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奇跡の鍾乳洞 イーザーローン

ドイツには現在発見されているだけで、約30ヶ所の鍾乳洞があるそうだ。
(日本の鍾乳洞の数は、ざっと数えただけで120ヶ所ほどあった)
うち、ノルトライン=ヴェストファーレン州では、6つの鍾乳洞が確認されているそう。
近くにあるならば是非見ておきたいと思い、向かった先はIserlohnイーザーローンにあるDechenhöhleデッヒェン洞窟。
以前、ヴィムゼナー洞窟というドイツで最も深い水中洞窟を訪れていたが、ドイツで鍾乳洞を訪れるのは初めてだ。

蛇足だが、鍾乳洞はドイツ語でTropfsteinhöhle。
- Tropfen滴が垂れる
- Stein 石
- Höhle 洞窟
ドイツ語はこのように、鍾乳石のでき方で名を表す。
それとは対照的に日本語は、できた石の形状によって名前が付けられている。鍾乳とは、元々は釣鐘の表面にある突起だそう。
一つの単語も、文化によってその名前の由来に違いがあるのを知るのは、なかなか面白い。

デッヒェン洞窟は、鉄道駅のすぐ側にある。
これは決して偶然ではなく、この場所には鍾乳洞発見の理由が隠されているのだ。
こちらの建物は現在、駅舎ではなく博物館となっている。
洞窟は、この建物の奥に位置している。

この鍾乳洞が発見されたのは、まさに偶然の奇跡。
時は1868年。
この鉄道駅で修復作業をしていた作業員が、手にしていたハンマーを落とし、それが岩の間に落ちてしまったのだそう。
それを探すため、彼らは岩の一部を爆破するという少々強引な方法で試したところ、何とそこには鍾乳洞が広がっていたという。
まるで、映画のワンシーンのようではないか。

洞窟内はグループ毎に見学となるので、その時間が来るまでは併設の博物館内を見学。
ちなみに洞窟の見学時間のスタートは不定期のようで、チケット購入時に、大体このくらいの時間に集合場所にいてくださいと案内された。

館内の説明によると、鍾乳洞の長さは約904m。
そのうち約400mを、専用ガイドさんと共に訪れる事ができる。

Dechenデッヒェンとは、ザウアーランドと呼ばれるこの辺りの地質を研究していた大尉Heinrich  von Dechenの名前から取られた。
後のガイドさんの説明によると、最初にこの洞窟を発見した作業員二人のお名前はもう分からないそうで、そのために彼の名前を代替として付けたのだとか。

デッヒェン氏

また、ここの粘土質の層からは、絶滅したメルクサイの頭蓋骨が発見されたそうだ。

他には穴熊の骨格模型や、様々な化石や鉱物の展示。

穴熊の骨格標本
鍾乳石、石筍の種類

近郊の洞窟、鍾乳洞の地図。

時間になったので、いよいよ鍾乳洞の見学へ。

こちらが洞窟の入り口

待機場には、洞窟内の写真撮影は禁止と大きく掲示があったので、携帯はしっかりと鞄にしまいこんでいた。
しかしガイドさんは、見学の最初の解説をされた時に、グループの輪を乱さない限りは自由に撮影しても良いですよと案内してくださった。
洞窟の中は、真の闇。
はぐれたら暗闇をさまようことになるので、しっかりついてきて下さいねとおっしゃった。
見どころはライトアップされるが、常時点灯ではなく手動のようだ。
ガイドさんが、ライトを消してみますとおっしゃって、数秒だけライトを消したのだが、本当に光の一筋さえも見えずに大変恐ろしかった。

最初の解説場所は、入り口にある礼拝堂と呼ばれる空間。
このように、鍾乳洞内のそれぞれの空間には名前が付けられているのだが、その命名センスがなかなか良い。
本当に、ここが礼拝堂のように思えてくるから不思議だ。
写真を撮って良いと言われてすぐだったので、全く準備できていなかったが、何とか撮れた一枚。

この礼拝堂の反対側、つまり入り口の上部に飾られている標識。
1868年に、矢印の場所にあった亀裂にハンマーが落ち、この洞窟が発見されたそうだ。

次の空間は、オルガンと名付けられている。
鍾乳石が綺麗に揃った様子は、本当にパイプオルガンの姿に似ている。
よく見ると、鍾乳石の色が違う。
真っ白なもの、薄色ピンクにも見えるもの、透明に近い色、どれも美しい。

ライトは白色灯だけでなく、赤や青もあり、同じ場所にもかかわらず、色々な表情を見せてくれる。

こちらは、静かに滴り落ちる雫。
非常に神秘的だ。

この洞窟はかつて穴熊が多く住んでおり、ここで生活をし、この場所で亡くなっていったそう。
博物館に飾られている穴熊の骨が見つかった場所も、このように展示されていた。

少しずつ形成される鍾乳石。
1センチ出来上がるのに、なんと100年ほどかかるというのだから驚きだ。

こちらの部分は地下30m程になり、洞窟の中で一番広い場所で、音響も良いそうだ。
それを活かして、ここではコンサートなども開かれるそう。
異空間でのコンサート、是非一度聴いてみたい。

こちらの写真の右側の部分では、上からの鍾乳石と、下からの石筍が対になっているのが確認できる。

鍾乳洞のハイライトはいくつかあるが、その一つは椰子の柱と名付けられた2.8mの高さの石筍。

洞窟内にはウイスキーの樽が置かれており、一年中気温の変わらないこの場所は、ウイスキーの保存にとても適しているそう。
一年に何度か、この洞窟内でウイスキーを試飲できる日もあり、とても人気だとか。

バウムクーヘン、もしくはウェディングケーキなど、見る人によって様々な名前が付けられているという石筍。
モコモコした感じが、いかにもバウムクーヘンらしく見える。

この空間は皇帝の間と名付けられている

こちらはそれそれが野菜のような形のため、そのまま野菜畑と呼ばれているそうだ。
蕪のような丸い鍾乳石、ブロッコリーに見えるものなど、本当に野菜畑に見えてくる。

水に含まれる炭酸カルシウムが固まってできた石灰華と呼ばれる岩石。
堆積物と石灰華が交互に繰り返されて、この壁を作っている。
この壁には、40万年にも及ぶ歴史が刻まれているそうだ。

約40分の見学が終わり、明るい地上へと戻る。
こちらが出口。

鉄道駅が見えた時、ふと思った。

もし、ハンマーが岩場に落ちなかったら?
もし、作業員のかたが落ちたハンマーを探す事を諦めていたら?

もしそうだったとしたら、この幻想的空間は、今この時点でもまだ発見されていないかもしれない。
私は、博物館に飾られていたメルクサイの頭蓋骨を思い浮かべた。

おーい、僕はまだここにいるよ!

絶滅してしまったメルクサイの訴えが、もしかしたらこの偶然を、いや、この奇跡を生み出したのかもしれない。
そんな事を考えていると、この鍾乳洞自体が幸運を運んでくるパワースポットのようにも思えて来た。

さて、クリスマス時期は、洞窟内でクリスマスマーケットが開かれるそうで、こちらも大変な人気だという。
いつかまた、クリスマス時期にこの洞窟を訪ねてみよう。
奇跡の洞窟のクリスマスマーケットを。

紅葉の綺麗な秋も素敵だ

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