Windows版・事故らないImmich完全構築マニュアル|Docker・GPU・iPhone自動バックアップまで
前回の記事では、iPhoneの容量不足をきっかけに、自宅PCへ「Immich」を導入した話を書きました。
僕が作りたかったのは、単なる写真置き場ではなく、iPhoneで撮れば自動で自宅PCへ保存され、本体の容量を空けても昔の写真をいつでも見られる「自分専用のフォトクラウド」です。
完成したシステムには非常に満足していますが、正直に言えば、環境構築は「少しコツが要る」どころではありませんでした(笑)。Windows+Docker+Immichという組み合わせは、動かすだけなら難しくありません。しかし、**「長期間、大切な家族写真を預けられる構成」**にしようとすると、保存先の設定、ネットワーク、セキュリティ、バックアップなど、考えるべきことが山ほど出てきます。
この記事では、僕が実際に構築した環境をベースに、WindowsでImmichを安全に運用開始するまでの手順をまとめます。単なるインストール方法ではなく、どこで、なぜ詰まったか、最終的にどういう設計にしたかという「地雷の避け方」を共有します。
僕と同じところで数時間溶かさず、最短で完成形まで辿り着くための手順書です。
0. まず完成形:この記事で作るもの
(1)物理構成とフォルダ設計
最終的な構成は以下の通りです。
iPhone
│
│ Immich Backup
│ Wi-Fi
▼
Windows 11 PC
│
├─ D:\00_Immich_MANAGED
│ │
│ ├─ 00_App_Config
│ │ ├─ docker-compose.yml
│ │ └─ .env
│ │
│ └─ 01_Library_DO_NOT_EDIT
│ ├─ upload
│ ├─ library
│ ├─ thumbs
│ ├─ encoded-video
│ ├─ profile
│ └─ backups
│
├─ Projects
│ ↑
│ 編集したい動画だけCOPY
│
├─ Exports
│ ↑
│ CapCutで編集後ファイル
│
│
└─ C: Immich BACKUP
↑
Dドライブから定期的にバックアップ(必須ではない)
Docker Desktop
│
└─ WSL2 / Linux
├─ Immich Server
├─ Machine Learning
└─ PostgreSQL
↓
Docker Volume【物理構成とフォルダ設計】
Dドライブ:Immich本体・写真原本
Cドライブ:第2バックアップ
Docker Desktop / WSL2:Immich・PostgreSQL等の実行環境
(2)システムの運用ルール
「普段はほぼ何も考えなくていい状態」をゴールにします。
iPhoneからWi-Fi経由で自動バックアップ。
1年以上前のデータはiPhoneから削除してストレージを解放。
Immichに保存したファイルは、Immichサーバー(PC)が起動中で、iPhoneが同じ家庭内LANに接続されていれば、iPhoneから過去写真を閲覧可能。PCは有線LANでもOK。
顔認識やSmart Searchは自動処理。RTXシリーズ搭載PCならGPUアクセラレーションも可能。
DBと写真本体は二重にバックアップ。
1. 最初に大原則:「Immich管理フォルダは直接触らない」
ここは非常に重要です。Immichへアップロードした写真は、単にフォルダへコピーされるわけではありません。データベース(PostgreSQL)やサムネイル、人物情報などと密接に紐付いています。
そのため、エクスプローラーで直接ファイルを削除したり移動したりするのは厳禁です。僕は管理領域を `01_Library_DO_NOT_EDIT`(編集禁止)と命名し、未来の自分に圧をかけました(笑)。動画編集などで使いたい場合は、必ず「原本から別フォルダへコピー」して使うルールを徹底します。
2. 必要な環境
僕の場合は以下です。
Windows 11 PC(写真保存用の空き容量が必要。今回はSSD 2台で構築)
Docker Desktop / WSL2
iPhone + Immich iOSアプリ
GPU(RTXシリーズ等):任意。なくても利用可能。大量写真のAI解析を高速化したい場合に有効。
また、この記事では「すでにWindows PCがある人」を想定しています。
ImmichのためだけにPC一式を購入するのであれば、NASやクラウドも含めて費用対効果を比較した方がいいと思います。より安全に運用するなら、外付けHDD・NAS・クラウド等への別媒体バックアップを推奨。
3. Windows版Immichの設計ポイント
構築前に一番悩んだのが「PostgreSQL(データベース)をどこに置くか」です。写真本体はWindows側のDドライブに置きたい一方、PostgreSQLのDB領域はWindowsのNTFSへ直接置かない方針にしました。
Immich公式でも、DBデータ領域はNTFS / exFAT / FAT32ではなくLinux互換のファイルシステムを使うよう案内されています。そのため今回は、
「写真はWindows NTFS上、DBはDocker Volume内」
に分離します。
4. 構築ステップ:具体的な手順と「詰み」ポイント
ここから実際に構築していきます。
ゴールまで全17 STEPありますが、やることは大きく4つだけです。
目次
PHASE 1|Immichを動かす
STEP 1 WSL2とDocker Desktopを準備する
STEP 2 写真の保存場所を決める
STEP 3 Immich公式ファイルを配置する
STEP 4 写真・動画の保存先を設定する
STEP 5 PostgreSQLをDocker Volumeに置く
PHASE 2|iPhoneと繋ぐ
STEP 6 Immichを初めて起動する
STEP 7 iPhoneからImmichへ接続する
STEP 8 繋がらない場合は原因を切り分ける
STEP 9 正常接続後、PCのIPアドレスを固定する
PHASE 3|写真管理を自動化する
STEP 10 iPhoneの自動バックアップを有効にする
STEP 11 顔認識・Smart Searchを使えるようにする
STEP 12 RTXシリーズがあればAI処理をGPU化する
STEP 13 「ストレージを解放」でiPhone容量を空ける
PHASE 4|家族写真を守る
STEP 14 写真・動画を第2SSDへバックアップする
STEP 15 バックアップをWindowsで自動化する
STEP 16 ImmichのDBも定期バックアップする
STEP 17 復旧に必要なデータが揃っているか最終確認する
ここから先は、実際に僕が行った操作と、途中で詰まったポイントを交えながら順番に説明します。なるべく端的に手順を示しますね。
STEP 1|WSL2とDocker Desktopを準備する
Windows版Immichは、Docker Desktop+WSL2(Linux)という構造の上で動きます。一度構築すれば、普段Linuxを意識することはほぼありません。
(リンク:WSLインストール)
(リンク:Windows版Docker Desktopインストール)
【やること】
Windowsのスタートメニューで「PowerShell」と検索
「Windows PowerShell」を右クリック →「管理者として実行」
開いたPowerShellの黒い画面に、以下を入力してEnter
wsl --version
⇒バージョン情報が表示されれば、WSLは導入済続けて同じPowerShellに以下を入力してEnter
wsl --update
WSLが未導入だった場合は、PowerShellに以下を入力してEnter
wsl --install再起動を求められた場合はWindowsを再起動
再起動後、Ubuntuを起動
Linux用ユーザー名・パスワードの設定
ここで作るアカウントは、Windowsのログインアカウントとは別物。
※wsl --installを行った場合、Ubuntuも導入されるため、初回起動時はユーザー名・パスワードを設定。次にDocker Desktopを入れます。 (リンク)
Docker Desktop for Windowsを公式サイトからインストールDocker Desktopを起動
Settings → General を開く
「Use the WSL 2 based engine」が有効になっていることを確認
「Start Docker Desktop when you sign in to your computer」もON推奨
最後にDockerが正常に使えるか確認します。
PowerShellを開き、以下を入力してEnter
docker --version続けて以下を入力してEnter
docker compose version
両方ともバージョン番号が表示されればSTEP1完了です。
詳細は公式マニュアルにも記載ありです。 (リンク)
なお、Immichで使うのは docker compose。古い記事で見かける docker-compose ではありません。
【僕の詰みポイント】
最初はWSL2、Ubuntu、Dockerの関係が分からず、「この先ずっとLinuxの黒い画面を触るの?」と思っていました。
実際には、初期構築後の操作はほぼWindows側で完結します。
ここでは仕組みを理解しすぎようとせず、docker compose version が通ればOK。
STEP 2|写真の保存場所を決める
次に、Immichで使うフォルダをWindows側に作ります。
僕の場合は、写真・動画を保存するDドライブにImmich専用領域を作りました。ここは今後、大切な写真・動画の「原本」になる場所です。
なお、この先は、
写真・動画の保存先設計 → Immich起動 → iPhone接続 → Firewallトラブル対策 → AI顔認識/GPU化 → iPhoneストレージ解放 → 第2SSDへの自動バックアップ まで、僕が実際に構築した設定を順番に再現していきます。
特に、僕が数時間詰まった「PCでは開くのにiPhoneから接続できない」問題や、PostgreSQLのVolume設定、実際に使っているバックアップ用バッチファイルも含めています。
【やること】
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