この画像、AIが作った? | OpenAIが入れ始めた2つの目印
AIで作った画像が日常的に流れてくるようになり、「これは写真なのか、AIが作ったものなのか」が見た目だけでは分かりにくくなっています。OpenAI(オープンエーアイ)は2026年5月19日、この問題に向けた取り組みとして、生成した画像に出どころの情報を持たせる仕組みを発表しました(content provenance、コンテンツがどこから来たかをたどれるようにすること)。
ポイントは、画像に2種類の「目印」を付けることです。ひとつは画像に付随する説明データ(メタデータ)として記録する方式、もうひとつは画像そのものに埋め込む、目に見えない透かしです。
目印その1、Content Credentials(C2PA)
ひとつ目が Content Credentials(コンテンツ・クレデンシャル)です。これは C2PA(シーツーピーエー、画像や動画の来歴を記録するための業界標準)という規格に沿ったもので、「いつ、何で作られ、どう編集されたか」を署名付きのデータとして画像に添えます。
利点は、情報が詳しいことです。誰が作り、どんな経路をたどったかまで記録できます。署名が付いているので、途中で中身が書き換えられていないかどうかも確かめられます。ただ弱点もあります。こうしたメタデータは、スクリーンショットを撮ったり、別の形式で保存し直したりすると簡単に消えてしまいます。OpenAI は今回、この Content Credentials を他のツールやプラットフォームからも読み取りやすい形(C2PA への対応強化)に整えました。OpenAI は以前から画像生成で Content Credentials に対応してきており、今回はその延長にあたります。
目印その2、SynthID(目に見えない透かし)
もうひとつが SynthID(シンスアイディー、Google DeepMind の電子透かし技術)です。OpenAI は Google と組み、ChatGPT・OpenAI API・Codex(コーデックス)で生成した画像に、この見えない透かしを埋め込むようにしました。
SynthID は画像の見た目を変えずに、画素のレベルに人の目では気づけない信号を入れます。Google DeepMind の説明によれば、トリミングやフィルター追加、圧縮といった加工を経ても残りやすいとされています。メタデータと違い、スクリーンショットや保存し直しでも消えにくいのが特徴です。一方で、運べる情報の量はメタデータほど多くありません。
なぜ2つ必要なのか
この2つは、片方の弱点をもう片方が補う関係にあります。
Content Credentials、情報は詳しいが、加工で消えやすい
SynthID、情報は少ないが、加工に強く残りやすい
ファイルがそのまま残っていればメタデータが効き、スクリーンショットなどで剥がれても透かしが残る。両方を重ねることで、どちらか一方だけのときより来歴を追いやすくなる、という考え方です。
実際、画像はSNSで保存し直されたり、スクリーンショットで転載されたりしながら広がります。元のファイルがそのまま届くとは限らないため、加工に強い透かしと、情報の詳しいメタデータを両方持たせておく意味は小さくありません。
確かめる側の道具
作る側だけでなく、確かめる側の道具も用意されました。OpenAI は Verify(ベリファイ、openai.com/verify)という公開ツールを研究プレビューとして出しています。画像をアップロードすると、C2PA のメタデータが残っているか、SynthID の透かしが検出できるかを調べてくれます。当面は OpenAI が作った画像かどうかの判定が中心です。
同じ時期、Google も開発者向けイベント(Google I/O 2026)で、Kakao(カカオ)や Eleven Labs(イレブンラボ)といった他社が SynthID を採用すると伝えています。出どころの証明をめぐって、ふだんは競合する各社が同じ規格に乗り始めている局面と言えます。
おわりに
ひとつ押さえておきたいのは、目印は「AIが作った」ことを示す手がかりであって、目印が無いから人間が作った、とは言い切れない点です。透かしやメタデータに対応していないツールで作った画像や、対応前の古い画像には、そもそも目印が付いていません。
それでも、作る側が来歴を残し、確かめる側に道具が配られる流れは、AI画像との付き合い方を少し見通しやすくします。気になる画像があれば openai.com/verify のような検証ツールにかけてみる、という選択肢が増えた、という話として読めます。
もっと詳しく知りたい方へ
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