不思議の国のアリスを大人になってから読むと|読書記録・大人の読書感想文
『不思議の国のアリス』と聞くと、白うさぎを追いかけて、不思議な世界へ迷い込んでいく女の子の物語を思い浮かべます。
小さな扉、大きくなったり小さくなったりする身体、話す動物たち。
子どもの頃なら、「なんて不思議で楽しい世界なんだろう」と夢中になっていたような気がします。
でも、大人になってから読み返してみると、少し違った感覚がありました。
アリスは、不思議な世界に迷い込んでから、何度も「あなたは誰?」と問いかけられます。
けれど、その世界では常識がほとんど通用しません。
さっきまで小さかった自分が突然大きくなったり、言葉の意味がひっくり返ったり、相手の言っていることがまるで理解できなかったり。
「どうしてこうなるの?」
そう思っても、誰もちゃんと答えてくれません。
読んでいるこちらまで、少し途方に暮れてしまいます。
でも、よく考えてみると、現実の世界も案外似ているのかもしれません。
大人になると、
「普通はこうするもの」
「この年齢ならこうあるべき」
「仕事をして、結婚して、家庭を持って……」
そんなふうに、いつの間にかたくさんの「こうあるべき」に囲まれて生きています。
けれど、人生がいつも予定通りに進むわけではありません。
思っていた道から外れてしまったり、突然立ち止まらなければならなくなったり。
周りの人が簡単に進んでいるように見えて、自分だけが取り残されたように感じることもあります。
そんなとき、アリスの不思議な世界を思い出すと、少しだけ肩の力が抜けるのです。
もしかしたら、人生にも「正しいサイズ」なんてないのかもしれない。
大きくなったり、小さくなったりしながら、そのときの自分に合う場所を探していけばいい。
アリスは不思議な出来事に振り回されながらも、最後には自分の言葉で相手に向かっていきます。
何が正しいのか分からなくても、自分で考え、自分の感覚を失わない。
そこが、この物語の好きなところです。
そして、何より印象に残ったのは、この物語には「意味が分からないこと」の面白さがあること。
すべてを理解しようとしなくてもいい。
「なんだか変だな」と笑いながら、その世界を楽しんでもいい。
大人になると、つい何事にも意味や答えを求めてしまいます。
だからこそ、『不思議の国のアリス』のように、
「分からないけれど、面白い」
「理由はないけれど、好き」
そんな感覚を思い出させてくれる物語は、少し貴重なのかもしれません。
人生に迷ったときは、必ずしも正解を見つけなくてもいい。
今いる場所で、少し立ち止まって、不思議な世界を眺めてみる。
そんな時間があってもいいのだと思いました。
子どものための物語だと思っていた『不思議の国のアリス』。
大人になった今読むと、迷ったり、戸惑ったりしながら生きている私たちにも、そっと寄り添ってくれる物語なのかもしれません。
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