コミュニケーションコストは、見積もられていない仕事量
「この仕事、なんか疲れる」の正体
「この仕事、なんか疲れる」
作業量自体は多くない。
でも、なぜか終わる頃にはぐったりしている。
そう感じる時は、コミュニケーションコスト、目に見えない“確認・補足・先回り”が、通常と比べて多く発生しているケースが考えられます。
ここで言うコミュニケーションコストとは、
単にやり取りの回数や量のことではなく、
その前後に発生する確認や判断の負担も含めたものです。
この記事では、「相手が悪い」という話はしません。
代わりに、なぜその負担が発生するのか、そしてどう線を引けるのかを整理してみます。
念のため補足しますが、この記事は、特定のクライアントや個人について書いたものではありません。仕事をする中で起きやすい構造的な話を、一般論として扱っています。
事前共有がないと、確認コストが増える
事前共有が行われない構造では、確認コストが発生しやすくなります。
たとえば、打ち合わせのたびに
「次回の日時は、あとでメールで調整しましょう」
という運び方をしていると、その後に
日程調整のメールのやり取りが必ず発生します。
一方で、打ち合わせの最後に
「次回は○月○日の○時でお願いします」とその場で決めてしまえば、
日程調整という作業自体が、そもそも発生しません。
こうした負担は、「頑張って減らすもの」ではなく、
構造を変えることで発生しにくい状態をつくるものだと感じています。
疲れるのは、作業ではなく「考える時間」
確認コストがかかる現場では、
・いつ聞けばいいのか
・聞き忘れたら困るのは誰か
・聞く側がどこまで先回りすべきか
こうした判断を、毎回その場で考える必要があります。
この「考える時間」こそが、見積もられていない仕事量です。
最初にそろえておきたい、三つの前提
私自身は、こういったコストを増やさないために、
仕事を引き受ける際に、いくつか必ず確認しているポイントがあります。
そのひとつが、
「納期」「粒度」「用途」を最初にそろえることです。
これらが曖昧なままだと、
あとから確認や修正が発生しやすく、
結果として“見積もられていない仕事”が増えてしまいます。
詳しくは自分の本でも触れていますが、
ここでは「そういう観点がある」という紹介に留めます。
なくそうとしない、という選択
とはいえ、構造を整えても、
こうしたやりとりが完全になくなるわけではありません。
そんなとき、私が意識しているのは
「かけるエネルギー量」と「距離感」を調整することです。
フリーランスであれば単価という形で調整できることもあります。
組織に所属している方の場合でも、
・どこまで関与するか
・どの業務を優先するか
・即対応が必要かどうか
といった形で、エネルギー配分を調整することはできます。
すべての仕事に、同じ熱量で向き合う必要はありません。
仕事を続けるためには、エネルギーの配分もまた、仕事の一部です。
それは「手抜き」とは別です。
負担を広げないための、いくつかの工夫
ここまで書いてきたような工夫をしても、
コミュニケーションコストが発生してしまう現場はあります。
それは誰かの努力不足というより、その仕事の性質や体制によるものだったりします。そうした場合に大切なのは、
確認や調整が発生する状況そのものをなくそうとすることではなく、
確認・補足・先回りといった負担が、自分の時間やエネルギー全体に広がらないようにすることです。
たとえば、
・確認が必要なものを一か所にまとめる(手間を減らす)
・一定のタイミングでまとめて返す(時間を取られすぎない)
・「ここまでは対応する/ここから先は次回」と区切る(気持ちの区切り)
こんなふうに、全部をいっぺんに解決しようとしない姿勢を持つだけでも消耗は減ります。
また、「この現場では確認が多い」という前提で関わるだけでも、
心理的な負担は変わります。
すべての仕事に、同じ熱量はいらない
期待値を下げることは、諦めることではなく、自分のエネルギーを守るための調整です。
すべての仕事を「うまくやろう」「ちゃんとやろう」としなくていい。
続けられる形に調整することも、立派な仕事の一部です。
心理的な負担は目に見えないけれど、確実に人を消耗させます。
だからこそ、それを個人の努力や我慢に押し付けるのではなく、構造や関わり方で調整していく視点を持てたら、仕事はもう少し続けやすくなるのでは、と思ってこのnoteを書きました。
こうした考え方や、仕事を引き受けるときの線の引き方については、
自分の書籍でももう少し整理して書いています。興味のある方は、こちらからどうぞ。
