子育てって、親だけでやるものなんだっけ?
私は今、フルタイムで共働きをしながら3人の子どもを育てるために、ものすごくたくさんの他人の手を借りています。
ベビーシッター、家事代行、ファミリーサポート、保育園、学校、学童、習い事…
土日に家のことを片付けながら子どもたちが満足するまで遊べるようにベビーシッターさんの手を借りますし、掃除まで手が回らないので家事代行に毎週依頼します。習い事の送迎はファミサポさんにお願いしています。
今でこそ、そんな「たよる育児」を当たり前のように実践している私ですが、最初からこうだったわけではありません。
むしろ昔の私は、ベビーシッターなんて絶対に嫌だと思っていました。知らない人に我が子を預けるなんて怖いし、そこまでして自分の時間をつくりたいとか親として失格なんじゃないか、と。
「子どものことくらい、家庭内で全て解決しろよ。親なんだから。」と思っていました。
誰かに「子育ては親だけ、家庭内だけで何とかするものですよ」と教えられた記憶はありません。それでもなぜか、「自分の子どもは自分だけで育てるもの」という前提を、当たり前のように持っていました。
子どもを育ててみたら、どう考えても人手が足りなかった
ところが、実際に子どもを育ててみると、どれだけ頑張っても人手が足りないことに気づき始めました。
ごく普通に、手が回らないのです。子どものご飯を作り、洗濯をし、掃除をし、保育園や学校の準備をし、送迎し、宿題を見て、熱が出たら病院に連れていき、遊びに付き合い、3人の話を聞き、きょうだい喧嘩を仲裁し…それをやりながら、仕事もやります。
もちろんこれらは夫婦で分担できます。また、最近は便利な家電もありますし、保育園は待機児童も減り子育て支援サービスも充実しています。
それでも、「子どもはとても可愛い、でもただただ人手が足りない!!」と思う場面が毎日何度もあります。
子どもが何人いたとしても、親が持っている時間は1日24時間です。どれだけ効率化しても、1人の人間が使える時間と体力には限界があります。
以前の私は「どうやったら自分たちだけで回せるか」と考えていました。もっと家事を効率化して、夫婦間の分担を見直し、私は今でも120%頑張っていてしにそうどけど、140%頑張れないか。夫が楽してるように見える許せない、お前も140%頑張れよ、と。
でも、あるときから問いそのものが変わりました。
「どうやったら自分たちだけでできるか」ではなく、「そもそも、なんで自分たちだけでやろうとしてるんだ?」と。
考えてみれば、仕事だったら人手が足りなければ増員します。自分にできない仕事があれば、その仕事が得意な人に助けてもらいます。1人ですべてを抱えてパンクしている人がいたら、「もっと頑張れ」ではなく「誰かに振ったほうがいいよ」と言われます。当たり前のように。
なのに、なぜか育児だけは「自分の子どもなんだから、自分でやって当たり前」が美徳になります。
仕事では「人に頼れること」が能力として評価されるのに、育児では「人に頼らないこと」が親として評価される。
不思議なことではありませんか。
昔は「親だけ」で育てていたわけじゃない
少し視野を広げてみると、「親だけで子どもを育てる」というスタイルは、昔から当たり前だったわけではなく、むしろここ最近の潮流です。
昔は、すぐ近くに祖父母や親戚がいました。クレヨンしんちゃんのお隣のおばさんのように近所の人が助けてくれました。きょうだいの数も多く、地域の中に今よりもたくさんの子どもがいました。
昔の子育てに戻りたいわけではありません。昔ながらの地域共同体には、嫁姑同居問題をはじめとした濃すぎる人間関係もあったでしょうし、「女性が家事育児をするのが当たり前」という価値観もありました。そういうものから自由になったことは、間違いなく良かったと思います。
ただ、その過程で、もしかしたら私たちは子育てを支えていた「人手」まで一緒に手放してしまったのではないかと思うのです。
祖父母と離れて暮らす人が増え、近所の人に「ちょっと子ども見てて」と頼むような関係も少なくなりました。一方で、女性も働くようになり、家庭を回すことに割ける時間も少なくなりました。また、SNSによる情報過多により、親に求められる育児レベルは上がっているように感じます。
子育てを取り巻く環境はこれだけ変わったのに「子どものことは家庭内が責任を持ってやるもの」という価値観だけが、あまり変わっていないのです。
なるほど、しんどくなるはずですよね。
「育児を外注する」ではなく、「子どもを育てる仲間を増やす」
私自身、ベビーシッターを使い始めたころは、「育児の一部をお金を払って外注する」ということに嫌悪感を抱いていました。
でも何度もお願いするうちに、その感覚は少しずつ変わっていきました。
シッターさんは、子どもの好きなものを覚えてくれます。「今日はこんなことをして遊びました」と教えてくれて、「先週は難しかったけど、今日はできたね!」と成長を一緒に喜んでくれます。家族以外にも、我が子のことを知って、見て、可愛がってくれる存在ができます。
これは「育児を外注した」というより、一緒に子どもを育ててくれる仲間が増えたというほうがしっくりきます。週に1回祖父母に遊びにきてもらって、一緒に過ごすのとほとんど変わらない感覚です。
昔のような「村」に戻らなくても、今の時代なりの子育てのコミュニティをつくることはできるんじゃないか、と思います。
祖父母や親戚だけじゃなくていいのです。シッターでも、ファミサポでも、保育園でも、学童でも、習い事の先生でも、家事代行でもいいので、必要なときに必要な人やサービスを頼りながら、親だけに集中している子育ての負荷を少しずつ分散させていくーー
私はそれを、「たよる育児」と呼びたいと思っています。
「誰にも頼らず子どもを育てられる親」を目指すのではなく、困ったときに助けを求められる。自分じゃなくてもいいことは人に任せられる。そして、自分の子どものことを気にかけてくれる人を、家庭の外に少しずつ増やしていく。
そんな子育てが、もっと普通になってもいいんじゃないでしょうか。この「たよる育児」について、これから何本かの記事に分けて考えてみたいと思います。
なぜ今の子育ては、こんなにも親だけに負荷が集中するようになったのか。なぜ私たちは、家事や育児を人に頼ることにこんなにも抵抗を感じるのか。そして、実際にどうやったら上手に人を頼れるのか。
私自身も、まだまだ考えている途中です。
だからこそ、自分の経験だけではなく、社会の変化やいろいろな研究も調べながら、「親だけで育てるのが当たり前」という前提を、一度ひっくり返して考えてみたいと思います。
子育てって、本当に親だけでやるものなんだっけ?
この問いから、「たよる育児」について考えていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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