【士業事務所の経営課題】課題を放置しているのではなく、向き合う余裕がないだけ。
士業事務所の経営者の話を伺っていると、
「退職者が出て採用が急務なんです」
「教育体制を整えないといけないのはわかっているんです」
「営業活動をもっと強化しないといけないんです」
「業務効率化が課題なんです」
そんな言葉を耳にすることが少なくありません。
たまに自信家の先生はいますが、
「おかげさまで何の問題もありません」
という人にはほとんど会ったことがありません。
事務所の規模に関係なく、士業事務所の経営者は何かしらの課題を
抱えています。
一人事務所には一人事務所の悩みがあり、
10人規模には10人規模の悩みがあります。
もちろん100人規模には100人規模の悩みがあります。
事務所が大きくなれば課題がなくなるわけではありません。
課題の種類が変わるだけです。
私自身、100人規模の法人で経営幹部をしていましたが、
10人未満の事務所で番頭さんをしていた経験もあり、
身をもって実感しているので、それらが心の底からわかります。
そして、多くの経営者に共通していることがあります。
それは、課題を認識していないわけではないということです。
何が問題なのかはわかっている。
何をしなければならないのかも理解している。
むしろ、私なんかが改めて説明するまでもなく、よく勉強されています。
だから私は、経営者の抱える課題を見るにつけ、
「この人は経営やマネジメントを知らないからできない」
と思ったことはほとんどありません。
むしろ逆です。
知っている。
わかっている。
そして実際に動いてもいる。
それでも思うように進まない。
だから悩んでいるのだと受け止めています。
▮経営者は何もしていないわけではない
例えば採用の場面。
採用で苦労されている事務所さんは本当に多いです。特に有資格者の
採用は思うようになりません。
「平原さん、転職考えてる有資格者いたら紹介して」と年中あちこちから
声をかけられます。
人が足りない。
退職者が出た。
求人を出す。
人材紹介会社にも相談する。
採用ページも見直す。
SNSで発信もする。
つまり、何もしていないわけではありません。
むしろ様々な手を打っています。
それでも応募が来ない。
応募が来ても採用に至らない。
採用できても定着しない。
だから悩むのです。
教育も同じです。
新人教育の必要性は理解している。
研修も実施している。
マニュアルも作っている。
勉強会も開催している。
それでも思うように育たない。
期待したレベルに到達しない。
ベテランへの負担が減らない。
だから悩むのです。
営業も同じです。
WEB集客に費用をかける。
交流会に参加する。
提携先を開拓する。
ニュースレターを送る。
ブログで情報発信も行う。
それでも思うように成果につながらない。
だから悩むのです。
私は、士業事務所の経営者の悩みの多くは、
「何をすればいいかわからない」ではなく、
「やるべきことはやっているつもりなのに成果が出ない」
ことにあるように感じています。
▮課題は単独では存在しない

そして、ここに士業事務所経営の難しさがあると思っています。
経営課題は単独で存在していることが少ないのです。
例えば、
「採用が課題です」という相談があります。
しかし話を聞いていくと、採用そのものだけの問題ではないことが
少なくありません。
採用しても定着しない。
定着しない理由を探ると教育体制に課題がある。
教育体制を整えようとすると、業務が属人化していることがわかる。
属人化を解消しようとすると、ベテランに余裕がないことがわかる。
ベテランに余裕がない理由を探ると、業務量や人員配置の問題が出てくる。
すると最初は採用の問題だと思っていたものが、
教育の問題であり、
業務設計の問題であり、
事務所運営の問題でもあったことが見えてきます。
営業も同じです。
営業活動を増やそうと思っても、事務所として何を強みとして
打ち出すのかが曖昧だったりする。
提携先との関係構築を進めようとしても、担当する人材が
いなかったりする。
情報発信を強化しようとしても、日々の業務に追われて継続
できなかったりする。
つまり、営業だけの問題ではないのです。
経営課題というものは、一つ解決すれば終わるものではありません。
一つの問題を掘り下げると、別の問題が見えてくる。
さらにその奥に別の問題が存在する。
そんなことが珍しくありません。
▮だから経営者は迷う

私は経営者が行動していないとは思いません。むしろ十分すぎるほど
行動していると思っています。
問題は、
「何をやるか」ではなく、
「何を優先するか」です。
採用も重要。
教育も重要。
営業も重要。
提携先開拓も重要。
業務改善も重要。
人材育成も重要。
すべて重要です。
だから迷うのです。
限られた時間の中で何から手を付けるべきなのか。
どこに経営資源を投入するべきなのか。
どこが本当のボトルネックなのか。
その判断は簡単ではありません。
しかも経営者は、その判断をしながら日々の業務もこなしています。
顧客対応があり、
案件管理があります。
スタッフ対応があります。
トラブル対応もあります。
一般事業会社であれば、ある程度、役割分担ができていて、経営者が
経営に専念できることもあります。
しかし士業事務所では、経営者自身がプレイヤーとして現場に立っている
ことも少なくありません。むしろ小規模事務所ではトッププレイヤーで
あるでしょう。
だから経営課題だけに集中することが難しいのです。
▮経営者は孤独である
もう一つ感じることがあります。
それは経営者の孤独です。
スタッフには上司がいます。
案件には期限があります。
進捗確認が行われます。
しかし経営者にはそれらがありません。
誰も採用の進捗を確認してくれません。
誰も営業活動の状況を管理してくれません。
誰も教育体制の整備を催促してくれません。
経営者自身が考え、決め、自ら動いて、全責任を負う。
それが経営者という立場です。
だから私は、課題が思うように進まない経営者を見ても、
「もっと頑張ればいいのに」とは思いません。
むしろ、
「一人で抱えるには多すぎるのではないか」と思うことの方が多いのです。
▮私の関わり方
経営支援というと、新しいノウハウを教えることや、最新の手法を導入することだと思われることがあります。
もちろん、それも大切です。
しかし私が大切にしているのは、その前の段階です。
今起きている問題は何なのか。
その問題の背景には何があるのか。
本当に優先すべき課題は何なのか。
まずはそこを整理することです。
採用の問題だと思っていたら、実は教育の問題かもしれません。
教育の問題だと思っていたら、業務の属人化かもしれません。
営業の問題だと思っていたら、事務所の強みの整理が必要なのかもしれません。
だから私は、いきなり何をすべきかを提示することはほとんどありません。
なにがしかのツールやシステムを導入すれば全て解決できる。
そんなわけありません。
まず状況を整理し、課題同士のつながりを見て、優先順位を考える。
そして実行可能なところから一歩ずつ進めていく。
迂遠なように見えて、結局はそれが一番の近道です。
目先の課題をいくら解決したつもりになっても、次から次へ別の課題が
生まれ、もぐら叩きになるのは本当に優先すべき課題を見誤っている
からです。
私はそうならないような関わり方を大切にしています。
士業事務所の経営は決して簡単ではありません。
だからこそ私は、できていないことを指摘するのではなく、
なぜ進まないのかを理解し、サポートする人でありたいと思っています。
そして、目の前の問題だけではなく、その背景にある構造まで一緒に
考えながら伴走していくスタイルを堅持しています。
それが、私が顧問先さんと向き合うときに大切にしている姿勢です。
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士業事務所の経営課題は、一つの問題だけを見てもなかなか解決しません。
もし、
「何から手を付ければよいかわからない」
「課題が複雑に絡み合って整理できない」
「第三者の視点で現状を見てほしい」
そのようなことがありましたら、お気軽にご連絡ください。きっとモヤモヤが少し晴れると思います。
お問い合わせは下記メールアドレスからお願いします。
hirahara.conatus@gmail.com
