一人が好き。でも、このままでいいのかな――一人でいることが不安になったときに聞きたい仏教の話

一人で過ごす時間って、けっこういいものですよね。
休日に本を読んだり、勉強したり、好きなことに集中したり。誰かに合わせず、自分のペースで過ごせる心地よさがあります。
でも、ふとSNSを開くと、友達同士で出かけたり、楽しそうに食事をしたりしている写真が流れてくる。
そんなとき、
「自分は今日も一人だけど、このままで大丈夫かな」
「これから社会で生きていくなら、もっと人付き合いをした方がいいのかな」
と、不安になることはないでしょうか。
では、一人でいることは、本当に避けた方がよいのでしょうか。
今回は、浄土真宗の講師・菊谷隆太先生のお話をもとに、「一人でいること」の特徴と、人とのつながりをどう考えればよいのかを見ていきます。
📹️この動画は、菊谷隆太先生の次の動画に基づいて作成しました。
孤独(ぼっち)でいい理由【仏教の教え】
https://www.youtube.com/watch?v=HDUBr03l9oo&t=1120s
なお、第6章は第1章から第5章までのまとめです。
お時間のない方は、第6章だけでも記事全体の内容が分かるようにしています。
第1章|一人が好き。でも、このままで大丈夫?
「一人ぼっち」と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。
寂しい人。
かわいそうな人。
人付き合いが苦手な人。
どこか人間的な魅力が足りない人。
そんな見方をされることもあります。
でも菊谷先生は、動画の冒頭ではっきりと、**「決してそんなことはない」**と話されています。
むしろ、一人でいるからこそ得られるものがあり、一人だからこそできることもある。
「ぼっち」でいることには、私たちが思っている以上に良い面があるというのです。
たしかに私たちは、つい「友達が多い人は充実している」「いつも誰かと一緒にいる人は人間関係がうまくいっている」と考えがちです。
たとえば土曜日。
友達から「今日はみんなで出かける」と連絡が来る。けれど自分は、家で読みたかった本を開いたり、来月の試験に向けて勉強したりしたい。
そんな一日があってもいいですよね。
一人で過ごしているからといって、その人が寂しいとも、人付き合いができないとも限りません。
それでもSNSで友達が集まっている様子を見ると、
「自分も行った方がよかったかな」
「友達が少ないままで大丈夫かな」
と、少し不安になることがあります。
だからこそ、ここで一度、「一人でいること=悪いこと」という見方そのものを疑ってみたいのです。
菊谷先生は、仏教の視点から「一人でいること」には大きく3つの特徴があると話されています。
次の章から、その3つを順番に見ていきましょう。
🖊️この章のまとめ
「一人ぼっち=寂しくてかわいそう」とは限りません。
一人だからこそ得られるものもある。
その視点から孤独を見直してみましょう。
第2章|一人だからこそ、生まれるものがある
一人の時間には、何かを深く考え、新しいものを生み出す力があります。
小説を書く。
研究をする。
数学の問題を解く。
絵や音楽を作る。
こうしたことには、一人でじっくり考える時間が必要になります。
菊谷先生は、新海誠監督が脚本を作るときの話を紹介されています。
一人で考え続け、行き詰まることもある。けれど、その積み重ねがあるからこそ、走っているときやシャワーを浴びているときに、ふっと答えが浮かぶことがあります。
ダーウィンの進化論やアインシュタインの相対性理論も、もとをたどれば一人の人が考え抜いたところから始まりました。
外からは静かに見えても、頭の中では大きな仕事が進んでいることがあります。
そして仏教にも、一人で向き合わなければならない問題があります。
それが、自分自身の生と死です。
大勢で同じ法話を聞いていても、
「自分が死ぬとき、どうなるのか」
「いつか必ず死んでいくのに、なぜ自分は生きなければならないのか」
という問題は、誰かに代わってもらえません。
『無量寿経』には「独生独死、独去独来」と説かれます。
人は生まれるときも、死ぬときも、その根本では一人です。
だから仏法も、「あの人の話」ではなく、自分自身の問題として聞いていくことになるのです。
🖊️この章のまとめ
孤独は、新しいものを生み出す時間であると同時に、自分の生と死に向き合う時間でもあります。

第3章|安心と自由、どちらを大切にする?
金曜の夜、友達から「明日、みんなで出かけない?」と連絡が来る。
でも自分は、土曜日に資格の勉強をするつもりだった。
行けば楽しい。でも、勉強する時間は減る。
こういう迷い、ありますよね。
人と一緒にいることには「安心」があり、一人でいることには「自由」があります。
会社にいれば、決まった給料が入り、困ったときに周りへ相談できます。友達がいれば、うれしいことも悩みも分かち合えます。
その一方で、集団の中では、自分の都合だけですべてを決められません。
一人なら、自分で一日の予定を決められます。
ただし、その分、自分で判断し、その結果も引き受けることになります。
仏教には「有無同然」という言葉があります。
簡単にいえば、
あってもなくても、人はそれぞれ苦しみ悩んでいる。苦しんでいるという意味では同じなのです。
人とのつながりがあれば安心できますが、付き合いに疲れることもあります。
一人なら自由ですが、寂しさや不安を感じることもあります。
ですから、一人と集団のどちらが正しいという話ではありません。
それぞれの特徴を知ったうえで、自分は何を大切にしたいのかを考えることが大事なのだと思います。
🖊️この章のまとめ
人とのつながりには安心があり、一人には自由があります。
どちらにも良さと悩みがあります。
第4章|なぜ間違っているのに、みんなに同調してしまうのか?
グループの中で、誰かの悪口が始まった。
自分は「そこまで言わなくても」と思っている。
でも、自分だけ反対したら浮いてしまうかもしれない。
頭では「おかしい」と分かっていても、一人になるのは怖いものです。
菊谷先生は、いじめについても同じようなことを話されています。
良くないと分かっていても、「自分まで仲間外れにされたくない」と思うと、周囲に合わせてしまう。
では、なぜそうなってしまうのでしょうか。
菊谷先生は、人生の目的がはっきりしていないからだと話されています。
蓮如上人の「白骨の章」には「浮生(ふしょう)」という言葉があります。
水に浮かぶ草は、右から風が吹けば右へ、左から吹けば左へ流れます。
自分で進む方向を決める根がないからです。
私たちも、
「みんなが言っているから」
「友達がやっているから」
という理由だけで行動していると、周囲に流されやすくなります。
だからこそ、
「自分は何のために生きるのか」
「何を大切にしたいのか」
という人生の目的が大切になります。
目的がはっきりしていれば、みんなと一緒に進んだ方がよいときには進めます。
反対に、「それは違う」と思ったときには、一人でも別の道を選びやすくなります。
大切なのは、人と違うことではありません。
自分が何を大切にしているのかを見失わないことなのです。
🖊️この章のまとめ
孤立を恐れると、人は間違いと分かっていても流されます。だからこそ、人生の目的という軸が大切です。

第5章|<参考>人生の目的を、毎日の行動につなげるには
ここからは、菊谷先生の動画そのものではありません。
「人生の目的を軸にして生きる」とは、実際にはどういうことなのでしょうか。
その参考になるのが、人材育成に携わっているアチーブメント社の青木仁志先生が提唱する「アチーブメント・ピラミッド」です。
まず、
「自分は何のために生きるのか」
「何を大切にしたいのか」
という人生の目的を明らかにします。
そこから逆算して、目標、計画、今日の行動へとつなげていきます。
たとえば、
「将来、人の役に立つ仕事をしたい」
↓
「1年後までに資格を取る」
↓
「今月は参考書を1冊終える」
↓
「今日は30分勉強する」
という流れです。
つまり、
人生の目的 → 目標 → 計画 → 今日の行動
とつなげます。
こうすると、「人生の目的」が毎日の予定にまで関わってきます。
友達から誘われたときも、
「みんなが行くから」
ではなく、
「今の自分にとって、この時間をどう使うのが大切だろう」
と考えられます。
今日は一人で勉強する。
別の日は、大切な友達と会う。
どちらも、自分の人生の目的から選んだ行動です。
人生の目的から毎日の行動まで一貫して考えられれば、一人になることを必要以上に恐れにくくなります。
同時に、集団の空気だけにも流されにくくなります。
🖊️この章のまとめ
人生の目的から今日の行動までつなげることが、孤独を恐れず、集団にも流されにくい軸になります。
第6章|まとめ:大切なのは、何人とつながるかより、何のために生きるか
ここまで、一人でいることについて3つの特徴を見てきました。
1つ目は、一人だからこそ、生まれるものがあることです。
研究や執筆、芸術など、何かを深く考えるには、一人で向き合う時間が必要になります。
仏教でも、自分の生と死は誰かに代わってもらえません。
「いつか必ず死んでいくのに、なぜ自分は生きなければならないのか」
という問題は、一人一人が自分自身の問題として聞いていくことになります。
2つ目は、人といる安心に対して、一人には自由があることです。
集団には助け合いや安心があります。
一人には、自分で時間を決められる自由があります。
けれど、どちらにも悩みがあります。
仏教でいう「有無同然」とは、
あってもなくても、人はそれぞれ苦しみ悩んでいる。
という見方です。
3つ目は、一人になることを恐れないからこそ、自分の道を選べることがあるということです。
人は孤立を恐れると、間違いと分かっていても周囲に合わせてしまうことがあります。
そこで大切になるのが、
「自分は何のために生きるのか」
という人生の目的です。
人生の目的があれば、みんなと進むべきときには一緒に進み、違うと思ったときには別の道を選びやすくなります。
第5章では、その目的を毎日の行動につなげる参考として、「アチーブメント・ピラミッド」を紹介しました。
一人でいることを選ぶ日があってもいい。
人と過ごすことを選ぶ日があってもいい。
大切なのは、
孤独か集団かを先に決めるのではなく、人生の目的を軸にして、そのとき必要な方を選ぶことです。
「一人が好き。でも、このままでいいのかな」
そんな不安が浮かんだときは、
「私はこの時間を、何のために使いたいんだろう」
と、自分に聞いてみる。
この記事が、一人の時間と人とのつながりを、自分なりに考えるきっかけになればうれしいです。
🖊️この章のまとめ
一人か集団かより大切なのは、「何のために生きるのか」という人生の軸です。
📹️この動画は、菊谷隆太先生の次の動画に基づいて作成しました。
孤独(ぼっち)でいい理由【仏教の教え】
https://www.youtube.com/watch?v=HDUBr03l9oo&t=1120s
📕青木仁志先生が提唱する「アチーブメント・ピラミッド」を、もう少し詳しく学びたい方には、次の書籍がおすすめです。
(1)『目標達成の技術』青木仁志 著
アチーブメント・ピラミッドの考え方について学べます。
(2)『超一流の書く習慣』青木仁志 著
読み進めながら、自分なりの「アチーブメント・ピラミッド」を形にしていくことができます。
※どちらも、紙の書籍のほかにKindle版があります。

🖊️編集後記
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
「ぼっち」とか「孤独」とかいうとやはりあんまりよいイメージはもたないかもしれませんね。
わたしの世代なら中島みゆきさんの「ひとり上手」を思い出すかも?
いや、さすがに古いかな…。
でも本文中にある通り「ぼっち」や「孤独」は良い面もたくさんあります。
菊谷先生はほかにもこの「孤独」をテーマにした動画をあげておられます。
また紹介できればとおもいます。
