先生に「もっと積極的に」と言われた夜、私は息子に謝った。【内向的な子の強み・上】集中力と観察力
タグ: #子育て #内向的な子 #小学1年生 #HSC #自己肯定感
「お子さん、もう少し積極的に発言できるといいですね」
6月の、蒸し暑い放課後でした。
小1の個人面談。
大人には小さすぎる子ども用の椅子に腰かけて、膝の上で手を組んで、私は先生のその一言を聞きました。
「そうですよね。家でも言っておきます」
笑って、頭を下げました。
あの瞬間の自分の声、いまでも再生できます。
ちょっと上ずって、ちょっと早口で、「うちもそれ、気にしてたんです」って続けた声。
教室を出ると、廊下の壁に図工の絵がずらっと貼ってありました。
どの子の絵も、画用紙いっぱいの太陽とか、笑った顔とか、元気な色。
息子の絵は、すぐには見つかりませんでした。
名前を頼りに探して、見つけて、足が止まりました。
アジサイの絵でした。
それも花じゃなくて、葉っぱが主役で、その葉の裏に、ちいさなカタツムリが一匹描いてある。
雨上がりに通学路でしゃがみ込んで、ずっと何か見てた、あの時間の絵や。
……なのに私はその絵の前で、何を思ったか。
「もっとパッと明るい絵、描けばいいのに」
そう思ったんです。最低でしょう。
帰り道、自転車のペダルがやけに重くて。
西日でハンドルが熱くて、前カゴのスーパーの袋がガサガサ鳴って。
信号待ちで、ふと気づきました。
私はあの面談室で、先生と二人で、息子を「直さなきゃいけない子」として査定していた。
葉っぱの裏のカタツムリを見つけられる子を、です。
その夜、寝顔を見ました。
口を半分開けて、枕元にカブトムシの図鑑を開いたまま寝ている7歳。
まつ毛の長さとか、図鑑のページに残った指の跡とか、そういうのを見ていたら、急に喉の奥が熱くなって。
心の中で謝りました。
ごめん。あんたは何も間違ってへんかったわ、って。
このモヤモヤ、あなたにも覚えがありませんか?
実は、内閣府の調査(令和元年版 子ども・若者白書)で「自分自身に満足している」と答えた日本の若者は45.1%。
韓国・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・スウェーデンとの7カ国比較で、最下位です。
この数字の出発点のひとつが、6〜7歳のいま、家庭と学校で毎日かけられている「もっと○○できるといいね」という言葉だとしたら。
ちょっと、ぞっとしませんか?
「うちの子、大丈夫?」と検索したあなたへ
こんな場面に心当たりはありませんか
夜中にスマホで「子ども 内気 治し方」と検索したこと、ありますよね。
私はあります。何回も。
· 授業参観で、一度も手を挙げない我が子を見てしまった
· 「お友達できた?」と聞くと、困った顔で黙ってしまう
· 公園では輪に入らず、端っこでアリの行列をずっと見ている
· 先生からの連絡帳に「おとなしいですが」と書かれるたび、胸がチクッとする
· 下の子のほうが社交的で、つい比べてしまって自己嫌悪
ひとつでも当てはまったなら、この記事はあなたのために書きました。
3つ以上なら、たぶん最後まで読んだほうがいいです。
うちの息子は小1です。
入学して2ヶ月、連絡帳に書かれた言葉を並べると、こうなります。
「おとなしいですが、頑張っています」
「自分から発表できるともっと良いですね」
「お友達との関わりが少し心配です」
全部、善意です。先生は何も悪くない。
でも受け取る側の私の中には、「うちの子は足りない子」という前提が、1滴ずつ溜まっていきました。
そしてある日、息子に言ってしまったんです。
夕飯のあとでした。
宿題の音読カードにサインしながら、できるだけ軽い感じを装って。
「なあ、なんで授業で手ぇ挙げへんの?」
息子は麦茶のコップを両手で持ったまま、少し黙りました。
この子の「少し黙る」は、考えてる時間です。
それを知ってるくせに、私は黙ってる数秒が不安で、「分からんかったら分からんでええんやで」と余計なひと言まで足しました。
息子はコップを置いて、こう答えました。
「答えは分かってるから、言わんでもいいかなって」
……分かってるんかい。
しかも本人の中では、ちゃんと筋が通ってるんです。
分かってることを、わざわざみんなの前で言う理由がない。
言いたい子が言えばいい。ぼくは聞いてるから。
7歳の中に、もうそういう「静かな完結」がありました。
このとき初めて、私は疑問を持ちました。
足りないのは息子じゃなくて、「静かさの中身」を見る私の目のほうやないか?と。
「内気は欠点」という思い込みが、いちばん危ない
先に結論を言います。
内向的な気質は、欠点ではありません。
治すものでも、矯正するものでもありません。
むしろ6〜7歳のいま、親がその「静かさ」の中身に気づけるかどうかで、この先の伸び方がまるで変わります。
なぜそう言い切れるのか?
ここからは感想ではなく、データの話をします。
「静かな子」の頭の中で起きていること
5人に1人は、生まれつき「深く処理する脳」を持っている
ハーバード大学の発達心理学者ジェローム・ケイガンは、1989年から生後4ヶ月の赤ちゃん500人を追いかける研究を始めました。
結果、約20%の赤ちゃんが「高反応」、つまり刺激にひといちばい敏感なタイプだと分かったんです。
この子たちは、未知の音や匂いに手足をバタバタさせて泣く。
一見「育てにくい子」です。
でも追跡してみると、この高反応の子たちは思春期に、物静かで思慮深い子に育つ傾向がありました。
敏感さは、弱さじゃない。
「世界を細かく受信できる脳の配線」なんです。
心理学者エレイン・アーロン博士が1996年に提唱したHSC(ひといちばい敏感な子)も、子どもの15〜20%。
5人に1人です。
教室に35人いたら、7人。
うちの子だけじゃなかったんですよ。
「内向型」は世界の3分の1〜半分。少数派ですらない
スーザン・ケインの世界的ベストセラー『内向型人間のすごい力』によると、アメリカ人の約3分の1が内向的な気質。
2020年公表のMBTIのグローバルサンプルでは、世界の約56.8%が内向型と判定されています。
調査によって幅はあるものの、少なくとも「珍しい性格」では全くない。
さらに、です。
高知能(ギフテッド)層では、最大75%が内向型だったという報告まであります。
集中して、観察して、深く考える。
学びの土台になる力を、内向的な子は標準装備しているということです。
なのに。
「もっと積極的に」の一言で、その装備を本人が恥じるようになる。
これが、いちばんもったいない事故です。
「明るく元気が正解」は、実はかなり新しい価値観
ここで一回、立ち止まってほしいんです。
「積極的で社交的なのが良い子」って、誰が決めたんでしょうか?
ケインは『内向型人間のすごい力』で、欧米社会が「人格の文化」から「性格の文化」へ移り変わり、声の大きさや見せ方が評価されるようになった歴史を描いています。
つまり「外向型が正解」は、人類の普遍的な真理ではなく、わりと最近の流行なんです。
ビル・ゲイツも、ガンジーも、Appleを共同創業したスティーブ・ウォズニアックも、ケインが挙げる有名な内向型。
ウォズニアックに至っては、本人が「エンジニアは一人で働け」と言い切るタイプです。
流行に合わせて、生まれつきの配線を作り替えさせる必要はありません。
配線に合った使い方を教えるほうが、100倍早い。
その「使い方」を教えられる場所が、家庭です。
6〜7歳の内向的な子が持つ「6つの強み」
全体マップ:この3部作で扱うもの
内向的な子の強みは、大きく6つに整理できます。
1. 高い集中力(好きなことに没頭できる)
2. 深い思考・観察力(細かいことに気づく)
3. 創造性・想像力(自分だけの世界を持っている)
4. 共感力・思いやり(人の気持ちを敏感に察知する)
5. 責任感・粘り強さ(決めたことをコツコツ続ける)
6. 自立心(一人で考え、一人で動ける)
この上巻では「集中力」と「観察力」。
中巻で「創造性」と「共感力」、下巻で「責任感」と「自立心」を扱います。
なぜ6〜7歳が勝負どころなのか
アーロン博士は、学童期を「独特の才能を開花させる時期」と呼んでいます。
音楽、絵画、数学、自然科学。
敏感で内向的な子が才能を伸ばし始めるのが、ちょうど小学校に上がるこの時期なんです。
ただし、条件があります。
家庭が「強みを認識して、使わせてあげる場」になっていること。
逆に言うと、この時期に「気にしすぎ」「早くして」「もっと元気に」で塗りつぶされると、強みは強みのまま埋まります。
掘り起こすのは、学校ではなく家庭です。
担任の先生は1年で替わりますが、あなたは替わらないので。
では、具体的に家で何をすればいいのか?
ここからが、この記事の本体です。
うちで実際にやって、空回りした方法と効いた方法を、全部書きます。
【実践】集中力を「家庭の武器」に変える5つの方法
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