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第4章|少しだけ、光が差した「わたしを救ってくれた、ほんの小さなやさしさ」

あの日、
ぽろぽろと涙が止まらなかった朝。

感情を失っていたわたしの心が
ほんの少しだけ“感じる”ことを思い出したあの瞬間から、すべてが急に好転するわけじゃなかった。

それでも、少しずつ
わたしの中に「何か」が芽を出しはじめていた。

毎日、食事を出してくれる看護師さん。
廊下ですれ違うたびに、目を見て「おはよう」と言ってくれるスタッフ。

それらひとつひとつは、ほんとうに小さなことだったけど、そのすべてが、
「わたしはここにいていいのかもしれない」
そんな気持ちに少しずつ導いてくれていた。

ある日の夜の事だったと思う。

「今日もご飯、ちょっと食べられたね」
と声をかけてくれた看護師さんが、
部屋を出る間際、ぽつりと言った。

「いまは、辛いかもしれない」
「でも、いつかきっと、また心から笑える時がくるから」

その言葉に、わたしは黙ってうなずいた。
でも、うなずけた自分に、少しだけ驚いた。

あのときはまだ、
未来を信じられるほどにはなっていなかったけれど、
「この人は、わたしの事を見てくれている」
そう思えたことで、
すこしだけ、心が軽くなったのを覚えている。

闇の中にいるときって、
「誰かが見てくれている」という感覚だけで、
生き延びられることがあるんだ。

わたしの回復は、
大きな奇跡でも、劇的な出来事でもなく、
こんなふうに、小さなやさしさの積み重ねからはじまった。

ほんとうに光が差すまでには、
まだ長い時間がかかったけれど

あの日の言葉とあたたかさが、
わたしの中に、小さな明かりを灯してくれていたのだと思う。

誰かの言葉で、心が動き出した私は
いつしか「どうして私は、こんなに苦しかったんだろう」と、自分の過去を少しずつ、見つめはじめていた。

次回、第5章|「“わたし”の根っこに触れた日」

「いつか、誰かの心に届きますように。」
読んでくれて、ありがとうございます。

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