見出し画像

「あれ、朝の薬飲んだっけ?」を解決するツールを作った話 | やった? ver1.0

はじめに

「あれ、朝の薬飲んだっけ?」

この一言から始まる不安、ありませんか。飲んでも飲んでなくても、思い出せない瞬間があります。歯磨き、ストレッチ、サプリ、ペットのご飯、子供の持ち物チェック。日常には「やった?」と自問する場面が意外と多いものです。

世の中にはこの手のアプリがいくらでもあります。ToDoアプリも、習慣トラッカーも、リマインダーも。でも、ちょっと重いんですよね。アカウント作ったり、インストールをしたり、プレミアムプランに誘導されたり。

もっと軽くていい。開いてタップするだけでいい。

そう思って、「やった?」というツールを作りました。

URLを開くだけ。アカウント不要、インストール不要、超軽量、広告無し、無料、データのローカル保存。この記事では、ツールの使い方と、作る過程で考えたことをまとめます。

なお、私は普段皆様が活用しているようなサービスにも関わっていたり、最先端領域もやっているエンジニアなので、誰が開発したかという面でも安心してご利用いただけるかもしれません。ソースコードも完全に開示しており、変な所が無いかご利用者の方でチェックすることも可能です。


「やった?」でできること

シンプルな日次チェック

朝・昼・晩・他の4つの時間帯で、項目ごとにチェックできます。

たとえば、

  • 薬 → 朝だけ

  • 歯磨き → 朝と晩

  • ストレッチ → 時間帯に縛られないので「他」を使う

タップしたら緑色に変わって完了。それだけです。

直近3日を一覧で把握

「昨日の夜、歯磨きしたっけ?」がすぐ分かるように、直近3日の記録を一覧で表示しています。

物理のToDoリストだと「今日やったか」しか分かりませんが、デジタルなら過去3日を並べて見られる。これはデジタルで作った意味のある部分かなと思います。

データは全部あなたのブラウザの中

このツールの一番の特徴は、サーバーにデータを一切送信しないことです。

チェックした記録も、登録した項目も、全部ブラウザのローカルストレージに保存されます。私(作成者)の手元には何も届きません。薬や健康に関する情報を扱うので、この設計は外したくありませんでした。

補足として、データは平文でブラウザのlocalStorageに保存されます(DevToolsなどで簡単に内容を確認できます)。このアプリは「めちゃくちゃシンプル」であることを最優先しているため、現在は暗号化などの高度な保護は行っていません。まあ、毎日のルーチンリストにそんな重要な情報は書かないはず、というのが設計上の前提です。「もっとセキュリティを強くしてほしい」という声があれば、将来的に暗号化機能を入れるかもしれません。

項目は自由に追加・編集

薬だけでなく、歯磨き、ストレッチ、日記、筋トレ、ペットの散歩、なんでも。「毎日やる」「たまにやる」みたいなルーチン全般に使えます。

ちょっとしたTips

ブラウザの設定でサイトデータを削除したり、長期間アクセスしないと、ブラウザがlocalStorageのデータを自動削除することがあります。項目を設定したら、「データの保存・読み込み」メニューから一度エクスポートしておくと、万一の時に復元できて安心です。

あと、インターネットにアクセスせずに使いたい方は、以下からindex.htmlをダウンロードして、そのファイルをブラウザで開くと、完全にローカル環境のみで使えます。



なぜ作ったか

きっかけは、ECサイトやSNSで物理のToDoリストが売れているのを見たことでした。

子供向けの「朝の支度チェック」として売られているやつです。「歯磨き」「着替え」「ベッドを整える」みたいな項目が並んでいて、左右に動くスライドスイッチで✓/✗を切り替える。それだけ。

これが売れている理由を考えてみると、面白いことに気づきます。

  • 設定が無い。買ってすぐ使える

  • モードも、オプションも、同期も、通知設定も無い

  • 開かなくても状態が見える

  • 翌朝リセットで、過去ログを気にする必要がない

つまり、機能が無いことが、シンプルなことが価値になっている。

ToDoアプリや習慣トラッカーは世の中にたくさんあります。機能が豊富で素晴らしいものも多い。でも機能が多いと設定が面倒で、結局使わなくなる、ということも結構あります。物理ToDoはその逆を行っているわけですね。

この「シンプル性が価値」という視点を、デジタルで再現したらどうなるか。それが「やった?」の出発点でした。


設計で迷ったこと

その1:時間帯をどう扱うか

最初は「朝・昼・晩・寝前」の4つで考えていました。でも使うことをイメージしてみると、時刻に縛られないチェック項目があることに気づきます。

ストレッチや日記は「いつやるか」より「今日やったか」が大事。寝前に縛る必要はない。

そこで「他」という枠を入れました。時間帯に縛られる3つ(朝・昼・晩)と、時間帯フリーの1つ(他)を組み合わせる。これで時刻ベースと回数ベースの両方を、ひとつのモデルで扱えるようになりました。

その2:過去データをどこまで残すか

当初は「週次表示で7日分」にしようと考えていました。でも突き詰めていくと、過去の記録って実はあまり役に立たないんですよね。

薬を1週間前に飲んだかを後から振り返る必要があるケースは稀。必要なのは「今日」と「直近の数日」だけ。

結果、直近3日に絞りました。それ以前のデータは自動削除されます。データが残らないのは一見デメリットですが、「消えることが分かっている」から気軽に使えるという面もあります。

その3:QRバックアップを入れるか、入れないか

途中で「項目設定をQRコードで引き継げたら便利では」というアイデアが出ました。機種変の時にQRを読むだけで項目がコピーできる、と。

実装方針もだいたい固まりかけていたのですが、立ち止まって考え直しました。

  • QRに埋め込むためにデータをURL化する → ブラウザ履歴に残る

  • スマホのカメラアプリの履歴にQR画像が残る

  • スクリーンショットに映り込むリスクもある

これらが管理できない領域に残るリスクは小さくないかも。機能として便利でも、セキュリティ的に割に合わないと判断して、今回は見送りました。

代わりにJSONのエクスポート/インポートを用意しました。ファイルとして明示的に扱う方が、情報の所在が分かりやすくて安全です。

その4:ライセンスの選択

MITライセンスで公開していますが、ここも少し迷った部分です。

最初はCC BY 4.0(Creative Commons Attribution)を候補にしていました。「クレジット表示さえあれば自由に使ってOK」というシンプルなライセンスで、馴染みもある。

ただ調べていくと、Creative Commons自身がソフトウェアへの使用を非推奨としていることが分かりました。CCライセンスは文章・画像・音楽などのクリエイティブ作品向けに設計されていて、ソフトウェア特有の事情(実行環境、バグ、動作保証など)を想定していないんですね。

結果、ソフトウェア向けに設計されたMITに落ち着きました。「クレジット表示を残せば自由に使える」という趣旨はCC BYと同じですが、免責条項(無保証)がソフトウェアの文脈で明確になっているのが決め手でした。

その5:「入れない」判断の連続

作っているとどうしても「あれも入れたい」「これも便利」となります。でも物理ToDoリストの清々しさを思い出して、毎回同じ問いを立てました。

「これを足したら、物理ToDoリストより便利になるか?」

この問いに胸を張って「Yes」と言えないものは入れない。優先度、サブタスク、複数リスト、カテゴリ分けなど、どれも便利そうですが今回は見送り。

機能追加より、機能を足さない判断のほうが難しかった気がします。


技術的な話(興味のある方向け)

全部バニラJS + HTML + CSSで、フレームワークもビルドツールも使っていません。

  • 単一HTMLファイル(22KB)

  • 外部ライブラリなし、CDN依存なし

  • localStorageに全データ保存

  • 純粋な静的サイト(GitHub Pagesでホスティング)

要件がシンプルなら、バニラJSで十分です。むしろフレームワークを入れない方が、ファイルサイズも起動速度も、長期的な保守性も優れることが多い。

設計上、細かいところで工夫した点をいくつか。

ユーザー入力の描画はすべて `textContent` を使っていて、`innerHTML` は一切使用していません。XSS(クロスサイトスクリプティング)のリスクを抑えた設計にしてあります。

ページを開きっぱなしで日を跨いだ場合も、1分ごとに日付をチェックして自動で画面を更新するようにしています。

初期化(全データ削除)は誤操作が怖いので、確認ダイアログに加えて「1234」を入力してもらう二段構え。

コードはGitHubで公開しています。



使ってみてほしい人

  • 薬の飲み忘れが気になる方

  • 毎日のルーチン(歯磨き、ストレッチ、日記など)をチェックしたい方

  • 「アプリ入れるほどじゃない」「アカウント作りたくない」という方

  • プライバシー重視で、クラウドにデータを置きたくない方

URLを開いてすぐ使えます。合わなければ閉じるだけ。気に入ったらブックマークかホーム画面に追加しておくと便利です。



今後の機能(かもしれない)

シンプル性を優先しているので、基本的に機能は増やさない方針です。ただ、以下は「反応を見ながら検討するかも」のリストです。

  • 項目ごとの色付け(種類を区別しやすく)

  • 項目の並び替え(上下ボタンで順序を変更)

  • 「今日」セクションの文字サイズ調整

このあたりは、シンプルさをあまり崩さずに入れられそう。

  • 暗号化

こちらは「シンプル性」と「安全性」のバランス次第です。要望が多ければ検討するかも。

「これが欲しい」「この順で優先して」みたいな意見があれば、ぜひXまで。


おわりに

これは自分のために作り、ついでに公開しただけのツールです。利用者が増えても、私に利益はありません😂
ただ、このツールが誰かの手元で、小さく役立ったら嬉しいです。

フィードバックや感想は、X等で頂けると大変うれしく思います。


Hajime Tsui


つい作ってしまったもの



#私の作品紹介
#創作大賞2026
#オールカテゴリ部門

この記事が参加している募集