スウェーデンウィンク
カーラジオから国際ニュースが流れている。ロシアのウクライナ侵攻に対応するべく、フィンランドとスウェーデンの両首相がNATO加盟についての共同記者会見を開いたらしい。
「スウェーデン食わぬは男の恥って言うでしょ? 」
助手席の純子がそう言った。いや、違う。そう聞こえたのだ。正しくは、据え膳のはずだ。
「まさか、ダジャレ言ってないよね?」
オレは、ついつい確かめた。
「なんの話してるの? いやならここで降ろして」
両首相とも女性だ。世界もこの車のなかも、女性がリードしている。
「無茶言うよね~高速道路で降ろせるわけないでしょ」
「どうするの? 武士は食わねど高楊枝なの?」
外人さん相手の日本語教師をしている純子のことば使いに苦笑しつつ、オレは高速を降りるとホテルに車を走らせた。
両国のNATO加盟が決まった頃、オレたちの結婚式には純子の生徒さんたちも祝福に来てくれた。何語だかわからず戸惑うオレに、皆がラッキーメ~ン!と言いながらウィンクの挨拶をくれる。どうやら、スウェーデンに落とされた男だと知っているようだ。まあいい。武士の情けだと、サンキュ~を連発するオレは、きっと尻に敷かれるに違いない。
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