現代女性ギタリスト 5選
2010年代以降の今最も注目すべき女性TOPギタリスト 5選
かつては女性というだけでチヤホヤされた時代もあったが、近年は全くそんなことはない。冷静に聴いても「音」だけで勝負できる。昔は「女性だから」とか「可愛い」だけで暗黙のハンデキャップが与えられ、同等レベルの男性ギタリストだったらまずチャンスは無かっただろう、という逆ジェンダーギャップが存在していたのも事実。だが今は性別を武器にしなくても、性別を知らずに「音」だけを聴いても、音楽の力だけでチャンスを勝ち取れる、実力派の女性ギタリストが増えた。
もちろん今でもビジュアル的にインパクトがある方が注目を集めやすいし、その方が、通りすがりの人へのアピールもできる。レコード会社がプッシュして売り出していたり、大人社会の「裏」事情も影響してるのは確か。
しかし近年YoutubeやTiktokのサムネイル画像に注目させ、とりあえずの客引き行為で、いかに再生回数を伸ばせるか、だけに必死になり、その場しのぎの飛び道具的なテクニックで音楽を消費する姿勢は、いかがなものかと思う。まるでインスタントな即席の音楽みたいな?ところまで堕落してるように見えなくもない。それはそれで同じ畑の人同士が勝手に楽しめば良いし、使い捨てのバラエティ音楽のような別世界と思えばそれで良いのかもしれない。
でも、そこにはあまり共感を覚えないし、関心もできない。音楽を心底に愛してきた音楽オタクやギター音楽ファンとしては、じっくりと音楽を聴きたいし、ギター音楽の本質的な部分と真摯に向き合いたい。
偽物ばかりがはびこる中、本物だけを見抜きたいし、本物だけを紹介したい、が本音だ。これだけは譲れない。
そこで今回は、そんな目先の衝動を誘導するような音楽ではなく、決してコケ脅しの一過性の音楽や見た目にとらわれない、しっかりと実力だけで勝負できる、そんな現代最高峰ギタリストたちを選びました。むしろ、選んだというより、頭一つ二つ抜きん出た実力派の5人という紹介が相応しいのかもしれません。
まず1人目はこちら
Rosie Frater-Taylor (ロージーフレイターテイラー)


ベッカスティーブンスやグレッチェンパーラトなどのアメリカーナジャズへの英国からの回答とも言うべき、新世代ジャズシンガーソングライターの筆頭格にしてギタリストのロージーフレイターテイラー。英国を代表するジャズ系メディア「Jazzwise Magazine」において注目すべきアーティスト「One to Watch」に選出され、ジャイルスピーターソンの「6 Music & Jazz」でもフックアップされ、現地メディアやトップDJに「まるでジョニミッチェルとパットメセニーが出会ったようだ」「ジョンメイヤーの女性ヴァージョン」と賞賛された。
現在進行形Jazzの震源地であるUKジャズの象徴的存在にして、これぞニュースクールジャズの代表格。クールでありながら幼さも残るナチュラルかつピュアな歌声とテクニックに裏付けされた質の高いギターリフやカッティングセンス。
彼女の凄さはそれだけではない。
リフやカッティングだけなら良いギタリストは世の中にごまんといる。彼女の場合は現代的ジャズハーモニーを駆使したギターソロが別格なのだ。間違いなく、その辺のギター女子にはこのレベルのソロは弾くことはできない。その両方を持ち合わせたギタリストは過去、世界的に見ても歴史的に見ても、彼女以外は見当たらない。
作品全体のサウンドクオリティーもさることながら、単なる過去の焼き増しではなく、新しさを意識した作編曲能力にまず驚かされると共に、圧巻のテクニックと、更にそこに生々しい歌声が加わり、無敵のバランスを保っている。緻密でありながらも、ちゃんとエモーショナルな部分も残すソツのない天性の才能に脱帽するしかない。
かつてヴァンヘイレンやフランクザッパが称賛したギタリスト、アランホールズワースや、エリッククラプトン主催の「クロスロードギターフェスティヴァル」にも参加している現代ジャズギターの皇帝ことカートローゼンウィンケル等ように、同業者のプロのギタリストからは絶大な支持を得ているにも関わらず、一般の音楽リスナーや、他ジャンルの音楽ファンからは、さっぱり人気が低いギタリストっていますよね? 個人的には、この違いが「なぜだろう?」と、不思議に思うし、歯がゆい部分でもあります。
まさに彼女も「その類のギタリストかも?」と。
じゃあ彼らと彼女の共通点はどこにあるのか?
ジワジワとくる「中毒性」にあるのか?どうなんだろう…
どうしても近年SNSやサブスクの普及により、今の時代ならではの「見栄えのインパクト」だったり、「ビジュアルの破壊力」だったり、「目先の衝動」だったり、が求められる現代の音楽業界において、「ジワジワ感」とか「中毒性」が評価されるには、どうしても層が狭まるし、時間がかかるのは、やむを得ないのかもしれない。まさに時代と逆行している。
これって、いわばデジタルの時代にアナログ人気が再燃する、みたいな流れと、ある意味、似てなくもないですよね?
だからこそ、アランホールズワースにしても、カートローゼンウィンケルにしても、ロージーフレイターテイラーにしても、結局は我々のような音楽オタクやギター音楽ファンがプッシュするしかない、のかもしれない。
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Jackie Venson (ジャッキーベンソン)


1990年2月5日米国テキサス州オースティン生まれ、バークリー音楽大学出身の黒人女性ギタリスト、ジャッキーベンソン。バディガイやスティービーレイヴォーン、アリシアキーズから影響を受け、エレクトリック・ヘンドリックス・ミーツ・プリンス・ブルースギターなどと形容される。
スティーヴィーレイヴォーンばりの濃厚ブルースギターと、'80sライクなポップでキュートなソングライティングを併せ持つ。あのゲイリークラークJrも絶賛するテキサス出身の新世代ギタリストだ。
2023年発表のアルバム「Ghost in The Machine」では、まるでナイルロジャースのようなファンキーかつ80s風シンセサウンド、デュランデュランのようなキラキラ・ニューウェーヴ感覚、TOTOのような完璧なアメリカンロック的アレンジまで、あのジョンメイヤーの80s回帰的名作「Sob Rock」に匹敵する素晴らしい出来。実は、このアルバムは3rdアルバムの「do-over」すなわち「生まれ変わり=再録音」である。再録音するという行為はなかなか常識破りなところはあるが、これが実は大正解で、それぞれの楽曲が遥かにパワーを兼ね備え新たなアレンジによって蘇り生まれ変わっている。ジャッキーが本アルバムで最も伝えたいのは、それそれの楽曲の世界観を、今の彼女の言葉で新たに表すということ。楽曲はそれぞれ生きていて、常に変化しているということ。そのメッセージを共有することが、このアルバムで伝えたかったことなのだろう。
楽曲をその場その場で生まれ変わらせ、その時その時で、常に違う演奏をする、まるで生き物のような音楽が、彼女の真骨頂だ。
つまり彼女最大の魅力はライブパフォーマンスにある。
Youtubeに大量に上がっているライブ映像こそ、彼女の魅力がたくさん詰まっている。
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Lari Basilio (ラリバシリオ)


1988年6月23日生まれ。今やSNS界のスター、ブラジルはサンパウロ出身の新世代女性ギタリスト、ラリバシリオ。
同じくブラジル出身のマテウスアサトにも匹敵する、玄人からも絶大な人気を誇る、今やギター界の押しも押されぬ実力派ギタリスト。
ハードなだけではなく、繊細なハーモニーセンスは、如何にもブラジル人らしく、日本人の琴線に触れること間違い無し。Ibanezからはシグネチャーモデルも出ている。
自主制作となる2019年のアルバムでは、ジェフベックなど数々の大物と共演歴のある世界最高峰ドラマーのヴィニーカリウタ(ds)、エリッククラプトンのバンドでも活躍するネイザンイースト(b)、そしてマイケルジャクソンのバンドで活躍したグレッグフィリンゲインズ(key)という超豪華面子が全面参加。
しかもゲストにジョーサトリアーニが参加。
既に自主盤にして、この面子が揃うことからも、彼女の凄さを窺い知れるだろう。マイケルジャクソンのカバー「Man In The Mirror」以外は全てインストナンバー。
ディストーションサウンドでありながら現代的なジャズハーモニーを聴かせ、今風のアーミングプレイやタッピング、カッティングやミュート速弾きなど、まさに現代ギターの教科書ような演奏だ。
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Molly Miller (モーリーミラー)


今やアメリカを代表する、女性ギター教授の一人、"ドクター"モーリーミラー。
南カリフォルニア大学の名門ソーントン音楽学校でギターパフォーマンスの博士号を取得し、その後はロサンゼルス音楽大学のギター学部の議長も務める。最近では、ジェイソンマーズやBlack Eyed Peas等のレコーディングやツアーにも参加。
ずばりジュリアンラージの女性版?、はたまたジムカンピロンゴのようなテレキャスマスターの風格すら漂う。所謂アメリカーナというか、自国のルーツ音楽をしっかりとものにしていて、いかにもエレキライクな?音色が最高に心地よく、テクニックもあるし、ノリの良さも、押し引きも、溢れ出るフレージングやアレンジセンスも抜群、そして何より熱いパッションを感じさせる。まさに「ついに現れた!!」と唸ってしまうほどだ。
昔は、女性というだけで注目された時代もあったが、近年は全くそんなことはない、冷静に聞いても「音」だけで勝負できる。
そしてトリを飾る5人目はこちら
Mary Halvorson (メアリーハルヴォーソン)


現代の即興音楽に詳しい人なら、真っ先に彼女の名前をあげるだろう。もはや現代の即興音楽の大家といっても過言ではない最重要人物の一人。
ダウンビート誌の批評家投票で、6年連続ギター部門1位を獲得している、今や押しも押されぬ現代ジャズギター界の中心人物、メアリーハルヴォーソン。
フリージャズの巨匠アンソニーブラクストン、異端児ビルフリゼール、鬼才マークリボー、破壊者ジョンゾーン等、この顔ぶれを見ただけで(知ってる人なら)、つい、のけぞってしまいそうな強者たちと共演しても、一切引けをとらない実力派だ。
かつてジュリアンラージがインタビューの中で、戦後のジャズギター史に革命をもたらした一人として、デレクベイリー、ビルフリゼール、そして彼女の名前を挙げている。
彼女はアヴァンギャルドな即興演奏を軸に、管弦楽や弦楽四重奏の組曲などの作編曲も非常に才能豊かで、ライフテーマでもある「実験と革新」の演奏論を探究し続けている。
即興演奏においては、まるでエレクトロニカを逆サンプリングしたような斬新なエフェクター処理によるユニークなギターサウンドコラージュで魅了する。決してイロモノではなく、楽曲の本来持つメロディーの美しさや繊細なハーモニー感覚を同時進行させる巧さも持っている。
その絶妙なバランス感覚と基盤がしっかりしてる点こそが、彼女最大の魅力であり、同業者や批評家からも絶大な支持を得ている大きな理由の一つだろう。
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