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博士誕生 

星を見ると、七つあった。
「この子はナナホシテントウだね。そっと乗せててね。びっくりすると、黄色い液を出すから、そっとね。」
先生が教えてくれる。
「本当だ、七つある。かわいい。」
陽翔はにっこりして言った。

手に乗せた小さな生き物を見つめる。
まるまるとしてツヤがある背中。
やや渋い赤に黒い七つの星がある。

「この子はね、アブラムシを食べてくれるんだ。アブラムシは葉っぱを食べちゃって、植物を枯らしてしまう。」
先生が小さな虫の説明をする。
「アブラムシ、ちょっとかわいそう…。」
隣の女子が呟いた。
陽翔は、アブラムシを見た事がある。ばぁばが、育てた薔薇の葉っぱに、ついていたアブラムシを思い出した。
『かわいそう…かな。』
あれより、この子の方がずっとかわいい。
背中を撫でそうになるのを、じっと我慢して見つめた。
『びっくりさせちゃうよね。そっと、そっと。』

じっと動かなかったテントウムシが、手のひらから飛び立った。
一瞬の出来事。
背中の翅が開いたと思ったら、空高く飛び見えなくなった。
『えっ?テントウムシってあんなに高く飛ぶんだ!すごい!』

「先生、テントウムシの星は七つだけ?」
男子が質問した。
「いや、星のないもの、たくさん星があるもの。色々だよ。背中の色も赤や橙色もあるんだよ。」
「すげ〜っ。」
陽翔もうんうん頷いた。
『すごい、すごい!テントウムシって一つじゃないんだ。色んな星のテントウムシをみたい。』


ここに、未来の小さなテントウムシ博士が、誕生した。



一週間後、洗濯機の前で、陽翔の服のポケットを確認していた母が、悲鳴をあげる。



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※シロクマ文芸部様の企画に参加させていただきました。