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星になったさっちゃんへ伝えたいこと ー私の決断

「あんたは、これからどう生きるの?」

さっちゃんは、確かにそう言った。

全てお見通しだよと、ちょっといたずらっ子のような顔つきで、
私をまっすぐ見ている。

その表情は、小学生の頃と変わらない。
遠足の前日に、一緒におやつを買いに行こうと、
コソコソと相談していた時と同じだ。

「ホンマやな、もう腹くくるときやんな」

「皆まで言うな」とばかりに、ただうなずいて、
さっちゃんは、私の前から旅立っていった。


最愛の妻へ向けたラブレター

さっちゃんのダンナ様は、ちょっと熊さんみたいだ。
ずんぐりむっくり(失礼!)で、ゆるキャラみたいに人を和ませる。
いつも人懐っこく微笑んでいる。

その彼が、子どものように泣きじゃくりながら、最愛の妻へのラブレターを読み上げた。

聞いているこちらが、照れてしまうような溺愛ぶり。
うっかりニヤニヤしそうになる。

いや、たぶん、ちょっと、ほくそ笑んでしまったと思う。

「さっちゃん、あんためっちゃ愛されてるやん」
「さっちゃん、あんためっちゃ幸せやん」

そう思ったから。

私は、嗚咽するほど泣いた。
泣きながら、笑った。

この日、さっちゃんとお別れした。

さっちゃんは、最愛の夫と、10代の子ども2人を置いて天国へ旅立った。
どうしようもなくやり切れない想いでいっぱいの、私も置いて。


さっちゃんと私

アラフィフになっても、お下げ髪の超おてんば娘の面影が残っていた。
好奇心旺盛でグリグリしてた目は、いつも前を向いていた。

それなのに、この日のさっちゃんは、私が最後にあった日よりも、2まわりほど痩せていた。

にっくき病魔は、最後の最後でさっちゃんを別人に変えてしまった。

穏やかな優しい顔してはるね。

参列者の中には、そんな風に言っている人もいた。
でも、私は全然そうは思わない。

さっちゃんは、もっともっと、べっぴんさんやったで。

まだまだ未来はあると信じてた

最近のやりとりは、もっぱらLINEだった。

笑うと、病気が逃げていくらしいで。
ーほな、ゲラ(笑い上戸)のあたしは楽勝やな。

そんな会話をした。

だから、ちょっと面白いトピックを見つけると、さっちゃんにLINEした。

自分のドジ話を、自虐ネタとして面白おかしく送りつける。
爆笑画像が手に入ると、それを送りつける。
猫好きのさっちゃんだから、面白い猫の画像は見つけ次第、送りつける。
スマホを片手に、ケタケタ笑うさっちゃんを思い浮かべて、ひたすら送りつける。

これで、大丈夫や。

オレンジペコのライブ、今度ブルーノートであるで。
次は行こな。

ホリーコールが、来年あたり来日するらしいで。
そん時は、一緒に行こな。

色んな約束をした。
未来を語った。
前を向いていて欲しかったから。
いや、自分が前を向いていたかったから。
私たちには、まだまだ未来があると信じていたから。

さっちゃんがくれた問い

ダンナ様の激熱ラブレターが終わる頃。

いや、読み終わる前だったかもしれない。

今まで考えたこともなかった問いが、私の胸ぐらをガシガシとつかんで激しくゆさぶっていた。

今、アンタが死んだら?
アンタの夫が、喪主となって、最後のあいさつするんやで。
アンタの夫が、法律上の夫というだけで、お別れのあいさつするんやで。
アンタ、それでもいいん?

切羽詰まった叫び声が、何度も繰り返し押し寄せてくる。

そんな時に、さらに聞こえてきたのが、さっちゃんの声だった。

「あんたは、これからどう生きるの?」

封印していたこと

10年以上前から、離婚を考えていた。
夫との関係に、悩み続けていた。

このことは、さっちゃんには封印していた。
心配かけたくなかったから。
悲しませたくなかったから。

でも、あの日。
さっちゃんは、何もかも知っていたように思う。

知ったうえで、聞いてきた。

それは、決して私を問い詰めるものではなかった。

あんたはよう頑張った。
もうええんちゃう?

都合がいい受取り方かもしれないけど、そんな風に聞こえた。

そして、私はさっちゃんの提案を受け入れた。

さっちゃんに伝えたいこと

さっちゃんの分まで生きよう。

そんなことは、考えない。
それは、厚かましい考えだ。

さっちゃんは、彼女の人生をもう生き切った。
だから「さっちゃんの分」は、もうない。

未練はあったと思う。
そりゃあ、あったと思う。

でも、彼女がめちゃくちゃ頑張ったことを、私は知っている。
最後まで、ゲラの人生を歩んだことを知っている。
完全燃焼して、旅立ったと信じてる。

私があの日、さっちゃんと約束したこと。
それは、私は私の人生をしっかり生き切ることだ。

日々の小さな喜びを感じながら、幸せでいること。
いい人生やったな、と思って死ぬこと。
よう頑張ったなアタシ、と思って死ぬこと。
さっちゃんみたいに、完全燃焼すること。

私が、今さっちゃんに伝えたいこと。
それは、アタシの生きざまを見ててやーってこと。
いつもみたいにケタケタ笑いながら、見ててやーってこと。

背中を押してくれてありがとう。
さっちゃんと友達になれて、ホンマ幸せやったで。

#いまあなたに伝えたいこと

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