北欧スウェーデンの森の墓地で、ご先祖様の魂を感じた日🇸🇪
お盆が近づいていたある日、なぜか無性に行きたくなった場所がありました。気づけばストックホルム行きの列車チケットをスマホでポチリ…

バスと列車、地下鉄を乗り継いで降り立ったのは、Skogskyrkogården駅。

改札を出て右折し、少し歩くと、すぐそこが今回の目的地。



この日は雲の多いお天気でしたが、陽射しはまだまだ夏の勢いが感じられます。

ちょっと見上げてみると、木々の葉のすき間からこぼれる光とその奥に広がる空が目にはいり、もうすでに心身が緩んでくるのが分かります。

並木道を抜けると現れたのは、世界遺産に登録されている「森の墓地(Skogskyrkogården)」の正面入口。
まだ入っていないけれど、すでにちょっと圧倒されます。

歩みを進めるにつれて、空気の密度が変わったような感じがしてきます。

この日のこの場所では、とにかく空が印象的。
躍動感のあるモクモクとした雲が、まるで生きもののよう。

空を仰ぎながら歩みを進めると、青空を背景に黙々と芝を刈るロボットが視界に入ってきました。厳かな空気の中に、こういう現代的でちょっと可愛い光景があるのも微笑ましい。

敷地の奥へ進んでいくと、なだらかな丘が見えてきます。
【Almhöjden瞑想の丘】と呼ばれる場所。
ここは、大切な人を亡くした遺族が悲しみを抱えながら丘を登り、風や光に包まれながら静かに故人を偲び、心を落ち着かせるための場所としてつくられたのだそう。

階段をゆっくり登っていると、まるで天国に近づいていくような心地になってきます。太陽の光に向かって歩んでいるようで、上るというより光に吸い込まれていくようなイメージが脳裏に浮かんでくるのです。

瞑想の丘に立ち、木々の間から差し込む光を見た瞬間、なんだか異次元にいるような感覚になりました。厳かなのに絶大な安心感に包まれているように感じる。そんな相反する感情が同時にやってきたのです。
この場所を離れるのがなんだか少し惜しいような気がして、しばらくボーっと過ごしていました。私のご先祖様は、当然ここには眠っていませんが、それでも魂は時空を超えるものだと思っています。だからきっと、この場所で感じた安心感は、国や血のつながりを超えたところにあるものなのだろうなと思うのです。

丘の反対側を下ると、まっすぐに伸びる一本道に出ます。
これは「七井戸の小道(Sju brunnars stig)」と呼ばれる道で、瞑想の丘から「復活の礼拝堂(Uppståndelsekapellet)」まで、888メートル一直線に続いています。
実はこの道、もともとは森の防火帯として作られたものでした。しかし、建築家たちがそれを、この道を通列参列者が辿ることで少しずつ悲しみを受け入れ心を鎮めていくための道としてデザインしました。
道の名前の由来である「七つの井戸」は、当初はこの道沿いに作られる計画だったものの、実際には一度も作られなかったのだとか。
(ストックホルム市のサイトより https://skogskyrkogarden.stockholm/en/explore/path-of-the-seven-wells/)


今回訪れた2026年8月現在は、世界遺産の保全・修復工事が進められている最中で、立ち入れないエリアもありました。あちこちで工事の手が入っていましたが、歴史ある建築を維持するための重要なプロセスに立ち会えた気もします。
ひと通り歩いたあとは、インフォメーションセンターへ。ここの建物がまた特徴的。静かで広大な敷地の中でひときわ現代的な印象を与えていました。


ここに併設されているカフェで、お茶の時間(FIKA)に。

カフェの入口ドア横には、こんな可愛らしい子たちがお出迎え。
フクロウは、ブラックコーヒー。
ウサギは、カフェオレ。
どちらもちゃんと本物が準備されています。

カフェには、美味しそうな焼き菓子がたくさんで少し目移りしましたが、ちょっと珍しい見た目のキャロットケーキとコーヒーを注文。
スパイスがきいていて、クリームたっぷりだったのですが、これがスウェーデンの濃いコーヒーと相性バッチリ。ペロッといただいてしまいました。
カフェは、ちょっとしたショップも兼ねていたのですが、そこで出会いが!ハリネズミ(キャンドル)と目が合ってしまい、迷うことなく連れ帰りました。


頭上では、いろいろな鳥たちが入れ代わり立ち代わりやってきます。
上のこの子は、勇敢にもテーブルの上までやってきてくれました。

お茶の時間を楽しみます。


併設の展示スペースでは、この場所の歴史やデザインについても知ることができて、歩いてきた道のりの意味が後からじんわり繋がっていくような感覚があります。

こちらの写真で見ることができました。

とても心地の良い空間でした。


帰り道、もう一度瞑想の丘を通りました。さっきまでの太陽に照らされた丘とは違い、この頃にはすっかり雲に覆われて、同じ場所とは思えないくらい表情が変わっています。
今回この場所には、約一年ぶりの訪問だったのですが、次回はいつ呼ばれるのか楽しみです。また、ふと訪れたくなった時には、違う季節の風景をお届けできるかもしれません。

森を出て駅に向かう頃には、現世に帰ってきたような、いつもの自分のペースに少しずつ戻っていました。それでも、あの丘で感じた安心感はそのままに、今も自分のなかに残っているように感じます。
もし北欧を旅する機会があれば、ぜひ少しだけ足を延ばしてこの場所を訪れてみてください。ここでは、観光地とはまったく違う時間と空間(と次元も?)を体験していただけると思います。
