【小説】『おかんという生き物』プロローグ
プロローグ
おかんという生き物は、謎多き生き物。
単細胞生物のようで、多細胞。
何類に属するのか、地球の生物で習う分類表の中には入らない。
時々見せる奇妙な動きは、地球外の生命体なのか。
多くの人々の謎になるところと聞く。
私のおかんだけが、特殊なのか、世間のおかんという生き物全てがそうなのかは分からない。私が本著でその謎に少しでも迫れたら、幸いである。
後世の文献に私の研究が役立つように、おかんという生物の謎に挑みたい。
人の形をしているくせにやたらと、ものに執着したり、妬んだり、通常の人よりは喋る量が多く、よく食べる。
口は災いの元はどこへやら、おかんは四六時中喋る生き物だ。
その上、噂話や都市伝説の類をすぐに信じて、言いふらす。
行動力の多さはアスリートのそれを凌駕するかもしれない。
昨日ここにいたと思ったら、明日は明後日にいる。
訳の分からない行動力に周りの人は振り回される。
おかんはいつも損得勘定で動く割に、
「これはお金の問題じゃないねん」を口癖にする。
プライドの高さはクフ王のピラミッドと同じ高さとか……。
残虐性は織田信長級と聞く。
「あんたのために……」を口癖にビンタする。
そのスピードは光の速さと同じとか。
そのくせ、昼のドラマや日曜劇場は見逃さず、
トレンドの俳優の名前を常に追いかける。
そして、下の名前で呼ぶ。その時間のおかんという生き物はどの時間帯よりも涙腺が緩い。
義侠の心は「三国志」の桃園の誓いほどの心を持ち合わせ、人を裏切ることはあまりない。けれども、知らない人には、南極大陸のホワイトアウト以上に冷たくなることもあるようだ。良くいうセリフ——知らんけど
謎に満ちた生物——「おかん」
興味が止まらない。このワクワクとドキドキをこの物語で解き明かしてみたい。
どうかこの愛すべきおかんという生物の謎の解明に最後までお付き合いよろしくお願いしたい。
