【財務研究Lab】企業の血液検査とレントゲン写真
「財務ができずに、中小企業診断士として企業支援ができるか!」
これは以前、宮川先生からいただいた言葉です。当時、財務・会計が苦手で経理の仕事が嫌で仕方がなかった私にとって、腹をくくって財務と向き合う覚悟を決める、忘れられない一言となりました。
宮川先生が亡くなられてもうすぐ10年になりますが、僕の中では先生の教えは今も息づいています。

6月29日に開催した「財務研究Lab 第4回定例会」では、盟友である佐藤正浩さんを講師にお招きし、宮川先生直伝の「企業の血液検査とレントゲン写真」について講義をしていただきました。
佐藤さんと私は、共に宮川先生を師匠と仰いでいます。もっとも、佐藤さんは一番弟子で、私は末席に連なる身ですが、兄弟弟子であることに変わりはありません。
財務諸表の様々な数字は、血液検査で明らかになるデータそのものです。この数字を見て、診断の方向性について仮説を立てることができます。さらに、BSとPLを図式化・視覚化することで、企業の"病巣"を明らかにできる可能性が高まります。あたかもレントゲン写真のように。これが講義タイトルの由来であり、もちろん名付け親は宮川先生です。
講義で扱われた情報の多くは、基本的な内容でした。診断士であれば、様々な財務分析指標(流動比率、売上総利益率、総資産回転率など)については、試験勉強で一度は学んだはずです。
一応の目安はあるものの、適正値は業種によって異なります。さらに重要なのは、企業のビジネスモデルによっても適正値は大きく変わってくるという点です。そのため、一律に「何%だから大丈夫」と判断してしまうのは非常に危険です。血液検査の数値が、年齢や生活習慣で基準値が変わるのと同じように、企業診断の基礎となる数値も、その背景を読み解かずに表面だけで判断すべきではないのです。
今回の講義は、私たちにそうした財務分析の原点を改めて気づかせてくれるものでした。一見すると「知っていることばかりだ」と感じたかもしれません。しかし、その奥にある「数値から企業の”実態”をどう読み解くか」という本質にこそ、この講義の真価があったのだと感じています。
この視点こそが、これからの診断士活動をより豊かにしていくのではないかと思っています。
