New Type役者 本田響矢論「波うららかに、めおと日和」より
こんにちは。otenki_55と申します。
今から約50年前、私は宝塚歌劇のファンとして足を踏み入れました。子育てに追われる時期を除いて、長くゆるやかに宝塚を愛好しております。
そんな私が、すべての感覚が反応し、まさに「これは芸能の歴史的瞬間ではないか」と確信したのが、俳優・本田響矢さんとの出会いでした。以来、私はすべての時間を彼に費やしました(仕事は片手間にしていましたが、これは内緒でお願いしますね)。
その記録を、一旦ここでまとめておこうと思います。仕事をサボった分、ここで集大成を残すのが私の流儀です。最後までタダです!
※1万字超の長文なので、ご注意ください。
※この記事は、テレビドラマ「波うららかに、めおと日和」の第1話から第9話まで視聴した方向けです。
※一個人のファンによる熱烈な考察です。
「波うららかに、めおと日和」は、フジテレビ制作の木10ドラマです。
詳しくは、公式ページをごらんください。
https://www.fujitv.co.jp/meotobiyori/
6月26日の最終回を前に、主にThreadsで発信した内容を振り返りながら、本田響矢さんの魅力について語っていきます。
「本田響矢という役者は、こちら側(作り手、見る側)が試されるアクターである」
「本田響矢は、決して残念な役者ではない」
そう受け止めた私は、まるで謎解きをするようなテンションで、あれこれと分析を始めました。所詮、私は素人です。ただ、幼少期から宝塚歌劇を観て育ち、音楽を学んだ経験もあるので、主に、「声」と「目(顔)」を軸にして、この歴史的瞬間を存分に堪能しようと思いました。
そのため、独断と偏見に満ちている点はご容赦くださいね。
俳優・本田響矢さんとの出会い
まずは、このティザー画像をご覧ください。

とにかく、これほど肌の白さを持って生まれた男性はそう多くありません。本田さんのパーソナルカラーがブルーベースのサマーであることは、ネット記事で知ったのですが、花嫁のおしろいに負けじとトーンアップされた肌に仕上がっています。
これほど白い肌に仕上げても、オテモヤンにならないなんて!普通、男性でここまで白く仕上げると、病人に見えてしまうものです。そのおかげで、ティザー写真や動画の色調が夢物語にいざなうような仕上がりになっていました。
「なんか、気になる。本田響矢?聞かない名前だが……」
私の脳みその表層ではそんなことを考えていたのですが、脳幹に近いところでアラートが鳴り響いており、それが違和感として捉えられました。
大抵の男性は、ここまでアンニュイに仕上げるために、メイクだけでなく淡い色調の衣装などで統一感を出さざるを得ません。しかし、これは帝国海軍の礼服、それも黒。バリバリの硬派です。下手をすれば、五月人形の顔にチグハグな黒い軍服といった、目に当てられない結果になります。
でも、このブルベホワイトな肌を持つ本田さんは、ガッツリと花嫁衣装にメイクをした芳根京子さんとリンクし、軍服なのにこの世のものではない空気感に耐えられる美を備え持っていました。
そんな俳優さんは、かつて美しい俳優として名を馳せた長谷川一夫さん以来ではないでしょうか。

まだ、このときの私は、違和感を持つ根拠までたどり着いておらず、その原因究明をすべく、第1話からドラマを視聴することにしたのです。
そして、のちに出る雑誌写真で、この違和感の原因が究明されることになります。
回が進むごとに変わる「声」「目」そして「コミカル」
第1話 役者の武器「真面目」と「顔(目)」
江端瀧昌を演ずる本田さんですが、ティザー動画より入念な準備をしてドラマ撮影に入られていることが垣間見れました。
根っからの真面目だがゆえ、コミカルが本物になっています。
まず、原作に忠実なコミカルな場面が、再現性高く演じています。
面会にきたなつ美と知らず、まずは追い返してしまうが、深見中尉の機転で事なきを得る、その際、兵に指示を出す様子
なつ美の「おふとん敷きましょうか」で、新聞くしゃくしゃにする
名前を初めて言い合うシーン「この先何を言うか決めていなかった!」
「初夜とは何をするのでしょうか?」「はぁ????」
すでに、超絶絶世の美人系イケメンなのに、崩さずにズッコける演技が上手い!
たいてい、コミカルな演技となると、おふざけ要素を入れたくなるはずです。そこを崩さないところに、演技への信頼できて、安心して見続けることができます。
かつて、同じように社会現象を起こした「逃げるは恥だが役に立つ」で、ヒロイン枠の平匡役を演じた星野源さんが、ドラマ公式ページのインタビューで次のように語っています。

まさに、真面目で演技をする本田さんは、意識しなくてもコミカル演技ができる素養を持っており、逃げ恥と共通項があったのです。
「プロの独身です!」(逃げるは恥だが役に立つ)
「問題ありません!」(波うららかに、めおと日和)
瀧昌は、なつ美に対して最初は臆病だったんだ、と気付かされました。
瀧昌が、なつ美によって自己肯定感を高めていく様は、まさにお姫様ポジション。軍服着ているのに、ヒロイン枠であるため、男性性の強い役者だとそこが表現しにくかったと考えられます。
イケメンナレッジ全部載せの次世代俳優
そして、次に特筆すべきことが「顔」です。
浴衣姿なのに、まだ眼光が鋭い。でも、軍服を着ているONタイム時の顔と、全く違う別人に見えます。
そして、回を追うごとに、この浴衣姿での顔が、どんどんアンニュイに変わっていきます。
また、布団の中からなつ美を見るときの顔が、Timeleszの佐藤勝利さんにそっくり!!
一人の顔なのに、初回で多くの顔を魅せるとは。
実はこれ、二重まぶたの深さによるものです。
目の明け方によって、まぶたの量が変わるので、顔つきまで変わるのです。
この役者の武器は、誰もが持ち合わせているわけではありません。
何を演じても、本人にしか見えない。
そう言われかねない、厳しい演技の世界。
そうならないために、役者は演技力、メイク術、ビジュアル加工で対抗するのですが、
本田さんは、目の明け方ひとつで、ガラリと変えることができるのです。
もう、この本田響矢という役者は、
「イケメン全部のせ」です。
東洋の男性イケメンの要素を、あのこだわりラーメン店長おすすめの、トッピング全部のせ。あれです。
こうして、違和感の原因が、少しずつ見えてきた回でした。
第2話 役者の腕を見せつけ始める「残念瀧昌」の表現
実は、第1話と第2話で、だいぶ声を変えて演じています。
第1話では、低音のライトチェストボイスです。
しかし、第2話冒頭で、なつ美と館山に落ち合うところから、すでに普通の低音のプルチェストボイスになっています。
このライトチェストボイスと、プルチェストボイスの違いは、声帯の震わせ方にあります。
ライトチェストボイスは、声帯の一部を合わして震わします。これでハスキーさを出します。
プルチェストボイスは、地声のことで、声帯をしっかり閉じて、フルに震わせて発声します。
夫婦ふたりが離れて過ごした2ヶ月間。瀧昌が新妻に対してあれこれ考え、熟考していたことが伝わります。
「え?声……。違う」
今度は、私の耳にアラートが鳴りました。
実は、ここで本田響矢の凄さに気づいたのです。
今まで、テレビで活躍する俳優さんで、声帯を変えて発声するはいませんでした。
そして、愛をささやく場面では、少し声のトーンを微妙に上げてきます。
例えば、440Hzから442Hzくらいの区別つかないほどの音程差をだします。
かの有名な、大きな月を背景にしたキスシーン。
二人を引きで撮った構図が、この世のものではない美しさを体現させています。
からの、なつ美の酸欠で眠りこける慌てぶりで場面展開。
もう、脳内が忙しすぎます。
これこそ、本田さんの真骨頂。
この声の演じ分けで、瀧昌の置かれた立場が、手に取るように伝わります。
あと、毎話、海軍の同僚である深見とのやりとりでは、男子校の男子のノリで会話をします。
その時の声は、心を許しているので、喉に力が入らず自然な発声になります。
この2話で、本田さんの発声に気づいたので、また第1話に戻って変化を確認するようになりました。
このときから、1話→2話→1話→2話→3話と、まるで英単語帳の暗記モードのごとく、繰り返し見て違いを探すようになります。
声がクリアに見る人の耳に届く周波数をそもそも持っているのでしょう。
小さなころから、ご家族といっしょにカラオケで鍛えられたのかもしれません。
もうこれは、英才教育の賜物でしか説明できません。
このときから、TikTokで本田さんが5年前ほど前にYouTubeチャンネルで歌を歌っている動画が多く流れてきます。
プロの歌手といっしょに、ハモって歌うところから、耳がいいこともわかりました。
なつ美への真摯な真面目さから生まれる「ちょっとおかしい瀧昌」
あと、館山旅行から急遽艦隊にもどり、横須賀に帰港後に花屋へ行くシーン。
走り込む子どもをよけようと、歩き方がたどたどしくなる演技で、コメディーが異常にうまいことがわかりました。
とにかく、花をなつ美に贈ることに必死な様子。
本人いたって真面目なのに、真面目であればあるほどコメディになっています。
そして、その後のセタくん問題。
なつ美の幼馴染に嫉妬する場面。
特に、縁側でヨシズを落として慌てる場面。
非常に真面目であるがゆえ、クスッとする演技は、「逃げるは恥だが役に立つ」での平匡さんに通じるところがありました。
この2話から、瀧昌がどんどん翻弄されていきます。
この頃から、本田さんの人間性が見えてくるようになり、瀧昌の魅力も徐々に出てきます。
番外編 過去作に寄り道して改めて再評価する
この頃から、本田さんの過去作もチェックするようなりました。
そのために、有料コンテンツに課金します。
FOD
U-NEXT
Abematv(1ヶ月のみ)
Disney+(1ヶ月のみ)
そして、チェックしたものは以下のとおり
私は整形美人
青春シンデレラ
彩香ちゃんは弘子先輩に恋している
セレブ男子は手に負えません
純喫茶イニョン
風のふく島
ジャックフロスト
ブラックガールズトーク
38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記
アニマルズ
合理的にありえない(出演部分のみ)
モンスター(出演部分のみ)
恋愛のすすめ
恋愛バトルロワイヤル
同時放映されていた「すぱいす」
そのほかに、TikTokに流れてくる、本田響矢関連のショート切り抜き動画、YouTubeにあるミュージックビデオまで……。
ゴールデンウィークだったとはいえ、相当な量です。でも、5月中に、ほとんどの作品を見せていただきました。
役柄によって、まったくアプローチを変えているので、
本田さん本人の空気感がまったく感じられませんでした。
あと、思春期を脱したばかりの年齢(二十歳過ぎ)で、強めのラブシーンを演じていることに、驚きが隠せませんでした。
年頃の男子に、ラブシーンをさせるには、その後の過ちを起こさないような役者ではないと任せることができません。
また、演じたあとのメンタルケアも欠かせません。
しかし、当時の苦労を少し、垣間見た感じがしたのですが、ドラマ全体を見ると、彼の魅力が遺憾なく発揮しています。
「38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記」の切り取り動画を観たときは、際どさが目立っていましたが、ストーリー全体でみたら、逆に本田さんの武器を活かした話になっており、観終わったら
「いい役者じゃん」と改めて再評価しました。
第3話 なつ美と心を通わす「受け」の演技
さて、本題に入りましょう(花筏の会、会長(芙美子さんの叔母)風)。
ここで、かの有名な、なつ美の「寂しい」と嗚咽するシーンがでてきます。
これは、主役である芳根京子さんの演技が凄いのですが、
相手役に相当思い入れがないと、自然と嗚咽することは難しいです。
御本人は、芳根さんの演技を受けて、セリフが出なかったと、言及されています。

御本人は、「瀧昌の強さを奮い立たせて」と説明されていますが、画面を通じて受けた私には、その瀧昌が役者を乗り越えて役者を操っているように見えたのです。
互いに、役者の心身を飛び越えて、役が現実世界に舞い降りた瞬間でもあります。
今までは、役者が生まれ持ったパーツで視聴者に拡張して伝えてきた役ですが、このとき、初めて役が役者のパーツを使って現場で暴れ始めたのです。
これで、このドラマはより化けていくと確信持ちました。
GP帯枠の連続ドラマで、ここまで役者が互いに化けることはなかなかありません。
第4話 瀧昌の自己開示
第4話では、瀧昌が外的要因(なつ美の幼馴染の瀬田くん)をきっかけに、かつての日常が揺さぶられます。
とにかく、真面目になつ美を思うあまり、揺さぶりをかけられ、少しおかしい言動がでてきます。
これは、まだよちよち歩きの赤子が、歩くときに支えに使っていた柵が突然取り除けられて、バランスを崩しながら一人で歩き始めた瞬間のようなものです。
ここから、瀧昌発信による、「うぶキュン」が量産されていきます。
「あまり、他の男と話しをしないで」
ちゃぶドン(ちゃぶ台に手をついて、上からのしかかる)しながら、なつ美に言ったあと、ふっと横顔を魅せる瞬間も、確実に美を振りまく強かさに完敗です。
別の俳優だったら、このシーンは、自分自身のかっこよさを全面にだしたくなるところでしょう。
でも、ひたすら、瀧昌のカッコ悪さだけで勝負し、最後の一瞬だけ、自身の持つ「横顔美形」を披露するのです。
これは、狙って演じているのか、役者本人の自然体だったのか、私には判別できませんでした。
ただ、ひたすらおかしく狂い始める瀧昌だけど、ポテンシャルとしてハイスペックであることを、この数秒のシーンで伝えられていることは確かです。
ここは、役者本人のハイスペックツールがあることで、成り立ったシーンです。
人は一度に変わることができません。
昼間の揺さぶりを受けて、瀧昌にも揺り戻しが起こります。
深夜に寝床を抜け出し、縁側でなつ美とのシーンは、瀧昌が人生を生き直すきっかけとなる場面です。
最初は、不安な気持ちから声に震えをいれています。
自分の暗い生い立ちを語るには、勇気もいります。
しかし、なつ美の肝っ玉「私も背負う!」発言で、となりに支えてくれる人がいることに気づきます。
自分の過去の話しをするときは、最初は緊張感が伝わるハスキーなライトチェストボイスですが、なつ美が話しを聞いて激怒する様を受けたあと、徐々にきれいなニュートラルな声に変わっていきます。
この声質トランジットは、なかなかお目にかかることはありません。
こうしてみると、声というパーツは、人に伝えるのに重要な道具であることを知ることができました。
瀧昌の自己開示の過程を、ここでも声という武器を使って演じているのです。
そして、なつ美自身も、瀧昌を受け入れた瞬間でもあります。
なつ美「私は、この人を支える!」
なつ美「星がきれいだなと思ったんです」
瀧昌「俺も、そう思いました」(エッジだけ落とした声)
また、声変化がいかんなく発揮しています。
Threadsで、聴覚障害の方が瀧昌の声について、言及しているコメントをみかけました。
元情報はこちら
読唇しやすい
声の高低差を喉仏の高さで推測できる
目の演技 目の動き、瞳のゆれから、理解しやすい
もう、本田さんは、ユニバーサルデザイン(年齢、性別、能力、文化、障害の有無などに関わらず、できる限り多くの人が利用しやすいように、製品や環境をデザインする考え方)俳優という次世代のNew Typeとも言えるでしょう。
第5話 喧嘩をきっかけに人間関係に広がりが出る
瀧昌は、これまで、一人で生きていくことしかなかったのですが、夫婦喧嘩をきっかけに、人間関係に幅がひろがっていきます。
深見と芙美子の「ふかふみコンビ」の誕生です。
実は、酔っ払って帰ってきた場面より、家を追い出されて、深見といっしょに母屋に世話になる場面に注目がいきました。
まるでベイビーです(笑)
「なぜ、こうなった……(泣きそうな顔)」
普段見せない、コミカルな表情に、母性本能がくすぐられます。
このときから、瀧昌の表情が豊かになり、なつ美に似てきます。
一人で抱えていた、ちょっとおかしい自分を、なつ美をはじめ、人前で繰り広げます。
これが、次の6話への布石となります。
第6話 瀧昌 第二の人生スタート
孤独から人の輪に交えた人生への転換期の瀧昌です。
5話から、私は役者の技量を追いかけることが少なくなり、ストーリーに集中できるようになりました。
つまり、瀧昌自身が、身の回りのことに積極的に関わり始めたことを指しています。
それまでは、孤独な瀧昌を、役者一人で抱えてきたのがよくわかります。
これからは、瀧昌は、人の環境の中で、生きていくのです。
つまり、瀧昌にとって第二の人生の始まりであり、どんどんと人と交わっていきます。
もちろん、なつ美との初夜も、それに含まれます。
人と関わるようになると、自分の言葉が、自分の主張するためだけのものだったのが、相手を喜ばせるツールにもなります。
ここで、本田さんだけが持つ武器が、また稼働します。
仮想お見合いが判明したこと
その前に、なつ美を助けていた事実が発覚し、自分がなつ美の初恋相手だったこと
そこに初夜
この初夜については、なつ美の姉たちのアシストが影で繰り広げられていたと思われますが、各所にて言及されているので割愛します。
ただ、「俺のことを忘れないように」「なつ美さん、綺麗だ」の声。
あれは犯罪ですね。
ささやき声です。喉に力を入れず、リラックスしながら鼻腔に息の抜く発声です。
あかん!一人で悶々してしまうではないか!!!!
ここで、この気持ちを誰かに共有したくなり、Threadsのアカウントを作りました。
ThreadsはXとちがって、文字制限が500字ということもあり、言いっ放し、言い切りといった投稿がなく、優しい言葉が飛び交う環境でした。
白軍服瀧昌の威力
そして、この時期から瀧昌旋風が雑誌媒体にも吹き荒れるようになります。
私が、当初ティザー画像にて抱いた違和感の原因が、この写真で判明したのです。
白軍服に、花束。これができるのは、宝塚男役だけでした。
でも、軽々とそれを乗り越えて、披露してしまう様は、もう犯罪級の衝撃でもありました。
宝塚歌劇 宙組のトップスターだった凰稀かなめさんの軍服姿は、天下一級です。


色白、青い目、白軍服にマント……。
本田さんが、金髪にしていた画像をみていると、銀河英雄伝説のラインハルト役できるのでは?と妄想が始まり、もう、逮捕案件となっていったわけです。
今日発売のGINGER5月号、
— 本田響矢&staff (@kyoya00662200) March 23, 2023
金髪と白の本田が見られます。
是非です。#GINGER5月号 pic.twitter.com/gdwjtn0pox
特に、本田さんの目は、光が入ると色素が薄く、ラインハルトの「アイスブルー」と言われる青い目を彷彿とさせます。
ただ、男として生まれ、モデルとしての嗜みだけで整えた素材が、そのまま宝塚の世界を席巻する。
これだけで、この役者は、New Type次世代型俳優と言わしめる条件がそろったのです。
仕事そっちのけで、盛り上がる私は、それを鎮めるべく、その原因となったものを分析することで冷静になろうとしました。
判明したこと。
本田さんに白軍服を着せたこと。
これだけで、日本の経済効果が上がった事実。
もう、これで十分では?
第7話 酒で失敗し、酒で成功する瀧昌
第7話では、瀧昌となつ美で酒を酌み交わすシーンがでてきます。
なぜか、瀧昌は、大人の余裕をもった男に成長しています。
ここでは、なつ美の飲める酒が作れなかったことで、瀧昌はそれをクリアすべく、なつ美のために飲める酒を考える宿題を自分に課します。
最初は、酒が原因でなつ美と喧嘩になったが、今度は酒をきっかけに、なつ美を女性としての自信を持てるよう、促そうとします。
もちろん、そのあたりの声も変えてきています。
そして、年越し。
なつ美に対して、もう年上感を醸し出し、かわいい我が嫁をひたすら愛でる余裕がでてきます。
自然体な瀧昌の声に、自己肯定感が向上したことがわかります。
もちろん、この違いは喋る声にも反映されています。
声の高さは変わりませんが、徐々にクリアになっていきます。
後半は、結婚の記念に指輪を所望するシーンになります。
きっかけは、郁子さんの指にあった結婚指輪でした。
周囲に目が行くようになったこともありますが、このあたりは、目の演技が際立ってくるようになります。
声は、自分を表現するもの。
目は、周りから自分に吸収するもの。
瀧昌は、周囲の助けを得ながら、自己成長にループに入ったことがわかります。
見本のギメルリングを見る、キラキラした瀧昌の目は、本当に美しかった。
そして、サイズ直しと刻印をしたあとの引取を、自分で取りに行くことを百貨店外商担当の人に伝える瀧昌は、複雑に入り組んだ綺麗な目で光を放します。

瀧昌が、初めて未来を言及した場面です。
このあたりから、本田さんの演技が、どんどん磨き上がってきました。
その最初のインパクトが、この目です。
目は、ただ状況を吸収するものだけではなく、モノを伝えるツールに昇華させ、瀧昌が雄弁になっていくことを表現しているのです。
第8話と第9話 瀧昌自身が雄弁に語れるようになる
役者の真骨頂を、9話かけて小出しに魅せてきた
第8話で、瀧昌は、初めてなつ美の父と会います。
ビアホールで、なつ美との夫婦生活を話すことで、父と瀬田から信頼を得ます。
自己開示100%になり、一人の男として職場以外で受け入れてもらえたのです。
これは、今までの瀧昌としては、あり得ない成長でした。
そして、第9話では、なつ美に対して、子作りについて、初めて自分の言葉で思いを伝えることができました。そして、互いに考えを共有し、意思疎通が図れたのです。
女性に対しての優しさも変わりました。
今までは、恐る恐るだったのが、最後には自分の意志で、なつ美を守れるようになったのです。
出産にたいして、女性が傷つくことに心から心配になります(誰だって、出産に立ち会えば、しばらく子作りしようと思えなくなる話はよくあります)。
そして、特出すべきなのが、縁側での晩酌→お姫様抱っこです。
酔ったいきおいで、女性を押し倒さなかったのは、さすが瀧昌。最後の最後まで、相手を傷つけない配慮だけは健在でした。
ネット上では、「なんで瀧昌ぁ。寝室にいかないんだぁ」と期待値を持つ視聴者が多かった中、彼は、堂々と大人の男として、なつ美をだっこして、ホタルとたわむれさせます。
私は、ここに瀧昌の信念が見え隠れしていると思いました。
そして、一番の極めつけがこちら。
海難事故にあった、江端瀧昌と深見龍之介。
とくに、瀧昌の眼光から放つ、男の生命力は、彼自身の史上最高の演技ではなかろうか。
走馬灯のようなシーンも入れず、音も爆音を受けた直後の鼓膜がやられたときの耳鳴り音のみ。
髪もしばらく整える暇もなかったのか、クセ毛が画面に映り、立ち上がる様からの顔のアップで、この眼光の鋭さが際立っていました。
このドラマは、男瀧昌の自己肯定感取り戻し物語であり、なつ美への愛も、瀧昌の成長とともに深くなっていく物語です。
それを視聴者に、悩ませることなく、明確に放つ演技をする本田さんは、今までに居なかった逸材なのです。
そして、作り手と受け手が一緒に共感できたのも、ちょっと複雑な心情を、クリアに見る人に届けられる演技をした、本田さんだからこそできた結果ではないでしょうか。
もう、これは新時代に台頭したAIのように、俳優自身も含め、作り手からのプロンプトを、役者:本田響矢に入力し、新しく役が生成されるくらいの精度で仕上がるポテンシャルを持った俳優が、このドラマで爆誕したのです。
すべての関係者が、サナギから蝶が羽化し、まだ羽が乾ききっていない状態に、立ち会えたといっても過言ではありません。
最後に:残念な男の意味とは
ところが、俳優:本田響矢は、「残念な男」と評価されている話がでてきています。
ファンから見たら、残念どころか、爆イケ美人で完璧な存在です。
「なぜ、残念だなんて言うのかしら?」
ちょっと憤慨しかねない空気もSNSで流れていたのは否めません。
もととなった記事を探していくと、この「残念」は、役者本人が持つ不器用さが、人としての誠実性を高めていることを言及していることがわかりました。

逆に、私は、この「残念」を次のように考えています。
長谷川一夫の再来とも言える、ハイスペックルック
イケメン全部のナレッジを持っており、AIのごとく、自在にビジュアルを過剰なメイクをしなくても変えていける
声の変え方が、声帯の深部まで動かして、感情の変化をクリアに伝える
同じように、目から眼光を飛ばし、見るものの網膜に役の感情を突き刺せる
そもそも、役作りも直感型ではなく理論武装してエビデンスを固める。
これだけのスペックだと、多少不器用でも残念になることはありません。
でも、どうやら、撮影現場では残念という言葉がでています。その理由が、公式Instagramアカウントで投稿されたものから、少し判明しました。
このThreadsでも言及しているように、本田さんは瀧昌の唯一の理解者であろうとしています。
人はそう簡単に変わるものではないので、心が動くと、持っている新聞をクシャッとするクセを忘れずに温めていたのです。
それをリハーサルでやったことで、現場で失笑が起こっているように見て取れて、業界を知らない素人からみたら、なぜ笑われているのかがわかりませんでした。
でも、このInstagramの動画を最後まで見ると、自分の立てたプランをすっと引き上げて、チームのプランに即賛同する様子を見るに、
一般企業だったら、新しいプランを立ててくる優秀な社員であり、チームで働く作法もよく知っている、将来は幹部候補生として出世街道に乗る、典型的なサラリーマンでもあるわけです。
いったい、そのどこが、残念なのか……。
一般人には理解しづらいところでした。
でも、冒頭にでた、星野源さんの言葉に、その答えがあったのをあとから気づきました。
「真面目に生きて、茶化さない。それがちょっとおかしく見えるようになる」
このことを、制作者側は伝えたかったのだと思います。
星野源さんは、それを理論で言語化し、明言していました。
でも、そういう意味で、本田さんはそれをナチュラルで繰り広げていたため、今後はそれを自らの武器として操れるようになることを期待されているのではないでしょうか。
このドラマで、サナギだった本田さんが羽化し、美しい羽を広げる手前まできました。
これから、その羽根を完成させ、いろんな場所に飛んでいき、多くの人に楽しませるようになるでしょう。

そんな、期待を関わる人全員に、一緒に感じることができた、稀有なドラマとなりました。
これから、どんなところに飛んで行くのでしょう。
下手したら、この蝶は、羽の柄も色も変えられるわけでして……。
次は、どんな世界を見せてくれるでしょうか。
もうこれは、観る側も、演出脚本といった制作者側も、この役者と通して試されるということになります。
蝶自身は、自由意志で、行く場所を決められます。
必ず、綺麗な水があって、ホタルが生息している場所に飛んでいってください。
せっかくの羽をよごさないように……。
