【無料連載⑥】技術より先に必要だったもの──迷いが教えてくれた答え
気づかれないようにしていたけれど、
あの頃の俺は、正直ずっと迷っていた。
立ち直ろうと決めた日からも、
気持ちが晴れたわけじゃない。
「強くなる」と誓ったはずなのに、
毎日心の底で、小さな波が揺れていた。
“本当に、この道でいいのか?”
“自分に何ができる?”
“誰かを背負うなんて、俺にできるのか?”
技術のことばかり考えてれば、不安は誤魔化せた。
でも心は嘘がつけなかった。
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■迷いを抱えたまま現場に立っていたあの頃
たった一歩を踏み出した先にも、
静かな葛藤はずっとあった。
・自信と不安が一日の中で何度も入れ替わる
・現場に向かう車の中で、ふと沈黙が怖くなる
・誰かの「ありがとう」が支えになるのに、すぐに自分を疑う
あの頃の俺は、
強さを“無理に作ろうとしていた”のかもしれない。
でも、あるお客さんとの出来事が
その迷いをひっくり返してくれた。
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■「あなたに相談して良かったです」
その一言がすべてを変えた
大きな工事でもなければ、派手な問題でもない。
ほんの小さな困り事。
でも、その方は
「家族に迷惑をかけている気がして…」
と言いながら、申し訳なさそうに話してくれた。
それを聞いたとき、胸の奥が締めつけられた。
“悩みの大きさは、本人の人生の大きさだ”
そう思った瞬間、
俺の中の迷いがスッと消えた。
技術があるから頼まれるんじゃない。
経験が豊富だから信頼されるんじゃない。
「聴こうとしてくれる人」に、人は心を開く。
それに気づいたとき、
俺は初めて、胸を張って“職人でいたい”と思えた。
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■強くなるとは、迷わなくなることじゃない
強さは、
迷いがゼロになることじゃない。
迷いを抱えたまま、
それでも誰かのために立つ選択を続けること。
俺が心を修復できたのは、
迷いを否定しなかったからだ。
「技術を磨く前に、心を磨く理由」
それを教えてくれたのは、
お客さんの何気ないひとことだった。
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■結論
技術は“手”で磨く。
職人としての強さは、“心”で磨く。
迷って、立ち止まって、
それでも前に進もうとした日々が、
今の俺の土台になっている。
あの日、足場の上で折れそうだった俺が、
ここまで来られたのは──
誰かの困り事を“ちゃんと聴こう”と決めたからだ。
だから俺はこれからも、
迷うことを怖がらずに、
心を澄ませて現場に立ち続ける。
それが職人としての、
俺なりの「強さ」だ。
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▼ 次回⑦:心がほどける瞬間
次は、
“お客さんが涙を流した現場”
について書きます。
あの出来事が、俺の職人人生を大きく変えた。
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