【フランチャイズビジネス】トホホな加盟希望者物語 其の二 「立派な経歴」と「経営者としての資質」は別物だった話
前回は、いわゆる「③ 会社員で一応の立場まで上り詰めてトラバーユする人」――つまり、“元・エリート会社員型フランチャイジー候補”の典型例として、Mさんとの出会いと、加盟契約に至るまでの経緯を書きました。
今回は、その“続き”です。
正直に申し上げておくと、この話は決して珍しい話ではありません。
むしろ、リクルーターを長くやっていると「あるある」の部類に入ります。
いよいよオープン準備へ
加盟契約を締結し、物件も確定し、設計・施工の段取りも進み、Mさんはいよいよ「コンビニオーナー」への階段を一段ずつ登り始めました。
ここまでは、順調そのもの。
ご本人も、実に楽しそうでした。
「いやぁ、人生って面白いですね」
「サラリーマン時代には味わえなかった高揚感がありますよ」
――はい、この時点では、誰もがそう言います。
問題は、ここからです。
研修で露呈した「違和感の正体」
コンビニに限らず、ほぼすべてのフランチャイズチェーンでは、オープン前に本部研修が行われます。
(以下の研修はコンビチェーンの例です)
商品知識
発注
シフト管理
衛生管理
レジオペレーション
クレーム対応
数値管理
その他もろもろ.…
などなど、盛りだくさんです。
Mさんも、もちろん研修に参加されました。
…が。
研修初日から、SVが私のところにやって来て、こう言いました。
「hanzoさん(私のこと).…あのオーナーさん、ちょっと危ないかもしれません…」
私は内心、「やっぱりか…」と思いました。
“教えられる側”になれない人
Mさんは研修中、終始こんな感じでした。
講師の説明に、すぐ割り込む
「それは理論上の話でしょう?」と否定から入る
自身の会社員時代の成功体験を延々と語る
数値の話になると「大丈夫、大丈夫」と軽く流す
つまり、「素直に学ぶ姿勢」がなかったのです。
これは致命的です。
フランチャイジーにおいて最も危険なタイプ
フランチャイズビジネスで、一番失敗しやすいのはどんな人か?
私は迷わずこう答えます。
「優秀なサラリーマンだった人」
…ではなく、
「自分は"優秀"...…だと思っている、中堅以上の元サラリーマン」
です。
なぜか?
それは、
過去の成功体験を捨てられない
「教わる」より「指示する」ことに慣れている
失敗を環境や他人のせいにしがち
という傾向が、非常に強いからです。
そして迎えたオープン初日
華々しく、予定通り、Mさんのお店はオープンしました。
本部の応援(開店前の応援は様々。多種多様な応援が入ります)
SVの立ち会い(数日から一週間程度SVなど本部社員が応援に入ります)
近隣への告知(チラシのポスティング、ご挨拶など)
すべて万全。
初日の売上も、「まあまあ悪くない数字」でした。
ここでMさんは、こう言います。
「ほらね、言ったでしょう?」
「私の(立地選定の)判断は間違ってなかった」
……。
この言葉が出た時点で、私は心の中で赤信号が点灯🚨🚨🚨
売上が“落ち始める”のは、必ず理由がある
オープンから1カ月。
売上は、想定よりじわじわ下がり始めました。
原因は明確でした。
来店客数が伸びない
背面商圏人口の少なさが直撃
固定客化に時間がかかる立地
――つまり、最初に私が説明した「懸念点」そのものです。
SVは改善提案を出します。
品揃えの見直し(先入先出の徹底)
発注量の調整(特に欠品防止)
時間帯別の人員配置
地域に合わせた販促(いつ、どこで、どんなイベントがあるのか?)
しかし、Mさんは聞きません。
「それはSVの机上の空論だ」
「SVさん、経営という現場(数字)を知らない人の意見ですよね?」
「私は30年、数字を見てきた人間です」
「そんな細かいことを気にしていたら経営はできませんよ」
……。
ここで、完全にボタンの掛け違いが起きました。
フランチャイジーは「経営者」だが「独学者」ではない
何度も書いていますが、フランチャイジーは独立した経営者です。
しかし、フランチャイズビジネスは「我流でやるための仕組み」ではありません。
本部のノウハウ
SVの助言・指導
チェーンとしての成功モデル
これらを素直に受け取り、実行する覚悟がない人は、最初からフランチャイズビジネスには向いていません。
結果は、想像通り
オープンから半年。
売上は計画未達
人件費率は悪化
廃棄ロスは増加
Mさんの表情は曇る
そして、ついに出た言葉が、これです。
「本部の想定が甘いんじゃないですか?」
「こんな立地を勧めたのは誰です?」
……。
はい、出ました。
責任転嫁スイッチ、オン!!..…前回の記事をご参照あれ。
リクルーターとしての反省
この件で、一番反省すべきは――私たちリクルーター側です。
Mさんは、確かに危うさを持っていました。
しかし、
「経歴が立派だった」
「資金力があった」
「本人の意思が強かった」
これらに引っ張られ、“加盟させてはいけない可能性”を見抜ききれなかった。(というか、目をつぶってしまった.…というほうが正解かも?)
これは、完全にこちらの責任です。
③のタイプが「要注意」である理由(総括)
改めて言います。
③ 会社員で一応の立場まで上り詰めてトラバーユする人は、
成功すれば大成功(自分が正しい!!)
失敗すれば大失敗(こんな失敗は味わったことがない…お先真っ暗)
という、極端な結果になりやすい。
その分かれ道は、たった一つ。
「過去を捨てられるかどうか」
です。
最後に、加盟希望者の方へ
もし、この記事を読んでいるあなたが、
元・上級管理職(部長以上)
元・役員候補(執行役員など)
元・エリート会社員(年収うん千万円の年収!!)
で、フランチャイズを検討しているなら――
どうか、自分に問いかけてください。
自分は「教わる側」に戻れるか?
自分は「本部やSVの助言」を素直に聞けるか?
自分は「過去の肩書」を捨てられるか?
これに即答で「YES」と言えないなら、立ち止まるべきです。
次回予告
次回は、このMさんが最終的にどうなったのか、
そして、
本部はどう判断したのか
フランチャイズ契約はどうなったのか
――その結末を、包み隠さず書こうと思います。
リクルーター視点
フランチャイザー視点
そして、これから加盟を考える方への教訓として。
サービスサービスぅ♬😊。
