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未来の自分へ、伏線を張る。

25年ほど前、海外で一緒に暮らしていたルームメイトが、いつも本を読んでいました。

「なぜいつも勉強ばかりしてるんだ?」

そう聞いた私に、彼は言いました。

「勉強じゃないよ。学んでるんだよ。」

その言葉に、私は衝撃を受けました。

私は、勉強は誰かにやらされるもの、
学びは自分から知りたくてするものだと思っていました。
だから、本ばかり読んでいる彼が不思議だった。

でも彼にとって、それは「勉強」ではなかった。

学びだった。

「学ぶことなら、自分だって大好きなんだ」

同じ行動でも、捉え方ひとつで吸収力は変わる。

今思えば、毎日のように遊んでいた私に、将来のために少しは勉強もしておいた方がいいと、それとなく伝えてくれていたのかもしれません。

本当のところは分かりません。

でも彼は「勉強しろ」とは言わなかった。

答えを教えるのではなく、自分で気づくきっかけをくれた。

その言葉は、その後の仕事や学びの中で少しずつ意味を増していきました。

今振り返ると、私の人生に張られた一つの伏線だったのだと思います。

そんな伏線回収を重ねるうちに、私は、人生に意図的に伏線を仕込むようになりました。

学ぶ。
身体を整える。
知らない場所へ行く。
人に会う。
新しい仕事に手を挙げる。
資産を積み上げる。

今すぐ意味が分からなくてもいい。

未来の自分なら、今は見えない点と点をつなげられるかもしれないからです。

そして、伏線は自分のためだけに仕込むものでもありません。

家族に、まだ知らない経験をひとつ増やす。
友人が踏み出すとき、背中を押す。
困っている人に、少し力を貸す。
人と人をつなぐ。
誰かの視点が変わる一言を渡す。

大切なのは、すべてを回収することではありません。

未来に回収できる可能性をいくつも仕込み、いつかその意味に気づき、つなげられるように、自分自身も育てていく。

伏線は、仕込んだ瞬間に価値が決まるものではありません。

時間の中で意味が熟し、必要なタイミングで、

「あの時のあれが、ここにつながったのか」

と気づく。

長い時間をかけて熟した分だけ、その伏線は大きな意味を持つことがあります。

未来は、誰にも分かりません。

だから私は、未来を当てようとは思わない。

その代わり、自分や誰かの未来に、いつか回収できる可能性を仕込んでおく。

未来のためにできること。

それは、小さな伏線をひとつ増やしておくことなのだと思います。

あなたは未来にどんな伏線を仕込みますか?

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