、羽田へ引き返すこともあるってよ」
四人が機内に乗り込んだ直後、カナのスマートフォンに通知が届いた。
カナ
「次の次の便、欠航だって」
ユイ
「本当にギリギリだったんだ」
しばらくして、飛行機は雨の降り始めた羽田空港を離れた。
――そして、午後一時。
飛行機は無事、那覇空港へ着陸した。

荷物を受け取り、四人は空港の外へ出た。
その瞬間、強い日差しと熱気が四人を包む。
頭上には、雲一つない青空が広がっていた。
カナ
「今度こそ勝ったー!」
アンナ
「暑い!」
ユイ
「札幌と全然違うね」
橘
「三十二度だ。沖縄じゃ、これが普通らしい」
アンナは空を見上げ、大きく息を吸った。
アンナ
「沖縄だ……!」
四人は送迎車に乗り、レンタカー会社へ向かった。
受付を終えると、店員が一台の車の前で立ち止まる。
四人は、その車を見上げた。

アンナ
「……大きい」
ユイ
「こ、これ、レンタカー?」
カナ
「ハマーじゃん!」
橘
「……聞いてないぞ?」
店員
「はい。神宮寺様より、ハマーH2で承っております」
橘
「確かに蓮に手配を頼んだんだけど……」
橘がスマートフォンを確認すると、蓮からメッセージが届いていた。
『四人が乗っても窮屈じゃない、快適な車をチョイスしておきました』
橘
「あいつ……」
カナ
「最高!」
左ハンドルの運転席に座った橘が、車幅を確認する。
橘
「沖縄でこれを四日間運転するのか」
ユイ
「広々して快適!」
カナ
「似合ってるよ、チャンゴリ!」
橘
「トライトンより幅があるぞ。運転、大丈夫か……」
四人と荷物を乗せたハマーは、北谷へ向けて走り出した。
途中、カナが道路沿いの看板を見つける。
カナ
「エンダー行きたい!」
アンナ
「エンダー?」
カナ
「A&W。沖縄にしかないハンバーガー屋さん」
橘
「朝からまともに食べてないし、寄るか」
ハマーは、そのまま道路沿いのA&Wへ入った。
ハンバーガーとカーリーフライ、ルートビアがテーブルに並ぶ。

ユイ
「ハンバーガーがデカい」
アンナはルートビアを一口飲み、不思議そうに首をかしげた。
アンナ
「初めての味。でも、普通に飲める」
ユイ
「ガラナっぽいけど……こういう独特な炭酸には慣れてるのかも」
カナ
「私、これ好き」
橘
「店内なら、おかわり自由だ」
カナ
「できるの?」
橘
「ああ、好きなだけ飲め。でも飲み過ぎるな」
遅めの昼食を終え、四人は北谷へ向かった。
午後四時前。
ハマーは、レクー沖縄北谷スパ&リゾートに到着した。

アメリカンビレッジのど真ん中に建つ、リゾートホテル。
大型のリゾートホテルではないが、開放感のあるロビーに入ると、ウェルカムドリンクが四人を迎えた。

カナ
「もうリゾート!」
ユイ
「さっきまで飛行機が飛ぶか心配してたのにね」
メイン棟の最上階には、インフィニティプールや天然温泉、サウナ、ラウンジを備えたスパがある。
沖縄料理や海鮮丼、こだわりのコーヒーなどが並ぶ朝食ビュッフェも人気だ。
スタンダードルームは、リゾートホテルとしては少しコンパクトだが、立地と設備を考えれば十分。気軽にリゾート気分を楽しめるホテルだった。
チェックインを済ませ、三人は同じ部屋へ、橘は別の部屋へ荷物を置く。
部屋の窓からは、青い海とアメリカンビレッジの街並みが見えた。
カナ
「荷物置いたら、すぐ行こう!」
ユイ
「少し休まない?」
カナ
「休んでる時間ないよ」
橘
「ライブで来たんだけどな」
四人はホテルを出て、アメリカンビレッジを歩き始めた。

カラフルな建物、英語の看板、海沿いに並ぶ店。
どこを見ても、日本とは思えない景色だった。
アンナ
「外国みたい」
ユイ
「でも、沖縄なんだよね」
カナは店を見つけるたびに足を止め、気づけば両手に買い物袋を提げていた。
やがて空がオレンジ色に変わり、海の向こうへ太陽が沈み始める。
四人はサンセットビーチに立ち、しばらく黙って夕日を眺めた。

アンナ
「来られてよかったね」
ユイ
「本当にね」
カナ
「まだ一日目だけどね」
日が沈んだあと、四人はステーキハウス88に入った。
テーブルには、厚切りのステーキとオリオンビールが並んだ。

カナ
「沖縄一日目に乾杯!」
四人はグラスを合わせる。
アンナ
「明日はプールとライブ!」
橘
「ライブが先だ」
カナ
「プールは午前中だから、プールが先」
橘
「順番の話じゃない」
三人は笑いながら、運ばれてきたステーキに手を伸ばした。
夕食後も、四人はホテルへ戻らなかった。
ライトアップされたアメリカンビレッジを歩き、店をのぞいては、お土産を買い足していく。



ユイ
「カナ、また荷物増えてるよ」
カナ
「帰りのことは、帰る日に考える」
橘
「移住するんじゃなかったのか?」
買い物を終えてホテルへ戻ると、四人はそれぞれ、最上階の天然温泉で長い一日の疲れを癒やした。

出発を脅かしていた一つ目の台風を、CNAはぎりぎりですり抜けた。
沖縄遠征一日目。
沖縄の空は、嘘のように晴れていた。
しかし、南の海には、もう一つの渦が残っていた。

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