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ハリポタのフルキャスト版オーディオブックでスネイプ先生の解釈が変わった

ハリポタのフルキャスト版オーディオブックを全巻完走した。最高すぎた。

まずは⇩の動画を観てほしい。イメージが伝わると思う。

オーディオブックと言えば1人のナレーターが全て読み上げることが多いが、この『フルキャスト版』は全員に声優がついている。

また、オーディオブックは朗読のみで効果音などはないことが多いが、今回のハリポタオーディオブックは音楽や効果音がついており、まったく新しい体験だ。

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⇧の動画を観てもらうとわかるように、声もイメージとぴったりですごい。

ただ、1人だけ違和感があるキャラがいると思う。スネイプ先生だ。

©ワーナーブラザーズ

僕は映画から入ったので、スネイプ先生の声は俳優のアラン・リックマンの声で再生される。映画に比べると、オーディオブックの声はかなり若い

だがよく考えてみると、オーディオブック版の方が原作に忠実だ。ハリーの両親とスネイプは同い年で、ハリーの両親が殺害されたとき彼らは21歳だった。ハリーが1歳のときだ。

1巻はハリーが11歳の誕生日をむかえるあたりから始まるので、初登場時のスネイプは31歳ということになる。

映画1作目を撮影しているときのアラン・リックマンは54歳。ちょっと31歳の青年を演じるのは無理がある年齢だ。ただ、セブルス・スネイプという重要な役を演じるのはベテラン俳優である必要があったのだろう。

アラン・リックマンに合わせてか、ハリーの両親世代の俳優は全体的に年齢が高めだ。ハリーの両親も⇩の写真を撮ったときは21歳のはずだが、まぁさすがに無理がある。

©ワーナーブラザーズ

オーディオブック版のスネイプはかなり違和感があったが、「まぁ原作に合わせるとこうなるのか」と我慢して聞き続けたところ、次の3つのセリフの演技がよすぎて震えてしまった。

① Having fun?
 (楽しいか?)
② Avada Kedavra!
 (アバダ ケダブラ!)
③ DON'T – CALL ME COWARD!
 (我輩を――臆病者と呼ぶな!)

最終的には、違和感があるどころか大正解の配役だった。

上記の3つのセリフについて順番に説明していく。


①Having fun?

映画だけを観て「スネイプ先生は実はハリーのことを大事に思っている」みたいに思っている人をよく見かけるが、スネイプはハリーのことがちゃんとしっかり嫌いだ。

スネイプはリリーの最後の願いをかなえたいから、ハリーの血に流れるリリーの最後の愛を守りたいからハリーを守っているだけであり、

憎い男ジェームスにそっくりなハリーを見ると腹が立ってしょうがないのだ。

スネイプは心の底からハリーを退学にしたいと思っているし、3巻終盤では魔法大臣に「アイツ退学ですよね?」とか聞くし、ハリーが退学を免れる度に苦虫を嚙み潰したような顔をする。

スネイプはハリーに向かって「お前の父親は傲慢なクソ野郎だった」と度々ネチネチ言う。ハリーは毎回「父は傲慢ではありませんでした」と答えていた。スネイプの学生時代の記憶を見るまでは。

5巻でスネイプはハリーに閉心術の個別指導をすることになる。ヴォルデモートがハリーの心に入り込むことを防ぐためだ。

万が一にもハリーに学生時代の記憶を見られたくないスネイプは、閉心術を教える際は学生時代の記憶を『憂いのふるい』に移しておく。実際にハリーは一度スネイプの開心術を跳ね返してスネイプの幼少期の記憶を覗き見たので、正しい判断だっただろう。

しかし、マルフォイに「ちょっと来てほしいんですが」と呼び出された際、スネイプは迂闊にもハリーと憂いのふるいを残して部屋から出ていく。スネイプが何の記憶を隠しているのか気になったハリーは、ちょっとだけ迷ったのちに憂いのふるいに顔をつける。

憂いのふるいに吸い込まれたハリーが見たのは、スネイプのフクロウ試験の日の記憶だった。ハリーは自分の父親やルシウス、ルーピンを見つけて喜ぶが、それも束の間、シリウスの「退屈だな」の一言をきっかけに自分の父親がスネイプを宙吊りにしてパンツを脱がせようとする場面を目撃してしまう。

そのとき・・

 ‘Having fun?’
 Harry felt himself rising into the air; the summer’s day evaporated around him; he was floating upwards through icy blackness, Snape’s hand still tight upon his upper arm. Then, with a swooping feeling as though he had turned head-over-heels in midair, his feet hit the stone floor of Snape’s dungeon and he was standing again beside the Pensieve on Snape’s desk in the shadowy, present-day Potion master’s study.

「楽しいか?」
 ハリーは体が宙に浮くのを感じた。周囲の夏の日がパッと消え、ハリーは氷のような暗闇を浮き上がっていった。スネイプの手がハリーの二の腕をしっかり握ったままだ。そして、空中で宙返りしたようなふわっとした感じとともに、ハリーの両足がスネイプの地下牢教室の石の床を打った。

部屋に戻ってきたスネイプは、ハリーの腕を強くつかんで引き上げる。スネイプはすっかり我を失い、ハリーに瓶を思い切り投げつけ、出ていけと叫ぶ。

ハリーは動揺を隠せない。それは決してスネイプに怒鳴られたからでも、投げつけられた瓶が頭上で砕け散ったからでもない。

ダーズリー家に預けられて以来ダドリーにいじめられっぱなしだったハリーは、記憶の中のスネイプの気持ちが痛いほどわかったからだ。
学校のみんなが見ている中いじめられるのがどれだけ惨めか、彼はよく知っていた。

さらに、スネイプはずっと本当のことを言っていたのだとわかってしまった。自分が魔法使いだと知ってからずっと誇りに思っていた父親は、スネイプの言う通り、どうしようもないかっこつけ野郎で、どこまでも傲慢だった。


このシーンをアラン・リックマンで脳内再生していたときは、スネイプは確かに怒っているけど半分は冷静で、瓶はちゃんと当たらないように投げつけ、声はいつもより大きくなっているぐらいという印象だった。

でもオーディオブック版でのスネイプは、顔は怒りでグチャグチャで、瓶はハリーの顔面に当てるつもりで投げたが怒りで手が震えていたため狙いが外れただけ、という印象を受ける。

ハリーが憂いのふるいに顔をつけているのを発見したスネイプはまず最初に青ざめた。そこから怒りが急激に湧き上がってきて、自分をコントロールできなくなる直前の「Having fun?(楽しいか?)」だ。

僕はオーディオブック版のこのシーンで『ハリーポッター』という作品に対する印象がガラッと変わった。これだけ強い怒りを向けうる相手を、潜在的には常に殺してしまいたいと思っているであろう相手を、スネイプは全巻を通して守ろうとしているのである。セブルス・スネイプという男の後悔の大きさを、このシーンを聴くまであまりに過小評価していた。

②Avada Kedavra!

スネイプが自分の父親やジェームスを憎んでいること自体には合点がいったハリーだったが、それでもセブルス・スネイプという人間を信用したわけではない。

ハリーは5巻でシリウスが死んだのは自分がヴォルデモートの罠にかかったせいだとは思っているが、不死鳥の騎士団の本部から出られないシリウスに対してスネイプが遠回しに「役立たず」と言っていたことも原因の1つだと思っている。

6巻のハリーはスネイプとマルフォイが協力して何かを企んでいるとずっと疑っているし、それを誰も真剣に取り合ってくれないことに苛立っている。

ダンブルドア先生は「わしはセブルス・スネイプを信用しておる」の一点張りだ。スネイプがダンブルドア先生に死の呪文『アバダ・ケダブラ』を浴びせたとき、ハリーとしては「だから言ったのに」という気持ちだっただろう。

でもスネイプ視点だと話がまったく変わってくる。ダンブルドアは既にヴォルデモートの呪いにより死にゆく運命であり、スネイプはダンブルドアに頼まれて死の呪文を放っている。

スネイプとしてはかなり勇気のいる決断である。ダンブルドアを殺した瞬間から、スネイプは完全にホグワーツの敵になる。

それまではダンブルドアとヴォルデモートの二重スパイであり、ヴォルデモート陣営に潜入するとはいえ、ダンブルドアをはじめとするホグワーツ教授陣や『不死鳥の騎士団』の守りもあった。

元々はハリーの血に流れるリリーの最後の愛を守るためにホグワーツで働き始めたスネイプだが、ホグワーツに居心地の良さを感じていたはずだ。

マクゴナガル先生とはいがみ合ってはいるものの、自分たちの寮の生徒たちのクディッチの結果について嫌味を言ってみたり、見方によっては微笑ましい場面もある。

©ワーナーブラザーズ

‘I can have it back?’ Harry said weakly. ‘Seriously?’
‘Seriously,’ said Professor McGonagall, and she was actually smiling.
‘I daresay you’ll need to get the feel of it before Saturday’s match, won’t you? And Potter – do try and win, won’t you? Or we’ll be out of the running for the eighth year in a row, as Professor Snape was kind enough to remind me only last night …’

「返していただけるんですか?」ハリーはおずおずと言った。「ほんとに?」 「本当です」マクゴナガル先生は、なんと笑みを浮かべている。 「たぶん、土曜日の試合までに乗り心地を試す必要があるでしょう? それに、ポッター――がんばって、勝つんですよ。いいですね? さもないと、わが寮は八年連続で優勝戦から脱落となります。つい昨夜、スネイプ先生が、ご親切にもそのことを思い出させてくださいましたしね……

2巻の終盤で詐欺師ギルデロイ・ロックハートを一丸となって追い払うシーンなんかは、スネイプはマクゴナガル先生やフリットウィック先生、スプラウト先生とすっかり仲良しだ。

スネイプはスリザリン以外の生徒には嫌われているが、スリザリンの生徒にはものすごく慕われてるし、ちゃんと先生をやっている面もあったのだろう。

ホグワーツの教授陣も、はじめは「ダンブルドア先生がそこまで言うなら・・」と元・死喰い人のスネイプを渋々受け入れた形だと思うが、ダンブルドア殺害の直前まではすっかりスネイプを信用し、自分たちの味方だと思っている。

スネイプのダンブルドアに対する『アバダ・ケダブラ』は、スネイプが15年間積み上げてきた人間関係を一気に断ち切ることになる。

Snape gazed for a moment at Dumbledore, and there was revulsion and hatred etched in the harsh lines of his face.
‘Severus … please …’
Snape raised his wand and pointed it directly at Dumbledore.
‘Avada Kedavra!’
A jet of green light shot from the end of Snape’s wand and hit Dumbledore squarely in the chest.

スネイプは一瞬、ダンブルドアを見つめた。その非情な顔の皺に、嫌悪と憎しみが刻まれていた。
「セブルス……頼む……」
スネイプは杖を上げ、まっすぐにダンブルドアを狙った。
「アバダ ケダブラ!」
緑の閃光がスネイプの杖先から迸り、狙い違わずダンブルドアの胸に当たった。

オーディオブック版のアバダ・ケダブラは、「アバダ・ケ」まではダンブルドアを殺すこと、ホグワーツ陣営と敵対することへの苦渋の感情が前面に出ている。

しかし最後の「ダブラ」は冷徹に目の前の相手を殺すことだけに意識を集中しており、周りの死喰い人たちにも疑われようがない。


③DON'T – CALL ME COWARD!

当然、ダンブルドアを殺したスネイプにハリーは激怒する。逃げるスネイプを追いかけて様々な攻撃呪文をあびせようとするが、"閉"心術が苦手なハリーの呪文は"開"心術の達人であるスネイプには当たらない。

スネイプは「本当はハリーを守ろうとしている」ことを周りの死喰い人に悟られてはいけないため、「やつは闇の帝王のものだ」という主張によりハリーに反撃はしない。

そんな事情は知らないハリーは、スネイプを「臆病者」と罵倒する。

‘Kill me, then,’ panted Harry, who felt no fear at all, but only rage and contempt. ‘Kill me like you killed him, you coward –’
‘DON’T –’ screamed Snape, and his face was suddenly demented, inhuman, as though he was in as much pain as the yelping, howling dog stuck in the burning house behind them, ‘– CALL ME COWARD!’

「先生を殺したように、僕も殺せ、この臆病――」
「我輩を――」
スネイプが叫んだ。その顔が突然、異常で非人間的な形相になった。あたかも、背後で燃え盛る小屋に閉じ込められて、キャンキャン吠えている犬とおなじ苦しみを味わっているような顔だった。
「――臆病者と呼ぶな!」

正直、アランリックマンで脳内再生していたときは「臆病者」というワードがなんでこんなにスネイプの地雷なのかよくわからなかった。

でもオーディオブック版ならよくわかる。自分が積み上げてきたものを全て捨てる覚悟をし、恩人を殺す決断をし、実行したばかりの彼が、何もわかってないガキに「臆病者」と言われたのだ。

また瓶を顔面に投げつけたくなるような怒りがこみ上げてきた彼は、白熱したムチのような呪文でハリーを地面に叩きつけてその場を後にした。

その後もスネイプへの憎しみを強めていくハリーだが、物語終盤でスネイプの真実を知る。スネイプがリリーをその生涯をかけて愛していて、ハリーへの愛情は欠片もないが、ハリーを文字通り命をかけて守ってくれていたことを『憂いのふるい』で目の当たりにする。

ハリーがスネイプの犠牲をもってヴォルデモートを倒し平和が訪れた世界で、ハリーは自分の次男に『アルバス・セブルス・ポッター』と名付け、セブルス・スネイプの勇気をたたえている。

‘Albus Severus,’ Harry said quietly, so that nobody but Ginny could hear, and she was tactful enough to pretend to be waving to Rose, who was now on the train, ‘you were named for two headmasters of Hogwarts. One of them was a Slytherin and he was probably the bravest man I ever knew.

「アルバス・セブルス」
ハリーは、ジニー以外は誰にも聞こえないようにそっと言った。ジニーは、もう汽車に乗っているローズに手を振るのに忙しいふりをするだけの気配りがあった。
「おまえは、ホグワーツの二人の校長の名前をもらっている。その一人はスリザリンで、父さんが知っている人の中でも、おそらくいちばん勇気のある人だった


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フルキャスト版オーディオブックは、『ハリーポッター』という作品の世界観をさらに広げました。最高です。

ハリポタの英語は簡単ではありませんが、ぜひ聞いてみてください⇩

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ハリポタを英語で読むことのオタク ここまで読んでいただきありがとうございます🤗